元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな小説の書き出しは「私は税理士を常に先生と呼んでいた。だからここでもただ先生と書くだけで本名は打ち明けない。」

社会人になったばかりだと、貯金をするのはなかなか難しいですよね。それどころか、借金をしてしまう人もいるかもしれません。

今回は、ファイナンシャルプランナーおすすめの貯金方法を紹介します。

空気を吸ってはくことのように、HBの鉛筆をベキッ!とへし折る事と同じようにッ、貯金ができて当然の貯金

まず、銀行口座を2つ用意しましょう。これは、ぼく個人の主張ではなく、多くのファイナンシャルプランナー(お金の相談に乗ってくれるひと)も同じことを言っています。

具体的にどうするかというと、例えば給与が30万円くらいだとしたら、毎月5万円をB口座に入れ、残りをA口座に入れて、いろいろな支払いに当てたり、引き出して使ったりします。B口座はどんなときも手をつけません。

雨で傘が欲しいときも、風で帽子が飛んだときも、東に病気の子供がいて看病するときも、西に疲れた母がいるときも、南で「怖がらなくていい」と言うときも、北に喧嘩や訴訟があるときも、手をつけてはいけません。

そうすると、B口座にお金が貯まっていく。これは、どんな貯金本にも書いてある、初歩の方法です。それを、この本でも堂々と紹介するのは、ぼくが誰からも聞かず、本も読まず、社会人1年目のときに当然のごとくやっていたからです。

B口座のお金は最初からないものだと考える

お金を貯めようと思ったら、月末に余ったお金を貯金するのではなく、お給料をもらった時点で「ないもの」とします。それを、口座を2つに分けることで強制します。

ぼくが大学を卒業して、国税局に入ったとき、給与の振込先を所定の用紙に記入する機会がありました。そこには、主口座と副口座の記入が可能で、副口座を記入し、5万円か10万円か15万円のどれかを選ぶと、その金額を副口座に振り込んでくれるようになっていました。

もちろん、主口座に振り込まれる金額は減ってしまいますが、主口座のお金だけを使うぞと、新婦と神父の前の新郎より強く誓って、新社会人としての生活をはじめました。今でもよく聞かれますし、調べれば出てくるので隠していないのですが、国税局の初任給は、手取りで20万円ほどだったと思います。

ぼくは副口座の金額に10万円を選びました。だから、毎月使えるお金は10万円しかありません。生活費を払ったら、ほとんど残りません。なんとか、6月末の賞与まで、欲しいものを少ししか買わず、行きたいところにもちょっぴりしか行かず、副口座に手をつけることなく、日々を過ごしました。

当時は研修中で、勤務時間後は勉学に勤しんでおり、とてつもなくたまたま奇跡的に偶然彼女もいませんでしたし、今のように毎日お酒を飲むこともなかったので、なんとかなりました。

ボーナスのときもルールは変えない

でも、なんとか続けられたのは、ボーナスのおかげです。ボーナスの振込時も副口座に10万円なので、残りは通常の月より多くなります。例えば、1年目の冬のボーナスが45万円くらいだったとしたら、35万円が主口座に振り込まれます。

それを、半年くらいかけて少しずつ使っていくと、なんのストレスもなく、週末を謳歌できました。

大切なのは、ルールを変更しないこと、ボーナスで余ったお金を副口座に移さないことです。「毎月10万円で生活していたのだから、臨時の収入であるボーナスは、すべて使わない、45万円を副口座に移そう」などと考えると、ルールに対する接し方が変わります。それは、苦しくなったときに「あのとき、ボーナスは全部貯金したから、今回多めに使ってもいいだろう」と考えるきっかけになってしまいます。

貯金を増やすようなルール変更であっても、心に隙を生み、費消の悪魔がそこに入り込んでくる。1度だから、作ったルールは変えずに、継続することが大切です。いつもより少し多く使ったっていいじゃない、ボーナスだもの。

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