本連載の第225回では「終わらない会議をなくす4つの方法」という話をお伝えしました。今回は、自動化できる作業の条件についてお話します。
「この作業、毎回やること同じなのにこんなに時間がかかって面倒だな」。
仕事をしていて、このように思うことはありませんか。何度も、或いは何十回、何百回もひたすら同じ作業を繰り返すような作業があったら、自動化できないかを考えてみてはいかがでしょうか。
世の中には自動化のツールが沢山あります。マクロ/VBAやコマンドプロンプト/バッチファイル、Windowsのタスクスケジューラ、Google Apps Scriptなどを使えば、それほど手間をかけずに簡単な作業の自動化が可能です。
しかし、自動化を進めるためには、そもそも「自働化できる作業」を仕分けしなければなりません。どのような作業が自動化に適しているのか、その条件を以下で説明します。
1. 何度も繰り返す作業
1つ目の条件はこちらです。同じことを何度も繰り返し行うような作業は自動化するのに向いています。というのも、もしたった一度きりしか行わない作業でれば、自動化するためにかかる作業量が、その作業を手作業で行うより大きくなる可能性が高いからです。
以下、具体例を挙げます。
毎日、その日の日付を名前に含めたフォルダを作成し、そこに社員から提出された日報のワードファイルを格納する。
毎週、営業所の所員が提出するエクセルファイルのデータを転記して、営業所ごとの売上集計報告を作る作業
毎月、顧客にオンラインで回答してもらうアンケート結果のデータをまとめてグラフ化する作業
ここで挙げた例のように、まずは日次、週次、月次などで繰り返し発生するような作業に何があるかを洗い出してみると、自動化対象の候補として検討する際のインプットになるでしょう。
2. 規則的な作業
2つ目の条件はこちらです。「自動化できるかどうか」という観点では、1つ目の条件よりこちらの方が重要です。自動化する際にはプログラムが欠かせないのですが、そのプログラムは「AならばB」というようなロジックで成り立っています。そしてこのロジックは極めて厳密でなければならず、人間のように臨機応変に「いい感じに」対応してくれることはありません。
それでは、「規則的な作業」とはどのようなものでしょうか。それは、「AならばBという処理をして、AでなければCという処理をする」、というような判断ロジックが決まっていることです。
そして、ExcelやPowerPointなどのファイル操作を自動化する上で、この規則的な作業を行うための前提として準備を整えなければならないのが、以下のような項目です。
- ファイルのテンプレートが統一している
- ファイルの置き場が決まっている
- ファイル名やシート名がルールに沿って決まっている(シート名はExcelの場合)
ファイルを扱う作業を自動化する際には、単にプログラムを組むだけではなく扱う対象ファイルについても準備をしておきましょう。これを怠ると、プログラムがエラーで中断してしまったり、意図しない結果を生んでしまったりするので気を付けてください。
3. 手順の変更が少ない作業
3つ目の条件は2つ目の条件と関連するものです。たとえ作業が規則的なものであったとしても、その規則そのものが頻繁に変更するようでは、あまり自動化に適しているとは言えません。
たとえば、「AならばB」という規則があったとしても、翌月には「AならばC」、さらに翌々月には「AならばD」と頻繁に変わってしまうようでは自動化の効果は半減してしまいます。なぜなら、その都度プログラムを修正する必要があるからです。
但し、予め「1月はAならばB」、「2月はAならばC」というように、規則の変化の仕方そのものに規則性がある場合には、そこまで含めて自動化してしまう手があります。手順の変更が少なく、もしあったとしても変更そのものに規則性があるものは自動化対象として有望、ということですね。
さて、本稿では自動化対象の候補になりそうな作業を見つけるときの条件について3つお伝えしました。最近ではChat-GPTに代表される生成系AIが登場したことで、ここに当てはまらない作業も自動化できるものが増えてきていますが、まずはVBAなど旧来のツールを駆使して自動化を想定した条件をお伝えしました。
ご自身の作業の中にも自動化できそうな領域がないか、ぜひ検討してみてください。