何もかもがなかなか決まらない

ひとり旅の行き先はどのようにして決めるのかというと、成り行きが多い。国内に限らず海外だってそうだよ、っていうと、読者の皆さんは信じられないかもしれない。仕事柄、2、3カ月も前に予約はできないし、浮気性なのか、拡散系なのか、いろんなことに興味がわいていくので行き先を絞りきれない。ということで、航空券やきっぷがとれるか否かという偶然性で、旅先が決まる。

こういう性分は、旅行会社にとって天敵になる。そりゃそうだ。いつまで経っても旅先が決まらない。質問は長く、細かい。時間単位で採算性を求められる旅行会社にとっては厄介だろう。そこで、インターネットで航空券やホテル、旅行保険をすべて手配する。もっとも、トータルで安いかっていうとそうではないんだが、ま、性分だからしかたがない。

航空券の手配は、「トルノス」を使っている。トルノスはJTBグループのi.JTBが運営していて、海外航空券、海外ホテルを検索、予約できるサイト。便利なのは空席があるものだけを検索してくれること。様々な航空会社の便を組み合わせてくれるので、混雑時にも強い。また、周遊フライトも検索できるので、例えば出国便の到着国から帰国便の発着国の間を鉄道で旅する、というプランも組みやすい。

日本では、連絡船に列車を乗せて運ぶなんていうのはもう見られない。なので、ドイツを目指すわけだ。「渡り鳥ライン」とも呼ばれ、写真は、船に入ったICE

さて、今回の旅は迷った。クロアチアかルーマニアも考えたのだが、ドイツとデンマークを連絡船で列車ごと海峡を渡るという旅も魅力的だ。結局後者に決めたのだが、それが12月中旬。トルノスで飛行機の空席を確かめながら、一昨年中欧を旅したとき同様に昨年同様「ヨーロッパ鉄道チケットセンター」で鉄道を予約。

しかし。日本出国便の到着地が決めきれない。せっかくドイツに行くならば、鉄道にもっと乗りたい。帰国便は、コペンハーゲンでフィックス。せっせとトルノスで周遊フライトを探す。ブダペスト、ウィーン、ワルシャワ、ベルリンと候補地があがる。

ようやくベルリンに決めたのが、12月18日の1時30分すぎ。ネットでの支払い期限は18日2時。「まだ20分近くあるから楽勝だな」と思ってMacBOOKのキーボードを触る。しかし、サイトが重い。MacBOOKの調子が悪いのか、ネット環境が悪いのか、先ほどまではさくさくいっていたサイトがなかなか進まない! 再起動してもダメ。時計の針はどんどん2時に近づく。「5、4、3、2、1、0! 」と自分でカウントダウンしてゲームセット。しかたがないので、ふて寝して旅行は半分あきらめた。

教訓1: 「オークションのノリで支払いをしてはいけない」

だが、やっぱりあきらめきれないのが人の性。翌日検索すると、値段は上がるのだが、スカンジナビア便で30日の東京 - ベルリン、コペンハーゲン発がとれ、予約。でも、なんとなく決めきれないので翌日も検索。すると、出てきた出てきた。エールフランスでパリで乗り継ぎ、ベルリン行き。ここで「パリからドイツに鉄道に行くっていう手もあるね」なんて邪心が生じた。そこで、出国便の到着地をパリに決定。ところが、「前日をチェックしてごらん」っていう悪魔のささやきが聞こえたのだ。しかし探してよかった、もっとリーズナブルな12月29日成田発パリ行き、1月5日コペンハーゲン発アムステルダムで乗り継いで成田着っていうので確定だ。

このときの時間12月20日0時27分。支払い期限は同日2時。さあ、あと1時間半あるので、同じ失敗はしないぞ、とトルノスのページを進む。あと少しだっと思ったら、落とし穴。「クレジットカードのネット会員のIDとパスワードを入力せよ! 」というメッセージ。「覚えてないよ。そんなの」といろいろ試すがはねられる。クレジットカードのサイトに入って、再パスワード申請。そんなこんなで、ようやく支払い完了したのが1時24分だった。ふう。

教訓2: 「一度あることは二度ある(かもしれない)」

でもね、それからも大変。鉄道の予約を変更し、銀行に行って振り込み、宅配便で送ってもらう。ところが、ハンブルグ、コペンハーゲンの宿は決まったが、パリがなかなかいいのがない。とあるサイトでリーズナブルなホテルを予約したのだが、予約がとれないというメールがきた。それが出発2日前の12月27日。そこでトルノスでホテルを探し、予約完了したのが28日に日が替わる直前。欲を出してさらに予約していたTGVの鉄道切符が宅急便で届いたのが出発日前日の28日の午後。なにやっているのかね、上杉くん状態だ。ま、これらは段取りが悪い私が全く悪いのである。なんやかんやで前日パッキングし、出発日を迎えた。

ああああ。夢が広がるヨーロッパ鉄道の旅。TGVも乗ってみたいし。写真はパリ・リヨン駅

予想外の6時間遅れ

パリに向かっているはずの時間なのに。成田山経由パリ。どんどんエッフェル塔が遠くなる

当日、成田空港に着いたのが飛行機出発2時間前の11時。自動チェックインして、パリ行きのカウンターに並ぶ列の最後尾につく。ところが、前のおばちゃんから飛行機が約6時間遅れって聞いて目が覚めた。カウンターでトランクを預けたら、ゲートに18時すぎに集合と指示される。

ミールクーポンは渡されたのだが、時間が有り余ってしょうがない。そこで成田山に行こうと改札へ。ところが、成田駅に停まる電車は1時間に1回だってさ。仕方なく空港をぶらぶらして、13時発の快速に乗って成田駅着。成田山で道中安全を祈願し、駅の方向へ参道を戻ると、お腹が減ってきた。参道はうなぎ屋さんが多い。そこで、いちばん混んでいるうなぎ屋を選んで中に入る。

成田駅。門前町である成田の参道にはうなぎ屋が多い

「う~ん、マーベラス!! 」。大当たりである。身は厚く、脂もよく乗っている。国産うなぎというわけか、ほくほくしている。隣の席のおばちゃんたちは、「今年は海老蔵来ないね」なんて話している。聞くと、地元の人的にもこの店がいちばんおいしいとのこと。

教訓3: 「幸せは意外なところに落ちている」

出てきたうな重。うまい!

幸せになった私は、成田空港行きの電車が30分間隔で出ている京成線で空港に戻った。そして、パリ行きの飛行機は約6時間遅れで出発し、シャルルドゴール空港に着いたのは現地時間23時をまわった頃だった。

ようやくパリに着く。シャルル・ド・ゴール空港内の移動は電車