2024年に導入が迫る「新NISA(ニーサ)」。「話題になっているけど正直よくわからない」超初心者の疑問に答えます。回答してくれたのは、ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんです。

  • 「新NISA」制度は何歳から、何歳までメリットがある?

    「新NISA」制度は何歳から、何歳までメリットがある?

Q. 何歳の人にメリットがありますか?

「新NISA」口座は18歳から開設でき、年齢の上限はありませんので成人であれば、どなたでも口座を開設することができます。自分に関係あるかどうかを知りたい方はぜひこの後の記事も読んでいただけると判断しやすいかと思います。

お金に働いてもらう資産運用とは

そもそも「新しいNISA制度」がスタートする背景として、金融庁の資料「はじめてみよう! NISA早わかりガイドブック」によると、「日本には2000兆円を超える金融資産が眠っているものの、その過半はリターンの少ない現預金で保有されており、この現預金を投資につなげ、勤労所得に加えて金融資産所得を増やしていくことが肝要とである」と書かれています。つまり、自分で働いて収入を得るだけではなく、お金にも働いてもらいながら資産を形成していくことが大切ですということです。

インフレリスクに備える

高齢化がすすむ中、資産形成の重要性も増しています。元本は確保されるが、リターンはほとんどない預貯金だけでは将来のインフレリスクに備えることができないのが現状です。預貯金には元本が減るリスクはないとはいえ、物価が上昇すればそもそもの現金の価値は減るので、実質的にはマイナスになっています。

イメージとしては、10年前のビッグマックは1つ330~360円で買えましたが、2023年現在では、450~500円。TDLの2013年の1デーパスポートは大人6,200円だったのが、7,900円~1万900円と変動価格制ではありますが、値上がりしています。

では10年間、100万円を定期預金に預けていた場合の利息はどうでしょう。2013年の定期預金金利の平均が0.037%で、満期時の受け取り利息は税引き前3,703円、税引き後2,951円です。

仮に年3%で10年間運用した場合、税引き前30万246円、税引き後23万9,252円です。投資なので、必ずしもこの通りにはなりませんが、あくまでも例えとして考えてみましょう。

この税引き前と税引き後とは、利息や利益に対して20.35%の税率で税金がかかるため、税引き後が実際に受け取る金額です。え! そんなに税金が引かれるの?! と驚いた方は、NISA口座が向いているかも知れません。その理由はこの後に説明しますが、このことからもわかる通り、この10年間だけでも状況は大きく変化しており、デフレからインフレへと現金の価値が変わり、預貯金だけではなく、元本が確保されない資産運用も取り入れながら資産を形成する必要があるのです。

そこで今のご自身の気持ちを確認してみましょう。2つ以上にチェックが付いたらNISA口座を検討してもいいでしょう。

□将来のインフレリスクに備えたい
□お金に働いてもらうには預貯金では無理があると思う
□利益に対する税金20.35%は取られ過ぎだと思う

  • 「新NISA」口座の内容 金融庁「はじめてみよう! NISA早わかりガイドブック」より

上の表は「新NISA」口座の内容です。現行NISAの一般NISA口座と、つみたてNISA口座を合体させた強化版といった感じです。NISA口座でできることは、つみたて投資枠では「長期・積立・分散」に適した一定の投資信託で積み立てながら投資ができるもので、成長投資枠は上場株式や投資信託を購入、積み立てることができます。そして、NISA口座の最大の特徴としては、投資などで出た利益に対する税金が非課税となりますので、先ほど例として挙げた年3%で100万円の運用益が、税引き前30万246円そのまま利益として受けることができるというわけです。ですから、せっかく投資で利益を出しても約20%も税金で引かれるのは嫌だな、損だなと思う方はぜひNISA口座で投資をすることをおすすめします。

1年間の投資枠はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円の合計360万円で、総枠が1800万円で、売却をしたらその翌年に投資枠が復活しますので、1,800万円の総枠の中で繰り返し投資をすることができる仕組みです。

これから将来に向けてコツコツと資産運用をしたいと考えているなら、「新NISA」口座がおすすめと言えるでしょう。もちろん今からNISA口座を開設すれば、そのまま「新NISA」口座が同じ金融機関で自動的に作られ、つみたてNISAや一般NISA口座※で積み立てている投資信託もそのまま引き継がれますので、手間がありません。
※一般NISA口座の積み立ての場合は一部引き継がれない金融商品もあります。

資産運用は長期で考える必要がありますので、少額からでもコツコツと投資をする仕組みを「NISA口座」で作ってみてはいかがでしょうか。