元ヤンキーでとび職からキャリアをスタートし、24歳から本格的に勉強を始め世界一の公立大学カリフォルニア大学バークレー校を卒業した鈴木琢也さん。 帰国後は、著書「バカヤンキーでも世界の名門大学で戦える」「自分を動かし続ける力」など執筆活動や、教育系企業で勤めながら社会人教育に携わっています。

本連載では、ゼロから勉強を始め、世界の名門大学卒業するまで自分を変え続けた鈴木さんに、忙しい社会人の「効果的な勉強方法」や、今の自分を少し変えたいと思うときに「何を始めればよいか」についてお答えいただきます。

  • 社会人に効果的な勉強方法とは

社会人が勉強しても継続しない

社会人になって勉強するのは大変ですよね? 時間はないし、会社からは成果を求められることもあるし。しっかり計画したのにどうしても続かない、そんなことはありませんか?

なんとか改善したい。他に良い方法はないのか? そんな時どうすれば良いのか、鈴木さんにお聞きしました。

効果的な勉強方法とは

Q:効果的に努力を継続する方法はありますか?

A:私は続かないことがよくあります。むしろ基本は三日坊主でもいいと思うことが大切です。

私がバークレーを目指して学んでいた時や、バークレー合格後になんとか周りについていくため猛勉強していて身につけた勉強方法は、優れた手法をじっくり行うのでなく、色んな方法をすばやく試してみることでした。そしてダメな時はきっぱりやめること。子供のころに三日坊主はだめって教わっていたので、継続できなかったときに、「自分はだめなんだ」っていつも思ってしまっていました。

しかし、バークレーの優秀な学生達や周りの仲間に共通する勉強方法は高速で試行錯誤していることでした。大学時代、友人とテスト勉強を一緒にしたときの話です。

「こんな問題がテストで出たら、どう答える?」と聞かれ、それからは自分達で難解な問題を作りあって、それを互いにシェアして、テストのシュミレーションをすることがありました。

また別の話しですと、ディスカッション中心のクラスで一人で勉強していたときに、事前の読書課題が膨大で、課題をこなすだけで週末が終わってしまうので悩んだことがあります。

それを知ったクラスの仲間が、グループで勉強しようと提案し、個々が書評のまとめを書いて、Googleドキュメントで共有する仕組みを導入しました。こうして、効率よく勉強することが可能となり、読書(インプット)時間を減らし、グループディスカッションに時間をかけて、アウトプット量を増やすことで、より深く学べることができました。

勉強方法と聞くと、正しく、効果的な方法があるのでは? と思います。けれど、科目や目的が変われば、勉強方法の課題も変わるので、やり方を常に変えながら、実行することが基本だったように感じます。

私の経験では、以前実施した成功例をやり続けたり、世の中的に正しいとされる方法を盲目的に続けたときは、あまり成果をだすことができませんでした。皆さんも、勇気を持ってやめて、次に進むことがとても大切です。

クソアイデアが成果になる?

Q:結果につながらないのですが、どうすればいいでしょうか?

A:最初はできなくたっていい。そう思えることは重要です。

そんなことすぐに思えるわけないだろ! っと感じるかと思いますが、どんなに勉強しても経験があっても最初からうまくいくケースは稀だと思います。私がバークレーで学んでいたときに、色んなエリート達と交流しましたが、特に印象的な日本人学生のエピソードを紹介します。

彼は京都大学を卒業後、モルガン・スタンレー証券で投資銀行マンとしてフロントでバリバリ働いたあと、UCバークレーのMBAに進学した典型的なエリート。卒業後はスタートアップを起業しました。これだけ聞くと、どんだけ万能なの? って思いますよね(笑)

起業準備期間にインターンさせてもらった時に気づいたのですが、彼は思考の深さだけで勝負するのではなく、それ以上に素早く行動して失敗を見つけて改善していく速度がすごいのです。

口癖が「どんなウンコなアイデアでもとにかく形にする」(笑)

日本でよく見る秀才とは全然違って、すごく泥臭く努力する人だと感じました。こんなエリートな人ですら、最初からできないことを前提に行動しているのだから、自分のような普通な人は、結果にこだわる前にもっと行動しなければいけないと思わされました。

執筆者プロフィール : 鈴木琢也(すずき・たくや)

1986年川崎市生まれ。中学生のころ、素行が荒れ暴力を繰り返す不良少年、いわゆる「ヤンキー」の仲間入り。高卒でとび職になる。その後、IT系資格を取得して上場企業に転職。さらに一念発起し、カリフォルニア大学バークレー校へ進学。15年卒業、人材育成支援のグロービス(東京・千代田)入社。マネジメントスクールの運営などを担当。著書に「バカヤンキーでも死ぬ気でやれば世界の名門大学で戦える。」(ポプラ社)『自分を動かし続ける力~元ヤンだった僕がカリフォルニア大学バークレー校で身につけた「最大限に成長する」習慣』(大和書房)がある。