Apple PayのモバイルSuicaは、おサイフケータイのモバイルSuicaと異なり、どのクレジットカードを紐付けても年会費無料で利用できる(おサイフケータイはビューカードが発行または提携するクレジットカード以外を登録した場合1,030円の年会費が必要)。前回はApple PayのモバイルSuicaへの紐付けに適した年会費無料のカードを紹介したが、今回はより還元率を重視する人にオススメのカードを紹介する。
■「ビュー・スイカ」カード
まずはビューカードが発行する「ビュー・スイカ」カード。前回の記事でも触れたが、ビューカードが発行するクレジットカードは、モバイルSuica利用を含むJR東日本の「VIEWプラス」対象商品を購入した場合に、ビューサンクスポイントが1,000円につき6ポイント(=15円相当)貯まり、1.5%の高還元を得られる。そのなかでも「ビュー・スイカ」カードは、年間利用額に応じたボーナスポイントも貯まることが特徴だ。
ボーナスポイントは年間30万円以上利用で100ポイント、70万円で400ポイント、100万円で600ポイント、150万円で1,000ポイント。集計期間は毎年4月から翌年3月で、それぞれ達成した翌月にポイントが付与されるため、最大で2,100ポイント(=5,250円相当)を獲得可能。年150万円利用なら、還元率が0.35%アップすることになる。
通常利用時は月合計1,000円につき2ポイント(=5円相当)が貯まり、還元率は0.5%。そのため、できるだけチャージや定期券購入などSuica利用の比率を増やすことが、還元率をアップさせるカギとなる。貯まったポイントはSuicaへのチャージに利用できるほか、各種商品券やクーポン券、Suicaのペンギングッズや鉄道グッズなどにも交換可能だ。
年会費は515円だが、ビューカード発行のカードは「Web明細ポイントサービス」に登録して明細書の郵送を止めると、毎月Web明細の発行があるたびに20ポイント(50円相当)のプレゼントがあるため、これだけで最大600円相当のポイントが貯まる。毎月利用していれば、年会費を払ってもおつりがくる計算だ。
国際ブランドはJCB、Mastercard、Visaの3種類から選択可。VisaはApple Payのオンライン決済に非対応のため、WalletアプリではSuicaにチャージできないが、Suicaアプリを使えばオンラインでチャージできる。オートチャージも利用可能で、これはビューカードが発行または提携するカードのみ対応した機能となっている。
■REX CARD
ジャックスが発行する「REX CARD」は、カカクコムと提携したカードで、毎月のショッピング利用合計額2,000円につき30ポイントが貯まる。ポイントはカード利用代金に充当できる「Jデポ」またはANAのマイルと交換でき、Jデポの場合は1,500ポイント=1,500円分になるため、還元率は1. 5%。ANAのマイルに交換する場合は、1,500ポイント=300マイルとなる。
年会費は2,700円だが、初年度は無料。2年目以降も前年に50万円以上のショッピング利用があれば無料となり、毎月4万1,667円の利用があればクリアできる計算だ。なお、年間利用額の計算は、たとえば4月に入会した場合、初年度は4月から翌年4月まで、2年目からは毎年5月から翌年4月までの利用分となる。
国際ブランドはVisaのみ発行で、Apple Payのオンライン決済には非対応だが、Suicaアプリを使えば、Apple PayのモバイルSuicaにオンラインでチャージ可能。基本1.5%の還元率は、現在発行されているクレジットカードのなかでは最高レベルなので、ぜひメインカードとして検討してほしい1枚だ。
■Extreme Card
同じくジャックスが発行する「Extreme Card」は、毎月のショッピング利用合計額1,000円につき10ポイントが貯まる。2,000ポイントごとに「Jデポ」または「Gポイント」に交換でき、Jデポの場合は2,500円分となり1.25%還元、Gポイントの場合は3,000ポイントとなり1.5%還元。
Gポイントは提携する企業のポイントや航空マイル、電子マネー、銀行へのキャッシュバックなどにポイントを交換できるサイトで、基本は1ポイント=1円相当。交換先によっては5~10%の手数料が必要となるが、多くは対象サービスを利用すると手数料分のポイントがバックされ、キャンペーンで交換レートがアップすることもある。
また、「Extreme Card」のポイントは有効期限が2年となっているが、Gポイントの有効期限は最終ポイント増減日から1年。Gポイントはアンケートの回答や広告のクリックなどでも貯められるため、一度Gポイントに交換してしまえば、あとは実質無期限で利用できる点でも使いやすい。
年会費は3,240円だが、初年度は無料。2年目以降も前年に30万円以上のショッピング利用があれば無料となり、毎月2万5,000円の利用があればクリアできる計算だ。なお、年間利用額の計算は前述の「REX CARD」同様で、たとえば4月に入会した場合、初年度は4月から翌年4月まで、2年目からは毎年5月から翌年4月までの利用分となる。
国際ブランドはVisaのみ発行で、Apple Payのオンライン決済には非対応だが、Suicaアプリを使えば、Apple PayのモバイルSuicaにオンラインでチャージ可能。GポイントはSuicaポイントにも交換できる。
前回の年会費重視編、今回の還元率重視編の2回にわたり、Apple PayのモバイルSuicaと相性のいいカードを紹介したが、メインカードとして使いたい人も、チャージ専用のカードとして使いたい人も、年間利用額やポイントの使い道、有効期限を踏まえて選ぶことが大切だ。また、「楽天カード」や「Orico Card THE POINT」など、人気の1%還元のカードも、モバイルSuicaの利用はポイント対象。Suicaの利用額が少ないなら、わざわざ新しいカードを作らず、保有カードのなかからポイントが貯まるものを選んでもいいだろう。
ちなみに、常時2%還元の「LINE Pay カード」、FX取引と組み合わせて最高2%還元となる「マネパカード」といったプリペイドカードも、Apple Payには非対応だが、Suicaアプリを使えばチャージに利用でき、ポイントやキャッシュバックの対象となる。プリペイドカードへのチャージ、モバイルSuicaへのチャージと、2段階のチャージが必要になるが、より還元率を重視するなら実践する価値のある方法だ。
(※クレジットカードの用語などは以下を参照)
『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』
※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
<著者プロフィール>
タナカヒロシ(ライター・編集者)
普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。