元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな株の買い方は「インデックス」です。

TOKYO STARTUP GATEWAYに参加すると、「リーンローンチパッド」を受講することができます。ビジネス界隈では、よく耳にします。受講した結果、時間の無駄だと思ったので、ご紹介いたします。

リーンローンチパッドのご紹介

TOKYO STARTUP GATEWAY のSecond Stageの前には、2日間の「リーンローンチパッド」があります。とてつもない経歴の先生が、アメリカのスタートアップのやり方をマニュアルにしたものを教えてくれます。参加費は無料です。おそらく、東京都がお金を出してくれていると思うのですが、とてつもなく高そうです。

マニュアルには、新しい商品やサービスを検証する方法、ビジネスプランを整理するための方法が載っています。この中では、それはもう、聞いたことがない英語がこれでもかこれでもかと駆使されていて、参加者にストレスを与え続けます。

調べたところによると、別の聞き慣れた英語で表現することも可能なようです。でも、それはしない。アメリカのスタートアップ界隈で使われている言葉をそのまま使いたいんですね。

わかります。英語を直訳すると、ニュアンスが変わってしまうので変えられないこと、英語圏でもビジネスをするのならこれらの単語を知っておいたほうが良いこと、その他諸々の事情。

でも、僕のように、難しいことをわかりやすく伝える仕事をしていると、難しいことやその界隈だけで使われるオリジナルの語釈を持った単語を、当然のように使用されると、ストレスを感じてしまいます。

難しいことは簡単に、長い話は短く正確に、人に何かを伝えるときに最も重要なことです。アメリカから持ってきたマニュアルを、そのまま話すのであれば、講義は必要ありません。本を配れば良い。

リーンローンチパッドでは、ビジネスを始めるにあたっての検証を重視しています。沢山の人にインタビューをして、ニーズが有るのか、商品にいくらお金を出すのかを長い時間をかけて検証させます。インタビューの方法やインタビューをした相手の分類方法も細かくマニュアル化されています。

時間がかかりすぎる

とにかく、検証や準備、共有しているフォームへの入力が膨大です。

ぼくは、仕事でたくさんの社長と知り合いますが、成功している人で、同様の作業をしている話を聞いたことがありません。そんなことしていたら、ビジネスチャンスを逃すし、大切なエネルギーも浪費してしまいます。時間がかかる、かつ、面白くない作業を強いるのがリーンローンチパッドです。

美しいデザインの資料に、難しい話を並べ、ビジネスに絶対に必要なことであるかのようにのたまう。まやかしだな、そう思いました。

アメリカの偉い人が作ったリーンローンチパッド

マニュアルを作った人がいます。その人は、ビジネススクールでそれを教えているようです。ビジネスって、ビジネススクールで習うようなものなのでしょうか。ビジネススクール出身の成功者は、全体の何%くらいいるのでしょうか。

あの超有名企業のビジネスの成功をマニュアル化して、それと同じように行動することでビジネスの成功確率を上げる、それがリーンローンチパッドのふれこみです。

他人の良いところを真似る、それ自体は素敵なことですが、過去の成功を一般化して、それをなぞれば成功確率が上がるなんて、過去のチャートを見せて、「ここで赤三兵が出ているから株が上がりました。だから、赤三兵が出たら株を買いましょう」と教えている書籍と一緒です。

全部ウソ。チェリーピッキングです。

その何十倍も株が上がっていない事例があって、その何百倍も失敗している人がいるのに、その数を紹介せず、成功事例ばかり見せて、唆し、誑かす。それで失敗しても本人のせい、マニュアルを紹介した人もマニュアルそのものも責任を取らない。

さらに、日本ではその他人が作った、アニュアルを紹介するビジネスを行っている人がいる。そのマニュアルを使って、自分でビジネスをすればいいじゃないですか。教えるくらいだから、絶対成功できるはずです。

結局は、他人にやらせて、自分はリスクをとらずに、受講料をもらったほうが儲かるわけです。株と一緒です。自分で株を購入するより、他人にやらせて、自分は手数料をもらう側に回るほうが儲かる。

流行っていて、それっぽくてかっこいいけれど、それで成功した人がどれくらいいるのか。まずは、そのことを検証する必要があると思います。

さんきゅう倉田

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さんきゅう倉田

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さんきゅう倉田

さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。

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