JR山手線「五反田」駅、西口を出て桜田通りを渡り3~4分歩いたところに「そば処 ことぶき」(東京都品川区)がある。五反田はビジネス街ということもあり、駅前を中心にした東・西五反田は数ブロックにわたって大小の飲食店が乱立。マンションの1階、角地部分にある当店、お隣も中華料理店だった。
初めてなら天ぷらを! イチオシは「ばら天」
訪問したのは平日の13時過ぎ。ランチタイムど真ん中なので混雑を覚悟していたが、意外にも通りを歩く人は多くない。昼休み時間厳守の会社が多いのか、それともフレキシブルに分散されているだけか。開けっ放しのドアから入ると、店内の相客は2人。店内は決して広くはないものの、中央に立ち食いカウンターのほか、着席カウンターやテーブル席も備わっている。
入り口左手に券売機。メニューには肉つけそばのような流行りものもあるが、初めての人にはぜひ天ぷらをオススメしたい。えび天、野菜天などあるが、名物はばら天だろう。その名前の通りかき揚げを細かくバラバラにしたような天ぷらで、食べやすい。その味はみなさんにぜひ実際に味わってもらうとして、今回は「ささみ天そば」(税込400円)をオーダー。こちらもタネとしては珍しい。
ちょっとの手間が味を変える
食券を渡す時に「もり・かけ・冷かけ」の中から希望のそばを伝えるシステム。もりそばに天丼のセットが人気の定番だが、ここはかけそばで注文した。こだわりは、注文を受けてからの「ゆで」と「揚げ」。回転が命の立ち食いそば界でこれを両立するのは、なかなかに至難の業かと思う。もちろん通常より長く待つことになるが、幸いにも空いていたこともあって2分弱で完成。
パッと見は、どこにでもあるいたって普通のそば。むしろ、特徴がなさすぎて写真映えしないほどだが、味はいつもよりほんの少し待つだけでこれだけ変わるか、くらいに違う。 まずささみ天。大きさはそれほどだが、サクサクの食感と衣の油が淡白なササミにコクを与えている。麺はやや細めで、滑らかな口当たり。風味豊かで、それを邪魔しない上品なツユもおいしい。
惜しむらくはそのボリュームで、空腹の昼時にはもう少し食べたいが、そこはコストとのバランス。このハイレベルな一杯をワンコインで味わえることを喜ぶべきだろう。
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。