「なんで報告しないんだよ! 」新入社員、若手社員ならきっと上司から一度は言われたことがあるだろう台詞。そう言われた後なら「早めに一言いっておけばよかったな……」と思えるのに、実際に困っていたり「どうしよう」と悩んでいるときほど、できなくなってしまうのが「報告」だったりしますよね。
今回は、この意外と難しい「報告」について、「やっぱり君、できるね! 」と言われる仕事術をご紹介します。上司や先輩だけでなく、顧客や取引先との関係構築にも使える「コミュニケーション術」でもあるので、ぜひ実践してみてくださいね。
意外と難しい、「報告のレベル感」
「なんで早く報告しないんだ?」「もう少し早く相談してくれたらよかったのに……」
そう上司や先輩社員から言われたら、もちろんその時は申し訳ない気持ちでいっぱいになりますよね。でも、実際には報告の「レベル感」って難しいと思いませんか? 自分にとっては、「重要」だと思って報告したら「そんなことまで言わなくていいよ」と言われることもあったり、大したことじゃないよね、と思って言わずにいたら「なんで早く言わないんだ」と言われたり……。
「こんなこと相談していいのかな? 」と、忙しい上司に遠慮する気持ちや、「このくらいのこと、自分で対処しなければ! 」と責任感・自立心から来る思いで、報告できなかった…… なんてことも、実際はあるのではないかと思うのです。
では、「報告のレベル感」は何がかみ合えばよいのでしょう? 実は、この3点がしっかりとかみ合った状態でないと、「ちょうどよい」報告にはなかなかなりません。
(1)自分と上司における「重要度」
(2)自分と上司における「緊急度」
(3)自分と上司が話のしやすい「時間」
でも、正直これ……難しいですよね?
特に、仕事を始めたばかりの新入社員や、まだ経験値の浅い若手社員においては(1)重要度(2)緊急度の度合いを、うまく理解することは至難の業! これを自分勝手に判断し続けてしまうと、大きなミスを引きおこす可能性もあります。
できる若手社員は、"すぐ"に"短く"TALKする!
この「レベル感」は、正直なところ、何度も失敗をしながらも経験を積んで身につけるしかありません。でも、この「レベル感」を早く判別できるようになるためにも、今「報告」がなかなかうまくいっていない人に、ぜひ取り組んでほしい「報告 4つのポイント」があります。
それがこちら! 頭文字をとると「TALK」。どんなふうに「上司にTALK(話す)=報告」するのか、ひとつずつ見ていきましょう。
T-Timely:タイムリーに報告する
ここでいう「タイムリー」とは「すぐ」。つまり、悩んだとき、何か起きたときに「すぐに」報告する、という意味です。何かミスをしたりしたときには、つい「話しやすい時」「時間があるとき」などを考えてしまいますが、一言でもいいので「すぐ」! がまずは鉄則です。
A-Alarm:アラームを鳴らす
少しでも「まずいかも? 」と思ったら、その瞬間に報告する、という意味です。多くの若手社員がやりがちなのが「自分で何とかしよう」と抱え込んだ結果、後で仕事が破綻すること。
例えば、こんな状況の時、あなたはどうしますか?
『上司に今日中に作成を依頼された資料の作成。納期に余裕はあると思っていたけど、お客様から急ぎで別の対応を迫られて、思ったよりも時間がかかっている。対応は早く終わる可能性も高いけれど、もしかすると結構長引くかもしれない……。そうすると、上司の依頼は着手できないかも……。』
こんな時、多くの人は2パターンに分かれます。「残業してでもなんとかしよう! 」と、気合で乗り切るタイプと、「無理そうだな」と諦めてしまう人。でも、ここで大事なのは、「勝手に判断をしない」ことなのです。
適切な報告であれば、ここで上司に一言(メールなどでも構いません)、「○○様の急ぎ対応が入り、もしかすると今日は資料作成が難しいかもしれません。状況分かり次第またご報告します」といった具合です。
早ければ早いほど、上司も「じゃあ、この件は他の人に依頼しよう」「今日中と言ったけど、明日の午前中でも問題ないから任せよう」といった具合に、「判断」が早くできるようになるのです。
L-Level:期待レベルで話す
ここでは最初に述べた「重要度」「緊急度」の判断はしません。ここでいう期待レベルというのは、「上司や先輩が、判断するために必要な情報」を伝える、という意味です。
多くの場合、新人や若手社員は特に「主観」で話をしがちです。そうではなく、まずは「起こった出来事と、その理由を整理して話す」ことを心がけましょう。
K-Ketsuron:結論から話す
そしてこれもとても重要です。起きた出来事を丁寧に話そうと、やたら冗長になってしまうと、上司はなかなか聞く時間をとれません。なので、まずは言いづらいことも「結論」から「短く」伝えること。苦手な人は、「結論から申し上げますと~」と、最初に必ず言うようにすると、比較的言いやすくなるでしょう。
遠慮はせずに、配慮はする
できるだけ「すぐ」に、「短く」報告を「多めに」すること。これが、報告をするコツであり、報告が上達する一番の方法です。最初は情報量が足りないと言われたり、そこまでしなくていいよ、と受け取られることもあるかもしれません。でも、大切なのは「遠慮はせずに、配慮をする」こと。
「上司が忙しそうだから……」「言いづらいから……」というのは、単なる遠慮。もしくは遠慮を言い訳とした、仕事をしない理由にもなりかねません。「お忙しいところすみません」と一言付けるだけでも十分な配慮なのです。
そうして「報告」を繰り返していくことで、「ああ、こういうことは任せてもらえるんだな」「この内容は、上司は気にするから常にもっと早く言おう」というように、「相手が必要とする視点」がわかるようになります。
そして、こういったこまめなコミュニケーションを積み重ね、報告の質を改善していくことで、上司や先輩社員の信頼を勝ち得ることにもつながるのです。
「報告」は、「信頼」を勝ち取るトレーニング
いかがでしたか?
この「報告の仕方」仕事術の最大のメリットは、「すぐに、短く、たくさん」コミュニケーションをとることで、「信頼関係も生まれる」という点です。忙しい上司ほど、よりよい判断をするために、情報を必要としています。こまめに報告をしてくれて、情報をくれる部下は、とても信頼できる部下にもなっていくのです。最初からうまくいかなくても構いません。一歩踏み出して「報告」を続け、上司、あるいは周りの人との「信頼関係」が変えて、あなたへの「あの人、できるねえ~」を増やしましょう!