本連載の第213回では「業務改善に役立つ制約理論とは何か」という話をお伝えしました。今回は組織的・継続的な業務改善に役立つ「リーンシックスシグマ」ついて紹介し、その考え方をお話します。
あなたの職場で進行中のビジネスプロジェクトは成功していますか。もしくは、あなたのチームは最高のパフォーマンスを発揮していますか。ビジネスの現場では、これらの質問に対して常に自信を持って答えることは難しいかもしれません。しかし、それがまさにリーンシックスシグマが果たす役割です。今回は、このリーンシックスシグマという手法について掘り下げていきます。
そもそもリーンシックスシグマとは何でしょうか。リーンシックスシグマとは、企業がビジネスプロセスを改善し、無駄を排除し、顧客満足度を向上させ、結果的に利益を最大化するための手法です。
リーンシックスシグマは2つの異なる手法、「リーン生産方式」と「シックスシグマ」が組み合わされて生まれました。リーン生産方式は業務プロセスを始めから終わりまで可視化し、無駄を排除し、価値のない活動を特定して除去する手法です。シックスシグマは、プロセスから生じるアウトプットの質のバラツキを減らし、品質を向上させる手法です。両者が組み合わさることで、リーンシックスシグマは企業の効率と品質を同時に改善する強力なツールとなります。
このリーンシックスシグマには5つの基本原則があります。これらはどの業界、どの職種であっても応用可能で、業務改善プロジェクトを成功するための鍵となります。
顧客を重視する: すべては顧客から始まります。顧客は何を求めているのか、どの水準を求めているのかを徹底的に追及して、その要求に基づいて価値を創造します。
プロセスに焦点を当てる: アウトプットはプロセスから生み出されます。それを理解し、可視化し、管理し、改善することでパフォーマンスを向上させることができます。
プロアクティブなアプローチ: 問題が起きてから対処するのではなく、問題が起こる前に予防することを重視して対応します。
協働: 一部の人だけが関与するのではなく、そのプロセスに関わる全員が一緒に働き、改善に取り組むことが重要です。
仮説思考: 「ここに現状の問題があるのではないか」「こうしたら改善できるのではないか」という仮説を立てて、それを検証するためのデータを収集し、分析し、その結果に基づいてアクションについての決定を下します。
では、このリーンシックスシグマはどのようにして導入すれば良いのでしょうか? そのためには、以下のステップを踏むことが有効です。
トレーニング: まずは、自分自身やチーム全体を教育し、リーンシックスシグマの手法を実践する人や協力者に理解してもらうことが重要です。
プロジェクトの選択: 次に、リーンシックスシグマを適用する具体的なプロジェクトを選択します。この際、顧客価値やビジネスの目標を明確にすることが重要です。
データの収集と分析: プロジェクトを進行するにあたり、仮説を立ててデータを収集し、それを分析します。これにより、問題の原因を特定し、改善策を考えることが可能になります。
改善策の実施: データに基づいた改善策を実行します。この際、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回すことで、持続的な改善を実現できます。
結果の評価と反省: 最後に結果を評価し反省します。これにより、次回のプロジェクトに活かすことが可能になります。
リーンシックスシグマは、その名が示すように改善と効率化を目指すための具体的な手法です。ただし、その導入は決して容易なものではありません。リーンシックスシグマは組織全体のコミットメントを必要とし、組織文化の変革を伴います。
しかし、その価値は計り知れません。顧客満足度の向上、無駄の削減、利益の最大化といった、ビジネスの究極の目標を達成するための強力なツールとなり得ます。そして、その手法を理解し、活用することで、あなた自身がビジネスパーソンとして大きく成長することも可能です。
今後のビジネス環境は、ますます競争が激しくなり、顧客の要求も高まることでしょう。その中で、リーンシックスシグマを理解し、活用することで、成功をつかむことができるでしょう。この記事が、その一助となることを願っています。