副業元年と言われた昨年から、さまざまな副業が注目されているが、実際には副業をしたくても、何をどうすればいいのか分からないという人が多いのが現状だ。そこでオススメなのが「自分の得意なことを仕事にしてしまう」というパターン。この連載では、これまで起業の相談に応じてきたクライアントの中から、スキマ時間とこれまでの経験をいかし、自分の得意なことで収入を生み出している人を紹介していく。
21回目となる今回紹介するのは、普通の主婦から始めたハンドメイドで月商50万円を達成した岡澤さんだ。
ハンドメイドと言っても幅が広いが、岡澤さんが取り組んでいるのは「海の素材」を使うことに特化した雑貨やアクセサリー。そもそも、海の素材を使おうと思ったきっかけは何だったのだろうか。
「海素材が大好きで、その不思議に満ちた美しさや儚さをたくさんの方に見て知ってもらいたくて、海のかけらのハンドメイドを始めました」
地味に活動を続けた20年
20年以上前に始めたというこのハンドメイド、岡澤さんはこれを「ポケ海ハンドメイド」と名付け、今では日本各地で講座の開催、講師の育成、作品の販売と奔走、協会までつくってしまった。しかしそうなるまでには長い苦労の道のりがあったという。
「最初の頃はレジンなど、ちゃんとした道具はなかったので、自然のものを売れる大人可愛い作品として作り上げるのに試行錯誤しました。作品が出来てからはポツポツと売れはしましたが、稼働時間と収入のバランスが悪く、仕事にするには無理がありました。またパソコンも得意ではなかったので覚えるためにたくさん本を読むなど、とても時間がかかり苦労しました。また軌道にのるまで大変だったのは、まず遠方(東京)で講座を開始する一歩でした。それと認定講座用の講座を完成させることでした」
岡澤さんは関西在住で、それまで大阪を中心に講座を開催していたが、なかなか生徒が集まらないため東京開催を決意。見事成功を収め、そこから人気に火がついて講座開催依頼も全国に広がっていったのだという。
諦めずに続けられた理由は「楽しいから」
しかし、そうなるまでの20年以上もの間、根気よく続けられたのには何かしら理由があるはずである。
「大好きなことを仕事にしているので、すべてがやりがいですね。海のかけらを集めることも作品を作ることも生徒さん達の支援も楽しくて仕方ないです。ただ時間がなさすぎるのが1番の悩みです」
この連載シリーズでは必ずと言っていいほど出てくる「楽しい」というキーワード。やはり長年岡澤さんを駆り立ててきたのも、「楽しさ」だったようだ。
新たな悩みはステージアップの証拠
「それでも初めの頃は、作品ばかり作って在庫の山になったり、収益のことを考えていなかったので作れば作るほどマイナスになったりしていました。また『協会』組織にしたので運営していくことにも難しさを感じています。自分のことだけやっていればいい、という時期は過ぎたので、講師さん達が活動しやすく、収入になるようにスキルや活動の場作りが大変です」
副業も含めてビジネスというものは、ステージアップさせると新たな悩みや難しさの壁にぶつかる。岡澤さんも今ちょうどその時期なのかもしれないが、それでも失望感や焦燥感といったものは伝わってこない。
成功の要因を岡澤さん自身はこう分析する。
「言い訳をしないで行動に移す、と決めたからでしょうか。単価の大きな商品を持ったことも大きいと思います」
「行動」するから「結果」が出る
筆者は10年以上、趣味起業コンサルタントとして活動しているが、やはり素直に「行動に移せる」人ほど進化が早く、着実に成果を出しているのは間違いない。
長年、低空飛行が続いた岡澤さんだが、ここ数年一気に飛躍しているのもやはり「行動する」という決意の結果だろう。そんな岡澤さんに、将来の展望を聞いてみた。
「今後は活動出来る認定講師を増やし、ポケ海ハンドメイドをもっとたくさんの人に知ってもらいたいです。また、趣味をビジネスにしたハンドメイド副業の集客支援もしていきたいです」
楽しみながら行動に移して一歩一歩着実に叶えていく岡澤さんの姿が目に浮かぶ。
筆者プロフィール: 戸田充広
趣味起業コンサルタント。全日本趣味起業協会代表理事。
趣味起業のパイオニアとしてこれまで300名以上の趣味起業家を育て、現在は全国でのセミナー、講演活動のほか、数々の講座でさらに趣味起業家を育て続けている。著書に『稼げる! 自分に合った副業が必ず見つかる! 副業図鑑』(総合法令出版)、『決定版! 趣味起業の教科書』(マガジンランド)、『消費税率アップから家計を守る! サラリーマンのための安全「副業」のススメ』(すばる舎)などがある。「全日本趣味起業協会」