“サンパチ”の愛称で親しまれたスズキの「GT380」。販売期間は1972年から1978年なので、絶版車となってからすでに45年の月日が流れているわけだが、今だといくらくらいで購入できるものなのか。そもそも、サンパチとはどんなバイクだったのか。バイク王で実物を見てきた。

  • スズキの「GT380」

    今や絶滅危惧種となった2ストローク3気筒エンジンを搭載するスズキ「GT380」(写真はバイク王茅ヶ崎絶版車館で撮影)

こだわりの3気筒4本出しマフラーがシブい!

「GT750」や「GT500」で「2ストロークのスズキ」と呼ばれるほど世界的な成功を収めたスズキが、満を持してミドルクラスに投入したのがGT380というバイクだ。

搭載するのは最高出力38ps/7,500rpm、最大トルク3.8kgm/6,500rpmの371cc空冷2サイクル直列3気筒エンジン。「GT250」が積んでいた2気筒エンジンに1気筒を追加する形で開発したとの逸話を持つ名機だ。

特徴的な形状のマフラーがサンパチの代名詞。左右のシリンダーはそれぞれ1本ずつのエキゾーストパイプだが、中央シリンダーのエキゾーストパイプは1in2の左右出しで、3気筒ながらシンメトリーの4本出しとなっている。

  • スズキの「GT380」
  • スズキの「GT380」
  • 「GT380」の車両サイズは前輪のブレーキシステムにより異なる。写真の前輪ディスクブレーキ仕様は全長2,090mm×全幅815mm×全高1,125mm

もうひとつの特徴は独自の空冷方式。エンジンの熱対策として「ラムエアーシステム」を採用している。シリンダーヘッドにボックス状のエアダクトを設け、エアーボックス内に空気を送り込む仕組みだ。これにより、冷却効果は水冷並みまで大幅に向上したという。

  • スズキの「GT380」

    飛行機から着想を得たという「GT380」のラムエアーシステム

メカメカしくて重量感を感じさせるフォルムは500ccクラスに迫る風格。性能も500cc並みだ。

GT380のコンディション維持は大変?

バイク王茅ヶ崎絶版車館の岡本拓也さんによれば、バイク王では年間20台ほどのGT380を買い取っている。車両販売価格は平均すると160万円ほどだが店頭に並ぶことは少なく、多くは現状販売の通信販売を行っているそうだ。理由は「スズキ系のパーツ流通の少なさ」にある。

「私たちも店頭で販売させていただきたいとは思っているのですが、販売するからには責任を持たなければいけません。GT380は純正パーツがなく、リプロパーツが少ないこともあって、その責任が取りづらいという事情があります」(以下、カッコ内は岡本さん)

バイク王の買取車両でよく見られるのがエンジンの不調だ。

「2ストロークなので煙を吐きますが、正常以上に煙が出てしまったり、異音が発生するものも少なくありません。また、これは私の主観になりますが、いつか乗ろうと思って所有しているけれど、結局乗らずに手放される方が多い印象です。保管している間にシートが破れてしまったり、ブレーキが固着してしまうなど、エンジン以外の部分で劣化が進んでしまうというケースも多いですね」

漫画やアニメにも取り上げられる人気車種だけに、GT380を欲しがる人はやっぱり多いと岡本さん。GT380と長く付き合っていくポイントは?

「スズキの専門店が少ないので、メンテナンスについての知識が少ない方が購入する場合には、どこで整備をしてもらうのかという問題が出てくると思います。そうならないためにも、購入前に整備してくれるショップを探しておくのが長く乗るコツかもしれません」

  • スズキの「GT380」
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  • スズキの「GT380」
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■Information
取材協力:バイク王茅ヶ崎絶版車館
【場所】神奈川県茅ヶ崎市下町屋1-10-26
【営業時間】10:00~19:00
【定休日】水曜日
【備考】記載の情報は取材時のもの。車両の在庫状況や現車確認を希望の場合は0120-222-393まで要問い合わせ