みなさん、こんにちは。保健師の佐々木です。今年も夏がやってきましたね。気象庁の発表によると、今年の夏は、全国的に暖かい空気に覆われやすいため、気温は北・東・西日本で高く、沖縄・奄美で平年並みか高いとのことです。既にうだるような暑さです……。
そこで、心配なのが、7月から8月にピークを迎える熱中症です。熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態のことをいいます。症状としては立ちくらみ、筋肉のこむら返りなどの軽度のものから、体がぐったりする、力が入らないなどの中等度、呼びかけや刺激への反応がおかしい、けいれんがある、真直ぐに歩けない、体に触ると熱いという感触があるといった重度のものまであります。
そして最悪の場合、死亡することもあります。職場で熱中症により亡くなる人は毎年約20人、4日以上仕事を休まざるをえない人が約600人も発生しています。
このように、重症の場合は死に至る危険性もある熱中症ですが、予防法を知り実践することで、防ぐことができます。
そこで、熱中症の予防方法について5点ご紹介します。
(1)暑さを避ける
具体的には、暑い日は無理な外出を控える、外では日向を避け日陰を選んで歩く、積極的に日傘や帽子を使用する、適宜休憩する・無理をしない、携帯型扇風機や保冷剤などのグッズを活用する、などです。屋内では、窓を利用し風通しをよくしたり、我慢せず冷房を使用しましょう。
扇風機の併用も効果的です。室内温度の目安は28℃(冷房の設定温度ではありませんよ)にしましょう。室温を下げすぎると(24℃を下回る)、外との気温差が大きくなり、部屋の出入りの際に体に負担がかかります。衣服については、ゆったりしたものにし、襟元をゆるめて通気をよくしたり、吸汗・速乾素材や軽・涼スーツ等を活用するのもよいでしょう。
(2)こまめな水分補給
のどが渇く前に、1日あたり1.2L、起床時と入浴前後にも水分を補給しましょう。また、大量に汗をかいた時は塩分も忘れずに摂りましょう。塩分は、市販のスポーツドリンクや経口補水液、塩タブレットで摂ることができます。ただしスポーツドリンクなどは、糖分がたくさん入っているものあるので、摂りすぎには注意が必要です。アルコール飲料は、どのような種類であっても、尿の量を増やし体の水分を排泄してしまうため、水分補給にはなりません!
(3)急に暑くなる日に注意
急に暑くなった日に外で過ごしたり、久しぶりに暑い環境で活動したり、涼しい地域から暑い地域へ旅行した場合は、暑さに慣れていないため熱中症になりやすいです。暑い時には無理をせず、徐々に暑さに慣れるように工夫しましょう。
(4)暑さに備えた体づくり
暑い日が続くと、体がしだいに暑さに慣れて、暑さに強くなりますが、毎日30分程度の運動(ウォーキング等)を継続することで、暑さに強い体づくりができます。これは、熱中症予防だけではなく、日々の健康づくりにも効果的ですね。
(5)自分の体力や体調に関心を持つ
熱中症は、その日の体調が影響します。脱水状態や食事抜きといった万全ではない体調のまま暑い環境に行くことは、絶対に避けましょう。風邪で発熱している、下痢をしている、深酒をして二日酔いの人は脱水状態といえるので、体調が回復するまでは暑い場所での活動は控える必要があります。
新型コロナによる自粛が続いていた中で、今年の夏は久しぶりに外出を! と楽しみにしている方もいらっしゃると思います。熱中症を予防し、暑い夏を楽しんで乗り切りましょう!