元国税職員さんきゅう倉田です。好きな店員さんのセリフは「昼はレシートでないの。ごめんね」です。
芸人になってから知りました。
他人に嘘をついてまで自分の利潤を高めようとする人がいることを。
後輩に無理やり女性を用意させ、自分の経営する飲食店で社長との合コンを仕込むことで、売上増加を目論む芸人の先輩もいたし、自社のサービスを著しく誇張してよく見せることで契約を取ろうとする結婚式場のスタッフもいました。
ヒトは経験の範囲でしか物事を考えられません。経験が少ない正直な若者は、他人が自分を騙すとは思わない。しかし、世の中にいるのは善人だけではありません。
他人の資産を奪ってでも、自らの利潤を高めようとする人間がいます。
その資産はお金とは限りません。例えば、時間はお金より容易にかつ安易に奪われてしまいます。
先日、友人7人と滋賀県に旅行に行きました。
観光地を巡り、親睦を深め、滋賀最高だなとみんなが思い始めたころ、昼食の時間になりました。
レストランの予約はしていなかったので、目の前にあった飲食店に入ることにしました。
その和食を提供するレストランは、平屋の大きな日本家屋を改装した風情ある建物の中にありました。
暖簾をくぐると、美しく陳列された和菓子と売り子のおねえさんが迎えてくれます。
どうやら、レストランと和菓子屋が併設されているようです。
和菓子の購入ではなく、左側に併設されたレストランに行きたい旨を伝えると、50代の男性が和菓子のカウンターから出てきてくれました。
「こちらへどうぞ」
案内されたコの字型のスペースには、右側にレジ、左側には靴を脱ぐスペース、正面に小上がりがあって、小上がりの奥に客席が広がっています。靴を脱いで入ろうとすると、店員に止められました。
「まず、こちらで会計をお願いします」
カフェやファーストフードのように、はじめに会計をするシステムのようです。そのような店の場合、空席を確保してから注文する方が多いと思います。買ってから席が空いていないことに気づき、商品を持ったまま店内を彷徨くのは避けたい。
このレストランでも、お金を払ってからお店に入れないような事態は避けたい。よしんばすぐに席につけなかったとしても、短い旅の中で長時間待たされたくない。
客席を見渡すと席が空いているようには思えません。確認することにしました。
「席は空いてますか」
男性店員は、こちらの意図を理解しなかったのか言葉を繰り返しました。
「こちらでお会計をお願いします」
このとき、ぼくは思いました。
おそらく、客席は空いていない。待ち時間があることを伝えれば多くの客は他の店に行ってしまう。だから、待つか否かを伝えずに会計をさせようとしている。
会計が済めば、待ち時間が長くとも帰る客は少ない。返金処理をして帰るのは、客にとって億劫なことだからだ。そのことが解っているから、先に会計をさせようとしている。なんて不誠実な店員なんだ。そんな騙し討ちのようなことをしてまで、売上を増やしたいのか。
ぼくは友人7人の代表として、彼らの時間を奪わないよう行動するべきだと思いました。
「すみません、待ち時間があるかどうか確認したいんですが」
「確認しますので、とりあえず会計をしていただいて」
どんだけ会計させたいんだよ! とツッコミたかった。しかし、冷静になって粘り強く確認します。
「待ち時間があまりないようでしたら、入りたいんです。待ち時間を教えていただけますか」
そこで店員はやっと他の従業員に待ち時間を確認してくれました。
「おーい、待ち時間どれくらい? ああ、うん、うん。30分くらいですね」
長い。危なかった。
観光地を回って歩き続け、みんな疲れています。この椅子もないスペースで30分も立って待てば、午後の予定が滞ったかもしれない。
それにしてもひどい。他人を予告なく30分待たせても平気な人がいることに驚きました。自分ではそんなことをしない。だから、まさか他人がそんなことをするとは思わない。
他人の発言や行動から意図を推測して、損失を被らないようにしなければいけません。
なぜならば、良い人もたくさんいるけれど、悪い人や自分が悪い人間であることに気づかずに他人に迷惑をかける人がいるからです。
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