元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな券は「日本銀行券」です。

今年は、日本銀行券に触れる機会が減りました。決済のほとんどを、キャッシュレスで済ませるからです。でも、現金を使わなくなった今だからこそ、あらためて現金を管理している銀行について考えてみました。

銀行の3つの機能

1. 金融仲介機能

銀行は、お金を借りる人と貸す人を仲介しています。若い頃は、銀行にお金を貸している(預けている)だけで、借りることはないと思います。若い人がお金を借りるといえば、もっぱら、サラ金でしょうか。

銀行からお金を借りるのは、例えば、事業者や個人が住宅ローンを組むような場合です。銀行は、みなさんから集めたお金を、誰かに貸しています。

2. 決済機能

銀行は、口座振替や送金などのサービスを提供しています。

家賃や公共料金などを引き落としで支払うことができるのも、事業者が小切手や手形を振り出せるのも銀行のおかげです。

クレジットカードも、銀行口座がないと作れません。

3. 信用創造機能

銀行は、預かったお金の一部を手元において、誰かに貸しています。その貸したお金は、銀行に預けられ、さらに誰かに貸し出されます。これが繰り返されることによって、お金が増えていきます。

例えば、Aさんが銀行に100円を預けます。銀行は、100円のうち90円をBさんに貸します。Bさんは、借りたお金をとりあえず銀行に預けます。銀行は、90円のうち81円をCさんに貸します。Cさんは、それを銀行に預けます。すると、銀行の預金は271円になります。

これを繰り返すことで、銀行の預金はどんどん増えていきます。

銀行の条件

日本の銀行法では、銀行の条件を

・預金の受入と貸出
・為替取引

のいずれかを業務として行う金融機関としています。

銀行の条件は、国によって異なります。イギリスやスイスでは、預金の受入のみで、貸出は条件としていません。条件になっていないだけで、貸出業務そのものは行っていますが、世界には、貸出を行っていない銀行も存在します。

日本銀行の政策

金利政策

銀行は、銀行専用の「インターバンク市場」で、互いにお金の貸し借りをしています。その中に、1ヶ月以内の短期の貸し借りを行うコール市場があって、そこに、「無担保コール翌日物」という取引があります。取引の翌日に返済を行う超短期の貸し借りです。

なんのために1日だけお金を借りるのでしょうか。銀行は、日々の取引で、準備預金の残高が足りなくなることがあります。そんなときに、他の銀行から1日だけお金を借りています。

そんなときに、「無担保コール翌日物」が使われます。

日銀は、これに介入することで、金利の水準を上げたり下げたりしています。

公開市場操作

日銀は、銀行と国債を売買して、流通するお金の量を操作しています。物価や景気を調整するためです。

国債を銀行に売るのが「売りオペ」、銀行から買うのが「買いオペ」です。

預金準備率操作

銀行は、預金の引き出しに備えて、準備金として日銀にお金を積み立てています。この割合を操作することで、銀行が企業に貸すことができる資金を、増やしたり減らしたりしていました。

量的緩和政策

日銀の預金残高を増やして、世の中に出回るお金の量を増やすことです。

為替ってなあに

現金を実際に移動させることなく、決済を行うことです。現在は、「全国銀行データ通信システム」を使って行われています。江戸時代にも、大阪と江戸での取引で、現金を運ぶと、盗賊に遭うなどの恐れがあり、手形を使って決済していました。これも、為替です。

為替は、現金を運ぶコストが減り、運ぶ際のリスクがなくなるなどのメリットがあります。銀行は、為替によって、手数料を得ることができ、さらに、信用力を増大させることができます。

大人でも、正確に理解するのは難しい「銀行」。でも、とっても身近な存在であるはずです。少しずつ理解して、先輩や上司の知識を上回りましょう。

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さんきゅう倉田

さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。

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