先日、男友達から「少女漫画のコラム読んだよ。ひとつ引っかかるところがあってさ」と言うので、かなりドキッとして内容を聞いてみたら、「『ガラスの仮面』の回で、日給が1,500円は安すぎるんじゃないかという下り、今から30年前なら、そのくらいが相場だったんじゃないか?」とのことだ。で、少々計算らしいことをしてみたら、なるほど、高いとは言えないけど、ない金額ではなさそう。やはり男性のツッコミは、データ寄りの内容なんだなあと思ったのでした。

ちなみにその人から、夜中の2時に「ソープに行く先輩の話は、俺がモデルのような気がする。できるなら頭のいい人の参照で出たかった……」というメールが来た。先日出版した『30歳女を鍛える転び学』(グラフ社)という本を読んでくれたようだ。人生に悩んだとき、こんな風に考えると元気が出るよ、ということを笑いと涙で教えてくれるすばらしい本なのだが(さらりと宣伝)、出演内容に文句を言われたのは初めてである。

さて『BANANA FISH』といえば、どうにもこうにも気になっているシーンが3つほどある。「まあそういうところはご愛嬌だろうよ」とお思いになるかもしれないが、まあ愛すべき作品だからこそ突っ込みたくなるということで。

まず序盤、ドースン博士の家に進入し、アッシュがコンピュータをいじるシーンがある。当時、まだまだパソコンなんてものは普及してない時代、作中で「使えるの!?」などと言われているが、どうも腑に落ちない部分がある。「BANANA FISH」という謎の言葉を追っているアッシュは、コンピュータにこんなことを打ち込むのだ。「what is BANANA FISH?」。ピーとなって回答不能、と言われるのだが、昔のコンピュータって、こんな質問ができる機能があったの? どうにも、こんな抽象的な質問を受け付けてくれそうな気がしないのだが、どなたか教えてください。

また、ゴルツィネに捕まって、両手を鎖でつながれるアッシュ。最初、この鎖はお仕置き部屋(?)の天井の梁に巻き付けられているのだが、次のシーンになると突然その鎖は、レバーによって長さの調節ができるように形が変化しているのだ。おそらく、ショーターとのシーンを急に思いついて、状況に手を加えたのだろうけれど、できればコミックス収録の際に、そこも手直しをしてほしかったような……ああ気になる。

そしてヲトメ萌え全開の、アッシュ数学解答シーン。犯罪者向けの知能テストを受けさせられたアッシュが、嫌がらせに「高等数学」のページのミスプリを指摘するというもの。これ、いったいどんな問題を解いていたのだろう? 知り合いの阪大主席に聞いてみたところ……さっぱりなんのことかわかりませんでした。まあ大抵、女は数学に弱いことが多く、それをスラスラと解いちゃうところが萌えなのだが、主席が言うには、要は「1分間に1万回計算をして出したような解答をしている」とのこと。通常は、コンピュータを使って計算することを自力で解いて、矛盾を発見してミスプリを指摘しているらしいのだ。アッシュの超人的能力は、コンピュータをも凌駕していたのである! ちなみに「数列を見てフィボナッチだと思うのも、数学を専門にしている人間の発想」とのこと。……しかしアッシュのおかげで、日本人女子の間ではフィボナッチ数列の知名度は爆発的に高そうだがな。

さんざん盛り上がって連載が伸びた(多分)おかげで、あのラストは大抵の人間が予想がついたと思うが、熱烈なファンの中には、「英二と一緒に日本に行って、学園ものにしてほしい」と熱望した人もいたようである。好きなキャラが出てくると、その学ラン姿が見たいというのは、どうやらヲトメ萌えらしく、それを実際に思い切ってやっちゃったのが『覇王愛人』なのだろうが、アッシュがいくら17歳かそこらだからって、あのハードな物語の後に学園ものはないだろ。

常々、物語を見るときに、男はシステムや物体(ロボットの名前とか性能)重視、女はキャラ重視だと感じるが、アッシュを見るためならシステムなんかどうでもいいという、女子のキャラ重視姿勢が伺えるエピソードである。
<『BANANA FISH』編 FIN>