住まい給付金の給付要件は、収入だけではありません。対象となる住まいも、所定の性能や規模を持っている必要があります。住まい給付金に限らず、住まいに関する各種補助金や減税制度、優遇措置は、原則として優良な住まいの普及のために、住まいそのものの性能確保が前提となっています。

対象となる新築住宅とは

【新築住宅の要件】

住まいの床面積が50平方メートル以上で、次の(1)~(4)までのいずれかに該当する住宅であることが前提となります。

(1)床面積が50平方メートル以上であること(戸建て住宅・共同住宅ともに: ※共同住宅は内法面積)
(2)住宅ローンを利用する場合は、施工中に第三者機関による品質確認を行っていること
(3)住宅ローンを利用しない場合はフラット35Sと同等基準を満たすこと
(4)住宅または建設住宅性能表示を利用している住宅

中古住宅購入の場合も住まい給付金の対象となりますが、売主が宅地建物取引業者のケースに限られます。一般に中古住宅は個人が売主で、宅地建物取引業者の仲介によって購入することが多いのですが、そのケースは住まい給付金の対象とはなりません。

また、個人間の取引には消費税はかかりません。住まい給付金は消費税の負担軽減が目的ですので、消費税が課税される売主が宅地建物取引業者時のみが支給対象となります。

【中古住宅の要件】

住まいの床面積要件は新築と同じですが、それに加えて次の(1)~(4)までのいずれかに該当する住宅であることが前提となります。

(1)既存住宅売買瑕疵保険に加入した住宅
(2)既存住宅性能表示制度を利用した住宅(耐震等級1以上のもの)
(3)建設後10年以内であって、住宅瑕疵担保責任保険に加入している住宅
(4)住宅または建設住宅性能表示を利用している住宅

申請方法と期限

住まい給付金申請期限は、引き渡しを受けてから1年(当面の間は1年3カ月)以内です。入居後に給付申請書、確認書類を住まい給付金事務局へ提出して申請します。新築と中古、住宅ローンの借入の有無などで必要書類は異なります。内容及び書式はすべて、国土交通省の「住まい給付金」のホームページで確認、入手できます。

給付金や優遇措置は期限のあるものも多く、それらを住まいの取得を計画する際は「プラスα」程度に考えて資金計画に組み込まず、別途別通帳などでプールすることをお勧めします。

また、住まい給付金は「住宅ローン減税」と併用可能です。いろいろな優遇措置を集めれば、そこそこの金額となるはずです。使わずに繰り上げ返済資金にしたり、本当に困ったときの対策費などに充てたりするために貯蓄しておけば、将来必ず役立つはずです。

※写真と本文は関係ありません

■ 筆者プロフィール: 佐藤章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。