誰もが知る名所なのに、実際に訪れてみると「意外にがっかり」という経験はありませんか。世界には、そんな「三大がっかり」と呼ばれてしまう名所がいくつかあります。

本記事ではマイナビニュース会員へのアンケート調査をもとに、「がっかり名所」の見どころと、がっかりに思われがちな点をご紹介。それでも多くの人に愛される「がっかり名所」の魅力に迫ります。

世界三大がっかり名所とは

  • 世界の三大がっかり名所

    世界三大がっかりな名所を紹介

「世界三大がっかり名所」と呼ばれてしまうことがあるのは、小便小僧(ベルギー/ブリュッセル)、人魚姫の像(デンマーク/コペンハーゲン)、マーライオン像(シンガポール/マーライオン公園)の3つです。

有名なのに、「がっかり」と言われてしまうこれらのスポット。まずはその魅力を改めて確認してみましょう。

なお、「世界三大がっかり」は別の名所との組み合わせで呼ばれることもありますが、本記事ではこの組み合わせでご紹介します。

小便小僧(ブリュッセル)とは

  • ブリュッセルのションベン小僧

    ベルギーの首都ブリュッセルにあるションベン小僧の像

小便小僧の像があるのは、ベルギーの首都ブリュッセルのなかでも、特に有名な観光地「グランプラス」の近く。ヨーロッパらしい石畳の通りの一角に突然現れ、周囲はいつも多くの観光客でにぎわっています。

像は柵のさらに奥に置かれ、しかも大きさは60cm弱と小さめ。にもかかわらず人気があるのは、やはりその愛らしい姿でしょう。「ジュリアン君」という愛称が付けられ、世界から650着以上の衣装が贈られているのだとか。衣装はグランプラスにある博物館に収められ、運がよければ華やかな衣装に身を包む小便小僧の姿を見ることもできます。

小便小僧の由来として有名なのが、「ブリュッセルが敵軍に包囲された時、少年が敵の導火線に小便をかけて火を消し、町を救った」という逸話です。この像は1619年に彫刻家ジェローム・デュケノワによって製作されましたが、度重なる盗難や破壊などにより、現在、街で見られる小便小僧はレプリカとなっています。

見どころ

1.小ぶりながらも愛らしい姿
像のサイズは60㎝弱と小ぶりながら、噴水の上にたたずむ姿は愛嬌たっぷり。「ジュリアン君」の愛称も付けられるほどの人気者です。

2.世界中から贈られた衣装
「世界一の衣装持ち」との異名をもつほどになったのには理由が。その昔、フランスの兵士が行った像への乱暴な振る舞いに対し、ルイ15世が謝罪とともに宮廷服を贈ったことが由来だとされています。

3.度重なる苦難の歴史
小便小僧の像は過去に何度も破壊や盗難に遭い、オリジナルはすでに紛失。度重なる苦難にも関わらず、人々の強い思いによってレプリカが作られ、変わらぬ姿を今に伝えています。

人魚姫の像(コペンハーゲン)とは

  • デンマークの首都コペンハーゲンにある人魚姫の像

    デンマークの首都コペンハーゲンの人魚姫の像

人魚姫の像は、デンマークの首都コペンハーゲンのランゲリニエ埠頭沿いにあります。全長80cmとこちらも小ぶりなサイズで、海を背景に石の上に座り、悲しげな表情でうつむいているのが印象的です。

モチーフはアンデルセンの童話『人魚姫』で、バレエの演目を見た地元有力者がその内容に魅了され、彫刻家エドワード・エリクセンに作らせたと言われています。なお、頭の部分は人魚姫を演じた王立劇場のプリマが、首から下はエリクセンの妻がモデルになったのだとか。

ブリュッセルの小便小僧と同様、落書きや腕の部分の切断など、人魚姫の像も過去に何度も危害を加えられてきました。しかし、2013年には生誕100周年を迎え、地元の人や観光客からお祝いされたそうです。

見どころ

1.主人公の悲壮感
デンマークの童話作家、アンデルセンの『人魚姫』がモチーフ。愛する人の近くにいたい、という願いが叶わなかった主人公の悲しみが全身に漂っています。

2.尾ひれのように美しい足
王子に会うために、人間のような足を手に入れた人魚姫。しかし、像の足は足首より先の部分が尾ひれのようになめらかな流線形をしており、真の姿が人魚であることを表現しています。

3.近隣に複数の観光名所
像の周囲には遊歩道が整備されており、ゆったりと散策できます。また、要塞や噴水、美術館などの観光名所が近くにあり、観光ついでに立ち寄ることも可能。

マーライオン像(シンガポール)とは

  • シンガポールのマーライオン

    シンガポールのマーライオン像

シンガポールを象徴する存在、マーライオン。頭はライオン、体は人魚という伝説上の動物です。11世紀、マレーシアの王族がシンガポールを再発見した際に、目撃したという動物がモチーフになっているのだとか。

マーライオン像のなかには、シンガポール政府公認のものもあります。もっとも有名なのが、マーライオン公園に立つ高さ約8mのマーライオン像。高級ホテル・マリーナベイサンズを臨む場所に立ち、悠然と水を吐き出しています。その背後には、約2mとコンパクトな小マーライオン像も。

なお、このマーライオン公園のマーライオン像は、2022年の完成50周年の際、色とりどりにライトアップされました。そして2023年には約3カ月かけて、大規模なメンテナンスも。シンガポールきっての観光名所とあって、大切に保存されています。

見どころ

1.荘厳な姿形
真っ白な石に掘り出された、勇ましいライオンの頭としなやかな人魚の体。人々が生み出した伝説上の姿には、どこか威厳が漂っています。

2.シンガポールの象徴
マーライオンは、シンガポールという国の始まりに大きく関わっている存在。国内に点在するマーライオン像のうちの何体かは、シンガポール政府公式のものとして大切に管理されています。

3.立地のよさ
世界的に有名なマリーナベイサンズと対峙するかのように立つ、マーライオン公園のマーライオン像。かつてあった場所からここへ移され、今やシンガポールきっての観光名所に。

実際にがっかりした点、よかった点とは? (男性視点)

本記事ではマイナビニュース会員にアンケート調査を行い、世界三大がっかり名所と呼ばれるスポットに「行ったことがある」と答えた方からのコメントを募集。下記のようなコメントが寄せられました。

小便小僧(ブリュッセル)

意外とがっかりした点
「小さくて存在感がない」(31歳)
「思ったより地味な感じ」(32歳)
「それほど目立つものではなかった」(33歳)
「もう少し水が勢いよく出ていると思っていた」(32歳)
「日本にもありそうだなと感じた」(36歳)
「道が狭く、立ち止まって写真を撮ると迷惑になるぐらい人が多い」(20歳)

よかった点
「周りの街並みがとてもきれいでよかった」(21歳)
「名所を実際に見ることができた」(38歳)
「想像より規模が大きくて、きれいだった」(39歳)
「クリスマスシーズンに行ったので、小便小僧がクリスマス衣装を着ていたのがよかった」(20歳)

人魚姫の像(コペンハーゲン)

意外とがっかりした点
「小さくて存在感がない。人魚に思えなかった」(31歳)
「人の多さに圧倒されて、人魚を見るどころではなかった」(39歳)
「思っていたほどきれいと感じず、感動が薄かった」(35歳)
「一度見ればもういいと思う」(36歳)
「日本人しかいないような気がした」(32歳)
「マナーが悪い人がいた」(36歳)

よかった点
「本当にいたかのような気持ちになりました」(28歳)
「周囲がよく掃除されていてきれいだと思います」(35歳)
「景色がとてもすばらしかった」(33歳)
「周りの観光とセットにできる」(37歳)
「周りにおしゃれなお店がたくさんある。周りの環境がきれい」(20歳)
「コペンハーゲンの街並みがきれいだった」(31歳)
「そもそもこの伝説が好きなのでテンションが上がった」(32歳)

マーライオン像(シンガポール)

意外とがっかりした点
「とにかくフォルムの小ささにはびっくりした」(39歳)
「周りにごみが散乱していた」(29歳)
「ほかに見所が少ないのが気になる」(29歳)
「人が多く、ごみごみしている」(36歳)
「観光客が多いのでシャッターチャンスを狙うのが難しい」(36歳)
「思っていた以上に汚れていて、なんだかがっかりした」(37歳)
「人混みがすごすぎて疲れた」(34歳)

よかった点
「がっかりはしたが、これも客寄せの観光マジックだと感心した」(39歳)
「治安がよいので安心して観光できた」(29歳)
「東洋独特の雰囲気があり、美しい白色で写真にたくさん収めたくなった。マーライオンの形をした土産物もいい思い出」(35歳)
「晴れていたら景色がよい」(37歳)
「有名な場所に行けたので満足」(32歳)
「マーライオンが出す水が、きれいで神聖な感じがした」(21歳)
「マリーナベイサンズの迫力に比べるとかわいかった」(35歳)
「噂ほどはがっかりしなかったのでよかった」(36歳)
「やっぱりシンガポールに来たって感じがする」(36歳)
「有名な観光地を自分の目で見ることができたこと」(27歳)

実際にがっかりした点、よかった点とは? (女性視点)

続いて、女性会員からのコメントをご紹介します。

小便小僧(ブリュッセル)

意外とがっかりした
「思ったよりも小さい」(29歳)
「見物客が多すぎて見づらかったです」(35歳)
「日本にあるものと大差ないように感じた」(38歳)
「小さくて見過ごしてしまいそうでした」(36歳)
「柵から距離があり見づらかった。何が有名なのか分からなかった」(24歳)
「観光客のマナーが悪かった」(33歳)

よかった点
「とてもかわいいと思いました」(36歳)
「かわいい洋服を着ていた」(31歳)
「近くにワッフルの有名店があり、お土産も買えた」(24歳)
「かわいらしいし、おもしろかった」(24歳)
「小便小僧のおもちゃをお土産にしたら、親戚や友人の子供に喜ばれた」(32歳)
「小道にあるので、見つけた時の喜びがある」(36歳)
「雰囲気とミスマッチなところがおもしろかった」(39歳)

人魚姫の像(コペンハーゲン)

意外とがっかりした点
「観光客が多すぎて人魚の顔がよく見えなかった」(33歳)
「思いのほか小さくてがっかり感がすごかった」(38歳)
「見つけにくいし、見つけた感動はあまりない。予備知識がもっとあればおもしろかったと思う」(24歳)
「地味すぎて、写真映えしない」(37歳)
「寒かったので、その場にいるのが辛かった」(36歳)
「アクセスが良くないので大変でした」(39歳)

よかった点
「それほど美しくはないとは聞いていたが、それなりにきれいに見えた」(38歳)
「背景に工業地帯が見えて何だかがっかりした」(33歳)
「空いてる時間帯だったので、写真を撮る待ち時間が少なくてよかった」(33歳)
「デンマークの街がかわいらしい」(37歳)
「観光客にとても親切だった」(33歳)
「景色がきれいだったのでそれに満足できた」(36歳)

マーライオン像(シンガポール)

意外とがっかりした点
「混雑しすぎていた」(36歳)
「天気が悪くて景色が残念だった」(35歳)
「迫力が思った以上になかった」(34歳)
「マーライオンが工事中であったこと」(25歳)
「ガイドブックの写真は立派なんだと思った」(32歳)
「意外と周辺が汚い。マーライオン像自体の老朽化が進んでいて近くで見ると少しがっかりする」(24歳)
「街並みはきれいだが、ごみが多い」(33歳)
「魅力的なお土産がなかった」(39歳)

よかった点
「映画で見た風景と同じで感動した」(31歳)
「都会的な雰囲気で落ち着いた」(29歳)
「色んな国の人と触れ合うことができた」(31歳)
「シンガポールと言えばマーライオンなので、見られて嬉しかった」(37歳)
「昼と夜でまったく違う顔が見られる」(35歳)
「口から水がすごく噴き出していて迫力があった」(34歳)
「びっくりするくらい何もなかったが、街はきれい」(37歳)

「がっかり」はもうしない? 見どころを総おさらい

ここからは、小便小僧、人魚姫の像、マーライオン像の見どころを改めてまとめます。

小便小僧(ブリュッセル)の見どころ

1.小ぶりながらも愛らしい姿
2.世界中から贈られた衣装
3.度重なる苦難の歴史

小便小僧の見どころは、何といってもかわいらしいその姿。ブリュッセルの象徴として親しまれるあまり、過去に国と国の争いに巻き込まれて破壊や奪略などの被害を受けたことも。今はレプリカではありますが、健気にその姿を私たちに見せてくれています。

がっかりポイントに「小さい」、「日本のものと変わらない」という声も多くありますが、こうした歴史は日本の小便小僧にはあまりないもの。苦難を乗り越えてきた小さな姿を見れば、「ジュリアン君」と親しまれる理由も分かるかもしれません。

人魚姫の像(コペンハーゲン)の見どころ

1.主人公の悲壮感
2.尾ひれのように美しい足
3.近隣に複数の観光名所

人魚姫の像は、一見すると悲しげにうつむく人間の女性。しかし、その足先は魚の尾ひれのようになめらかな流線形をしています。人間になりきることができなかった人魚の絶望的な気持ちを、その足が表現していると言えるでしょう。

がっかりポイントに「混雑」を挙げる声がありましたが、朝早めの時間帯に比較的ゆっくり見られたという声もありました。人魚姫の像周辺は観光名所が集中するため整備されており、遊歩道を散策しながら眺めるのもよいかもしれませんね。

マーライオン像(シンガポール)の見どころ

1.荘厳な姿形
2.シンガポールの象徴
3.立地のよさ

シンガポールの象徴として、国内に点在するマーライオン像。その代表格がマーライオン公園にあるマーライオン像です。有名ホテル・マリーナベイサンズに向き合うように立っており、この公園に行けば2つの名所を一度に見ることができます。

ライオンの頭に人魚の体という姿は、かつてシンガポールを再発見した人たちが思い描いた、この土地の神秘的な雰囲気を表しているよう。夜はライトアップされるとのことで、また違った表情を見ることができます。

なお、「工事中で見られなかった」という声もありましたが、マーライオン公園のマーライオン像は、1年に何度かメンテナンス工事のため足場で覆われてしまうことがあるそう。事前にチェックしてから出かけるのがおすすめです。

「がっかり」のポイントも楽しんでみよう

「世界三大がっかり名所」と呼ばれる、小便小僧(ブリュッセル)、人魚姫の像(コペンハーゲン)、マーライオン像(シンガポール)についてご紹介しました。

がっかりポイントしてどの名所でも多く挙げられたのが、「小さい」、「迫力がない」という点です。「像」というと、ついニューヨークの自由の女神やブラジルのキリスト像などと比べてしまいがち。しかし、「一緒に写真が撮れる」、「身近な距離で全体を眺められる」など、小ぶりな像には小ぶりなりのメリットもあります。

「がっかり」と言われながらも観光名所として人気が衰えないのは、がっかりポイントを楽しんでいる人が多くいるということ。これらの国を旅行してみようと考えている方は、ぜひ今回ご紹介した名所も候補に入れて、世界中から愛されるその魅力を体感してみてくださいね。

調査時期: 2023年12月9日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女合計500人(男性: 250人、女性: 250人)
調査方法: インターネットログイン式アンケート