情報メディア「卵子凍結UPDATES」の担当者が、卵子凍結のリアルをさまざまな視点から紹介していく本企画。
前回は、卵子凍結に興味をもつ女性に焦点を当ててお伝えしましたが、今回は実際に卵子凍結を行った3名の方に、当時の様子についてお話を伺いました。
■アキさん(30代後半)
今回、アキさんには「働きながらの卵子凍結」について、病院選びや周囲とのコミュニケーションの取り方など、お話を伺いました。
Q. 職場の人とはどのように話していた?
私の勤める会社は女性が少ない環境なので、女性系の相談、例えば月経に関することなどは言うといろいろと面倒臭いことも。ですので、「検診」や「通院」のように多少ぼやかして話していました。卵子凍結をすることについては職場の人には話さなかったです。
Q. 通院はどのようにスケジュールを立てていた?
私の場合は、生理不順のために低用量ピルをずっと飲み続けていたので、生理日も分かりやすく、計画は立てやすかったです。なるべく仕事を休まないために、祝日など会社が休みの日も採卵を行える病院を探して、そこで行いました。
Q. 採卵をしたあとの副作用などは?
幸いなことに体調面では本当に何もなかったんですよね。ただ、採卵が終わったあとに通常は次の月経が来るんですけど、生理不順だったのでちゃんと来るのかなという不安はありました。
アキさんの場合は通院計画が立てやすく、また副作用も起こらなかったことで仕事への影響はそれほど大きくありませんでした。ですが、、個人差もあるため、無理のないように医師とよく相談しながら計画していきましょう。
■ノゾミさん(40代前半)
ノゾミさんには、卵子凍結前後における「気持ちの変化」について、当時大変だったことや実際に行ってみて感じた心境のお話を伺いました。
Q. 卵子凍結をすると決めてから気をつけていたことは?
とにかく身体のコンディションを悪い方に持っていかないように睡眠をしっかりとることと、タンパク質やアミノ酸をとることを特に意識していました。
Q. 卵子凍結中、気持ちの変化は?
薬によってホルモンバランスに影響を受けて、悲しくもないのに涙が止まらなくなったり、感情のコントロールができない時に、誰でもない自分自身に振り回されたりして、苦しかったですね。
Q. 卵子凍結後、気持ちの変化は?
子どもがほしいかどうかわからない状態でしたが、可能性をゼロにしたくないという気持ちが強かったです。卵子凍結をする中で自分の体とも向き合うことになり、子供を持つ、家庭を持つという選択もありかもな、と思い始めましたね。
いい意味で、意外とそんな気持ちが私にもあったんだという発見でした。
採卵までの過程では、ホルモン剤を使用することで、ノゾミさんのように感情のコントロールに苦しむ場合もあります。ですが、将来に可能性を残せたことで気持ちの面で前向きな変化がもたらされたのは素晴らしいことですね。
■ヒトミさん(30代前半)
ヒトミさんには、検討中の方に向けて「体験者となって感じた苦労や世の中に足りないと思うこと」についてお話を伺いました。
Q. 卵子凍結をしてみて、大変だったことは?
初診から採卵までの間に集中して何度か通院しないといけないのですが、働きながらだったのでそこが大変でした。私の職場はわりと時間の使い方が自由なので、融通をきかせることができましたが、出社が必須だったりスケジュールをオープンにしたりする必要がある職場の場合は通院のハードルが高い気がしました。
Q. どうしたらもっと一般的になる?
卵子凍結自体は知っているけど、「高そう」とか「怖い」というなんとなくのイメージしか持てていない人が多いように感じます。なので、具体的な費用感とか、どういう流れで行われるのかというように、中身をもっと知ることで広がっていくのではないかと思います。
Q. 今、迷っている人に伝えたいことは?
キャリアを優先したいので、今は子どもをほしいと思っていませんが、10年後気持ちが変わっているかもしれないと思って決めました。今迷っている人がいたら、将来のキャリアを広げるためにいい手段だということを伝えたいです。
ヒトミさんのように「今、子供はほしくない」と思っている方や、「子供がほしいか分からない」と考えている方にとって、卵子凍結は"将来への保険"とも言えますね。
■まとめ
さまざまな背景がありますが、身体への負担や感情の変化と向き合ったり、卵子の成熟具合によってスケジュールの調整が必要だったりするので、そういった場合も考慮して検討する必要があります。
次回は、近年加速する企業の福利厚生導入の背景に迫ります。