クレジットカードには購入した物品の破損や盗難に対して補償を受けられるショッピング保険を付帯したものも多いが、スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなど、持ち運びを前提とする精密機器は補償対象外になることが一般的。対象となる場合でも、保険が適用されるのは購入から90日、長くても180日程度になる。
しかし、ショッピング保険とは別に、モバイル端末を対象とした保険機能を備えたカードも存在する。今回は保有または追加サービスに加入するだけで、モバイル端末の保険が使える3つのカードを紹介する。
1.タブレット・パソコン保険が使える「アスキーカード」
三菱UFJニコスとオリコの2社から発行されている「アスキーカード」は、「タブレット・パソコン保険」を付帯。カードの年会費は2,145円で、初年度は無料となる。
補償対象となるタブレットは、A7サイズ以上で、標準で電話機能が搭載されていないもの。パソコンに関しては、市販のパソコンだけでなく、自作パソコンやCPU・マザーボード・グラフィックボードなどのパーツ類、プリンタなどの周辺機器まで補償対象となる。
保険は入会1カ月後から有効となり、国内での偶然の事故による破損や盗難などが対象。補償限度額は1事故につき10万円が上限となる。補償額は事故日より2年以内に「アスキーカード」で購入していた場合は残存価格の100%、それ以外の場合は70%となり、どちらも免責額(自己負担額)として1万円が差し引かれる。
残存価格は取得価格・市場価格資料および対象物使用年数に基づき計算され、購入から1年以内であれば取得価格の100%、2年以内は90%、3年以内は80%、4年以内は70%、5年以内は60%、5年を超えると一律で50%となる。ただし修理金額が残存価格よりも低い場合は、修理金額を基準に補償額は計算される。
たとえば1年半前に5万円で購入したタブレットが盗難された場合、残存価格は90%の4万5,000円で、免責額として1万円が引かれるため、「アスキーカード」で支払いをしていれば3万5,000円、それ以外の方法で支払いをしていれば2万4,500円が補償される。
なお、三菱UFJニコスとオリコの両社とも「タブレット・パソコン保険」に関しては同一の内容だが、ポイントプログラムなど細かいサービス内容は異なる。ちなみに三菱UFJニコス発行のカードは、「楽Pay」に登録およびリボ手数料の支払いがあった場合は、次年度年会費が1,457円に割引される。
2.18種類の補償が受けられる「Yahoo! JAPANカード」
「Yahoo! JAPANカード」は年会費無料だが、月額539円(初回申し込みは初月無料)の追加サービス「プラチナ補償」に加入すると、スマホやタブレットを含む18種類の項目で補償が受けられるようになる。
「携帯電話水濡れ・全損補償金」では、「Yahoo! JAPANカード」で購入した携帯電話機が、水濡れなど偶然の事故により全損し、有償で交換(液晶パネルや電池など一部のみ交換の場合は対象外)した場合に、年1回5,000円まで補償される。携帯電話機はソフトバンクであれば「あんしん保証パック」など、通信会社が提供する有償の保証サービスの対象である必要がある。
また「電子デバイス災害補償金」では、「Yahoo! JAPANカード」で購入した情報端末(スマホ、タブレット、パソコンなど)が、火災、落雷、破裂、爆発、風災、水災(床上浸水に限る)などの災害により損害を受けた場合に、年1回10万円までを補償。補償額は修理費用または時価のうち低いほうの金額となる。時価は購入後6カ月未満であれば購入額の100%、1年未満であれば90%、2年未満は80%、3年未満は60%、4年未満は40%、4年以上は20%だ。
「車上荒らし被害補償金」もスマホやタブレットは補償対象。こちらは「Yahoo! JAPANカード」で購入した商品が、日本国内で車上荒らしによって盗難や破損の被害に遭った際に、年1回5万円まで補償を受けられる。補償額は修理費用または商品購入額のうち低いほうの金額となる。
さらに「海外旅行持ちもの損害補償金」もスマホやタブレットは補償対象。こちらは「Yahoo! JAPANカード」で購入した商品を海外旅行に携行した際に、偶然の事故で破損や盗難に遭った場合、年間最高5万円まで補償される。補償額は商品購入価格の50%で、破損の場合は破損商品の提出が必要となる。
このほかにも「プラチナ補償」では、「Yahoo! JAPANカード」で購入した様々な商品の修理・破損・盗難補償、宅配郵送事故補償や返品補償、ネット売買トラブル、交通トラブル、自転車事故、急な病気や怪我で行けなくなった旅行のキャンセル料やイベントのチケット代金、家族が傷害事故で死亡した際の帰省費など、日常生活の幅広い領域で補償を受けることができる。
3.モバイル端末の保険を付帯する「ミライノ カード PLATINUM」
「ミライノ カード PLATINUM(JCB)」は、スマホ、タブレット、デスクトップパソコン、ノートパソコン、スマートウォッチ、モバイルゲーム機、モバイル音楽プレイヤーと、幅広い範囲をカバーした「モバイル端末の保険」が利用できる。プラチナカードということもあり年会費は2万7,500円だが、その分サービス内容は充実しており、24時間365日対応のコンシェルジュデスクなども利用可能だ。
「モバイル端末の保険」の補償対象は、メーカー発売日から5年以内の無線通信接続が可能な通信端末機器。メーカー発売日から5年以上経過した製品でも、入会日(既存会員は初年度保険開始日)から遡って1年以内に購入したことが証明できる通信端末機器であれば補償対象となる。
通信端末機器は日本国内で発売されたメーカーの純正品で、日本国内で修理および購入可能であることが条件。また、「ミライノ カード PLATINUM(JCB)」で購入した商品である必要はなく、同居家族の通信端末機器も補償対象となる。
保険は入会初日から適用開始となり、年1回まで請求可能。偶然の事故による破損や水濡れ、国内での盗難などが補償対象となる。補償額は修理可能な場合は実費(上限5万円)、修理不能および盗難の場合は購入価格の25%(上限1万2,500円)だ。
「ミライノ カード PLATINUM(JCB)」の申し込み資格は20歳以上(学生不可)で、年収700万円以上が審査の目安。「モバイル端末の保険」は同じ住信SBIネット銀行から発行されているデビットカード「ミライノ デビット PLATINUM(Mastercard)」でも利用でき、こちらは15歳以上であれば原則審査不要で発行可能。年会費は1万1,000円となる。申し込み方法は「ミライノ デビット(一般)」からの切替のみのため、まずは「ミライノ デビット(一般)」の申し込みが必要だ。
今回紹介したカードは、いずれも年会費またはサービス月会費が発生するため、別途スマホ保険などに入った場合と比較することが望ましいが、うっかり破損や紛失をしてしまいがちな人は検討してみてはいかがだろうか。
なお、保険の適用条件は複雑で、必ずしも表記された満額が補償されるわけではない。申し込み前には公式サイトなどで、詳しい条件を確認してほしい。
■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)
普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。