ジャニーズ事務所全体が性加害騒動で揺れる中、ひとり別次元の躍進を遂げているのが、Sexy Zoneの菊池風磨。今秋スタートのバラエティ『何か“オモシロいコト”ないの?』(フジテレビ、毎週月曜23:00~)でシソンヌ・長谷川忍とともにMCを務めるほか、ドラマ『ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~』(日本テレビ、毎週土曜22:00~)ではゴールデン・プライム帯連ドラ初主演を飾る。

それどころか、今年は1月期の『大病院占拠』(日テレ)で敵役のボス・青鬼を演じたあと、4月期の『隣の男はよく食べる』(テレビ東京)、7月期の『ウソ婚』(フジ=カンテレ制作)に連続主演。冬・春・夏・秋と「2023年の地上波ドラマ4クール皆勤」という偉業の達成が迫っている。

菊池は現在28歳だが、15年を超える芸歴を持ち、B.I.ShadowとSexy Zoneで重ねたグループ活動歴も、同じ20代アイドルのSnow Man、SixTONES、なにわ男子らよりもかなり長い。まさに雌伏の時を経てトップシーンにのぼり詰めた感があるが、菊池はどんな理由でMCや主演に到達できたのか。業界内外で見聞きしたことをベースに、テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • 菊池風磨がアイドルの枠を超えて求められる理由

■「アイドル」の枠から出ない全裸

検索サイトに「菊池風磨」と入力すると、予測変換ワードに「ドラマ」「父」「高校」「許せない」「ドッキリ」が表示された。

今や菊池と言えば、「許せない!」「ドッキリ」というイメージがあるのは間違いない。『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジ)で見せた全裸ドッキリで叫んだ「許せない!」は、彼の代名詞になり、知名度と親近感をグッと上げた。昨年3月19日に初の単独冠番組『菊池風磨の許せないTV』(フジ)が放送されたことも、そのイメージを裏付けている。

8月26日放送の同番組4時間SPでも、オープニングで「パンイチ」になるドッキリを仕掛けられながら、「ヌルくねえ? おい~ふざけんなよ。チ○コまでいけよ」「いつもチ○コいっちゃってるからこれじゃあ、もうオレ効かなくなっちゃって。弱い弱い。どうした? どうした?」とリアクションして爆笑を獲得。すっかり土曜ゴールデン番組の顔となった。

ジャニーズには“王子様”を前面に押し出したキャラクターが多く、彼らはそれをネタにして笑いを取っているが、あくまでアイドルの枠を逸脱しない。また、各グループの「バラエティ班」は、逆に芸人のような立ち位置で笑いを取ろうとして、アイドルの自分と使い分けているように見える。

その点、全裸にさせられ、両手で股間を隠して笑いを取りながらも、鍛え上げた肉体を見せる菊池の全裸ドッキリは、「アイドルの枠から思い切りはみ出ているように見えて、実はアイドルを残したまま笑いを取りに行く」というスタイル。そのため誰よりも振り幅は大きくなり、希少性は高い。

グループのコンセプトである「セクシー」をキープしながら真逆の「ハズカシー」をあえて見せる。あるいは、慶応大学卒業の「インテリ」でありながら真逆の「バカ」をあえて見せる。『P&G ボールド』のCMで演じる“洗濯大名”なども含め、菊池がアイドルとしての自分をベースにしながら笑いを取れていることが分かるのではないか。