元国税局職員さんきゅう倉田です。朝起きて最初にすることは「お礼のメール」です。

ファイナンシャルプランナーとして、みなさんの生活に根付いたお金のことを毎日考えています。上司や先輩に食事をごちそうになったとき、どのタイミングでお礼の連絡をするのが最適でしょうか。

芸人をやっていると、一般の方より、先輩から食事をごちそうになる機会がたくさんあります。そんな場合のお礼はどうするべきか。教科書はなく、学校でも教えてくれません。先輩が教えてくれたとしても、それが間違っているかもしれません。そもそもお礼をしない人もいます。

  • ごちそうしてもらったときの最適なお礼のタイミング

国税局の若手は、奢ってもらうかもらわないかにかかわらず、宴席があれば、翌日の朝、集団で挨拶回りをします。ぼくが退職した今でもあるのかわかりませんが、当時はやっていました。別に面倒だとも思いませんし、同期や親しい先輩と庁舎内をうろうろするのは、悪くないものです。

職場が同じ人ならそれで良いですが、翌日以降に会わない方もいます。そういう方へは、翌日にメールをしていました。しかし、その適切な送信時間のマニュアルはなかったので、遅くまで飲ませてもらったのに、奢ってくれた人よりゆっくり寝ているのは悪い気がして、朝一でメールをしていました。ぼくは朝一が最適だと考えています。

昼食をごちそうになったときはどうすれば良いかという問題に直面したこともあります。国税局時代は、夜と同じように、次の日の朝にお礼を言うように先輩から習いました。昼食を取り、店を出たときに「ごちそうさまです」というのはもちろんですが、そのあと半日、肩を並べて仕事をしています。その上で「お疲れ様でした」と定時に帰り、あるいは、他のメンバーを含めてその方と飲みに行き、話をし、解散して帰り、翌日「昨日の昼はごちそうさまでした」というのは、違和感があります。

先輩の教えに背くことになりますが、昼食のあと仕事をし、帰るときに「本日はごちそうさまでした」ということにしました。昼食のお礼のタイミングは、夜とは異なります。直接お礼を言えなければ、退社後、夜遅くない時間までに、メールでお礼をします。

どのようなタイミングでお礼を言っても「お前のお礼のタイミングは間違っている!」などと言う上司や先輩はいません。あぶないやつがいない、というわけではなく、汎用的なマニュアルがないからだと思います。環境や関係性に応じた対応が必要だから、教科書の作成が難しい。

ただ、マニュアルがなくとも、基本的には、ごちそうしてくれた相手が喜んでくれるように努めることが大切です。お礼の連絡をしないより、する方が喜んでくれるでしょうし、連絡が遅いよりは早い方が、満足度が高くなります。

また、改めてのお礼に加えて、その場で感謝の意を伝えることも重要です。ごちそうしてもらって「ありがとう」と言わない人はほとんどいないと思います。家族とか恋人とかなめてる異性とか、関係性が特殊な場合のみ、そのようなことがありますが、基本的に誰でも礼を発します。

みんなが同じことをするのなら、気持ちを伝えるために、大きな声で言うとか、居直って言うとか、味の感想を伝えるとか、工夫して良いかもしれません。場末の居酒屋で、好きなものも頼めず、気を遣って、愚痴をひたすらに聞いたのに、なんでお礼まで言わなければいけないんだ、と考えている人もいるかもしれません。

ごちそうになったときに思うのですが、芸人や平均的な年収の会社員が缶ジュース一本でも他人に奢るのは、大変なことです。みんな、少ない給料と微々たるお小遣いでやりくりしています。それなのに、優しい笑顔でジュースを奢ってくれる。きっと、その分、昼食のおにぎりをひとつ減らしたり、食後のコーヒーを我慢してくれたり、一駅歩いたりしています。

施しへの感謝とは、その奥の、相手の倹約に思いを馳せることです。今、あなたの想像力が試される。相手が「また奢りたい」と思うような行動ができると、仕事にも生かせると思います。

さんきゅう倉田

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さんきゅう倉田

さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。ツイッターは こちら