「俺の資料、なんでこんなにダサいんだ……」プレゼン資料作りに煮詰まった時、上司や先輩からダメだしされた時、誰しも一度は呟いたことがあるワードかもしれません。

そんな言葉をそのままタイトルにした、ビジネスパーソンに向けた資料デザインの書籍『俺の資料がダサすぎる!』(ソシム刊)がこの秋に刊行されました。

  • 『俺の資料がダサすぎる!』(著・平本 久美子/漫画・よしだゆうこ、ソシム刊)

「資料デザインの超基礎が漫画でわかる」という一冊、『俺の資料がダサすぎる!』連載の最終回は、著者の平本久美子さんと漫画を担当したよしだゆうこさんに「脱・ダサ資料」のヒントや書籍の見どころを伺いました。

→『俺の資料がダサすぎる!』を試し読み!

  • 監修・デザインを担当したデザイナーの平本 久美子さん、漫画を担当したよしだゆうこさん

引き継いだ資料データ、そのまま使ってない?

――「俺の資料がダサすぎる」というタイトル、自分の身にも覚えがあってドキッとしています。「資料デザインの超基礎」を解説している書籍とのことですが、たとえばどのような考え方があるのでしょうか。

  • 『俺の資料がダサすぎる!』(著・平本 久美子/漫画・よしだゆうこ、ソシム刊より引用)

平本:こちらの「定期健康診断実施のお知らせ」、オフィスに掲示されていても、パッと見て何が書かれているのかわかりづらそうです。この資料の「タイトルだけ」手を加えてみましょう。

  • 『俺の資料がダサすぎる!』(著・平本 久美子/漫画・よしだゆうこ、ソシム刊より引用)

  • 『俺の資料がダサすぎる!』(著・平本 久美子/漫画・よしだゆうこ、ソシム刊より引用)

タイトルを大きく書けるように文章を「健康診断のお知らせ」と短くし、フォントサイズを大きく、また太くて存在感のある"ゴシック体"のフォントに変更しています。タイトルを変えただけで、ぐっと見やすくなりました。

――でもこの書き方だと、小さいフォントで書かれた文章が見落とされませんか?

文字のサイズが全部同じだと、逆に見落とされやすいんです。デザインにおいて「メリハリを付けること」は重要なこと。タイトルと本文に強弱を付けることで、まずタイトルで存在に気づいてもらえます。そこから必要があることとわかったら、小さいフォントでも読みますよね。新聞の見出しと同じ見せ方です。

――シンプルな資料もちょっと意識するだけで読みやすくなりますね。

こういった資料によくあることですが、昔から引き継いだ定型フォーマットを何も疑わずに使い続けて、読みづらい資料になっている方も多いはず。書いた原稿をそのまま流し込んで完成! ではなく、ちょっとポイントを押さえれば伝わる資料になりますよ。

ダサい資料はなぜ直した方がよい?

――『俺の資料がダサすぎる!』本編は主人公の営業マン・みつるが資料作りに悩むお話ですが、「みつるの作った資料」がまたなんとも言えないダサさです。

  • 主人公が作ったNG資料の作例。身に覚えがあるダサさ…… 『俺の資料がダサすぎる!』(著・平本 久美子/漫画・よしだゆうこ、ソシム刊より引用)

よしだ:既視感があります(笑)。

平本:このNG作例は我ながら良い出来でした(笑)。雰囲気でデザインした資料を沢山見るうちに「ダサくなるからやっちゃいけないこと」がわかってきましたね。矢印を使ったデザインとか。

よしだ:タイトル背景のグラデーションとか、PowerPointの吹き出しとか。「吹き出しのデザイン、もっとあるやん~!」と思っちゃいますね。でもだいたい作っている時はダサいと気づかないもの。そこを「ちょっと待って!」って言いたい本です。

――目立たせたい! 情報盛り込みたい! という思いは伝わるのですが……。

よしだ:でも、キレイな写真を使っているチラシがあったとして、デザインのクオリティが微妙だと印象も下がってしまいませんか?

平本:社外向けの資料は会社自体やサービスの印象にも直結します。外注するまでも無いけれど、資料のデザインをどうにかしたいという時に役立つ本として作りました。その一方で、プロのデザイナーに発注するノウハウを紹介した章もあります。ぜんぶ社内で作ろうとせず、ここぞという時はプロに頼んだ方が良いことも伝えたいですね。

  • 『俺の資料がダサすぎる!』(著・平本 久美子/漫画・よしだゆうこ、ソシム刊)

よしだ:分かりやすい資料づくりは、ビジネスパーソンのパフォーマンス向上にも繋がります。『俺の資料がダサすぎる!』ではそこに重点を置きました。また「時短」もテーマにしています。

平本:「資料作成の時短」に加えて、「受け取り手に伝わる時間が短くなる時短」の意味もあります。レイアウトに著作権はありません。デザインテンプレートを使ったりマネできることはどんどん取り入れて、ダサさを感じさせない資料をパッと作れるようになってください。

直球すぎるタイトル、企画のきっかけは?

――『俺の資料がダサすぎる!』、タイトルが直球すぎる書籍、かつ漫画でデザインが学べることも特徴的な一冊です。企画の経緯を教えてください。

平本:2020年秋に発行した前作『デザイナーじゃないのに!』(ソシム刊)は、デザイナーではないけれど自分でデザインをしなければならない方に向けた、漫画でわかるデザイン書籍でした。第2弾は企画の段階から「ビジネス向けにしよう」と決めていましたね。ただビジネスパーソンがデザインで苦労していることって何だろう? と考えて突き詰めた結果、「スライドや資料を作っている時に、自分がデザインをしている意識がない」ことにたどり着いたんです。

  • 写真右は、前作『デザイナーじゃないのに!』(著・平本 久美子/漫画・よしだゆうこ、ソシム刊)

平本:『俺の資料がダサすぎる!』という攻め気味のタイトルは、だいぶ悩んで二転三転しました。前作を踏襲して『デザイナーじゃないのに! ビジネス版』という候補もあったものの、デザインしている意識がないから「デザイン」という言葉が敷居を上げそうだなと……。

よしだ:苦労しましたね。最終的に「資料がダサくなっちゃう!」というお悩みをタイトルにしました。「あなたの資料をかっこよくする!」より「ダサすぎる」のほうが、なんとかしなきゃと困っている方に届けられそうなので。

平本:前作の『デザイナーじゃないのに!』も悩みそのままのタイトルですが、Amazonのレビューでは700件近くコメントをいただいて、評価も★4.6と大変嬉しい反響が寄せられています(2022年12月12日時点)。デザイン書だけど敷居が低い、漫画だから読みやすくてわかりやすいというレビューもあり、届けたい人に伝わったのかなと感じています。

またビジネスパーソンのリアルな現場の声を知りたいと思い、「何を作るのか・何で悩むのか」というアンケートを取って構成の参考にしています。皆さん社内資料をはじめ、社内・社外用スライド、DMなど様々な資料を作られていますが、一番悩んでいたのは「レイアウト」、次いで「配色」でした。「フォント」も多かったですね。どれもワントピックで解説するように落とし込みました。

癖の強いキャラも続々! 漫画だからサクサク読める

――デザインと聞くと敷居が高く感じられますが、マンガなのでサクッと読めてしまいます。

よしだ:平本さんからもらったシナリオの面白さを活かしつつ、漫画として面白い本にしようと強く意識しました。また、「もうちょっとイイ感じに」とざっくりした修正を頼んでくる営業部長や、調子に乗り気味の後輩といったキャラがいますが、全編通して嫌な人は出さないようにしています。

――困った上司もや要領の良い後輩キャラも、憎めないし身近にいそうなメンバーですね。

  • 濃い登場人物たち『俺の資料がダサすぎる!』(著・平本 久美子/漫画・よしだゆうこ、ソシム刊)

平本:私は真面目な「阿玉型夫」くんがお気に入りですね。ロボットみたい(笑)。

よしだ:私は後輩の「今時ケント」が気に入ってますね。かなり趣味が入ってます(笑)。前作『デザイナーじゃないのに!』の主人公も、今作の主人公・みつるの妹として登場しています。

平本:「整列・近接・強弱・反復」というデザインのルールを擬人化した「4大ルールマン」は前作からさらにパワーアップさせて再登場です。夫婦と言う設定を加えたり、よりわかりやすい見せ方になりました。

  • 「デザイン戦隊 4大ルールマン」参上!!癖が強い! 『俺の資料がダサすぎる!』(著・平本 久美子/漫画・よしだゆうこ、ソシム刊)

――デザイナーでなくとも、デザインの基礎を知ることで資料作りの苦手意識がぐっと下がりそうです。最後にマイナビニュースの読者に一言お願いします。

平本:「主人公の作ったNG作例」にピンと来た方は手に取ってほしいですね。時間をかけているけど、納得できる資料が作れないとか、このままじゃまずいと悩んでいたらぜひ読んでください。

よしだ:前作は小学生の方も読んでるという話を聞きました。今回の『俺の資料がダサすぎる!』も、難しいことは何も書いていない「世界一敷居の低いデザイン本」です。

→『俺の資料がダサすぎる!』を試し読み!

『俺の資料がダサすぎる!』(ソシム刊)

  • 『俺の資料がダサすぎる!』平本久美子・著/よしだゆうこ・漫画(ソシム刊)

資料作成の超基本がマンガでわかる本

必要な情報を詰め込み、なんとかレイアウトして、
写真やフォントも自分なりに工夫して、とにかく時間をかけて作った資料。
それを「見づらい」「ダサい」なんて言われたら、メンタルやられちゃいますよね。
この本では、なぜ資料がダサく、見づらくなるのか、その根本原因にアプローチ!
ほんのちょっとのコツを掴むだけで、あなたの資料が見違える………かも。

平本久美子・著/よしだゆうこ・漫画

定価:1,980円(本体価格 1,800円)
発売日:2022年10月25日
判型/ページ数:A5/224ページ(オール4C) ISBN:978-4-8026-1383-5

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ソシム『俺の資料がダサすぎる!』