本連載の第229回では「Google Apps Scriptで作業を自動化しよう」という話をお伝えしました。今回は、Power Queryというツールを用いて業務効率を爆上げする方法についてお話します。

Power Queryというツールを使ったことはありますか。そもそも聞いたこともない、という方も多いかと思いますが、事務系の仕事を効率化する上でこのツールは大変役に立ちます。知っているのといないのでは生産性に雲泥の差がつくので、一緒に学んでいきましょう。

そもそもPower Queryとは、Microsoftが提供するデータ統合およびデータ変換のツールです。Power Queryを使うことによって、様々な場所からデータを集めて、きれいに整理し、必要な形に変換することができます。具体的には以下のようなことが可能です。

多様なデータソースからのデータの取り込み

Power Queryを使うと、Excelファイル、Webサイト、データベースなど、様々な場所にあるデータを簡単に集めることができます。これは、あちこちに散らばったパズルのピースを集めるようなものです。

データのクリーニングと整形

集めたデータは、必ずしもすぐに使える状態ではありません。Power Queryでは、このデータをきれいに整理し、使いやすい形に整えることができます。例えば、不要な情報を取り除いたり、データの形式を変えたりすることが可能です。

データの結合と集約

異なるデータソースから集めた情報を一つに結合したり、特定の基準でデータをまとめたりすることができます。これにより、より使いやすい情報を得ることが可能になります。

自動化と効率化

一度設定すれば、同じ操作を繰り返し自動的に行うことができます。これにより、毎回同じ手順を手作業で行う手間を省くことができ、作業の効率化に大きく貢献します。

平たく言うと、Power Queryはデータを扱う際の「お助けツール」で、データの取り込みから整理、変換までを手軽に、効率的に行うことができるのです。データを使って何かを分析したい、報告書を作成したいといった時に、Power Queryは大変役立ちます。

それでは、MicrosoftのPower Queryを使って、どのように日々の業務を効率化し、生産性を向上させることができるかを5つの具体例を交えて解説します。

1. 営業 - 顧客データのセグメンテーション

営業の鈴木さんは、顧客データの分析に苦労していました。顧客情報が散らばっていたため、マーケティング戦略の策定が困難だったのです。鈴木さんはPower Queryを使用してデータを一元化し、クレンジングして不要な情報を削除しました。さらに、購買行動や好みに基づいて顧客をグループ化。これにより、ターゲットとする顧客層が明確になり、マーケティングの精度が大幅に向上しました。

Power Queryでの作業手順:
データの取り込み: Power QueryでExcelやCRMシステムから顧客データを取り込みます。
クレンジング: 不要な列を削除し、重複や不完全なデータをクリーンアップします。
セグメンテーション: 購買行動や好みに基づき、顧客を異なるセグメントに分けます。
分析: 各セグメントに対する売上や反応率を分析し、マーケティング戦略を策定します。

2. 経理 - 財務報告の自動化

経理部の田中さんは、毎月の財務報告に膨大な時間を費やしていました。しかしPower Queryを導入したことで、田中さんは複数の財務システムからデータを自動的に取り込み、数値データへの変換とエラーの修正を簡単に行うことができるようになりました。これにより、報告書の作成時間が大幅に削減され、より創造的な業務に集中できるようになりました。

*Power Queryでの作業手順: * データの統合: 複数の財務システムからデータをPower Queryに取り込みます。
データ型の変換: 数値データが正しく認識されるように型を変更します。
エラーの修正: 不整合や欠損値を修正します。
レポートの作成: 変換したデータを用いて財務レポートを作成します。

3. 人事 - 採用活動の分析

人事部の佐藤さんは採用プロセスの効率化を目指していました。そこで、佐藤さんはPower Queryを利用して、求職者のデータを分析しました。フィルタリングとピボットテーブルを用いて採用チャネルの効果を明確にし、どのチャネルが最も有効かを判断することができました。結果として採用効率が向上し、優秀な人材の獲得が容易になりました。

*Power Queryでの作業手順: * データの収集: 採用関連のデータをPower Queryで収集します。
フィルタリング: 必要な情報に絞り込むためにフィルターを適用します。
ピボット分析: ピボットテーブル機能を使用して、採用チャネルの効果を分析します。
結果の評価: 効果的な採用戦略のために、分析結果をレポートします。

4. 総務 - 資産管理の最適化

総務の伊藤さんは、会社の資産管理に頭を悩ませていました。そこで佐藤さんはPower Queryを使って社内の資産データを一元化し、詳細な分析を行いました。使用頻度や維持コストを基に資産の最適な配置や必要性を判断。これにより、無駄な資産の削減と効率的な管理が実現しました。

Power Queryでの作業手順: データの一元化: 社内の資産に関するデータをPower Queryで一元化します。
分析: 使用頻度や維持コストを分析します。
資産の再配置: 分析に基づいて資産の配置を再検討し、最適化します。

5. 経営企画 - プロジェクトパフォーマンスの分析

経営企画の中村さんは複数のプロジェクトの進捗管理を任されていますが、各プロジェクトの情報収集と分析に手間がかかっていました。そこで、中村さんはPower Queryを活用してプロジェクトのコスト、進捗状況、リソース使用状況を一目で分析できるダッシュボードを作成。経営層への報告が容易になり、迅速な意思決定が可能になりました。

Power Queryでの作業手順:
データの収集: 各プロジェクトのデータをPower Queryで取り込みます。
パフォーマンスの分析: コスト、進捗、リソースの使用状況を分析します。
ダッシュボードの作成: 分析結果をダッシュボードにまとめ、経営層への報告を容易にします。

以上の5つの具体例からわかるように、Power Queryはデータを効率的に処理し、意味のある洞察を提供する強力なツールです。日々の業務において時間を節約し、より高いレベルでの作業に集中するために、このツールの活用を検討してみてはいかがでしょうか。データドリブンなビジネス環境において、Power Queryはあなたの強力な味方となるでしょう。