数々の人気シリーズを有するカワサキのなかでも、トップクラスの人気を誇るマッハシリーズ。3気筒3本出しという独特のスタイルを400ccクラスで継承しているのが「400SS」だ。一体どんなバイクなのだろうか。

  • カワサキ「400SS」

    普通自動二輪免許でマッハの爆発的な加速が味わえる? カワサキ「400SS」(写真はバイク王茅ヶ崎絶版車館で撮影)

350SSの後継モデルとして誕生

最高速度198km/h、ゼロヨン12.4秒の記録をたたき出し、世界最速の称号を獲得したカワサキ「500SS マッハⅢ」(H1)は、1969年に国内販売が始まると、白煙を吐きながら見せるそのエキサイティングな走りで多くのバイクファンを魅了した。個性的であり過ぎたからなのか、付いた異名も「ジャジャ馬」「直線番長」「暴れ馬」「クレイジーマッハ」など枚挙にいとまがない。

その後、「250SS」(S1)、「350SS」(S2)、「750SS」(H2)が加わり「マッハ」はシリーズ化されていった。そんな中、1974年に350SSの後継車として登場したのが400SS(S3)だ。

  • カワサキ「400SS」
  • カワサキ「400SS」
  • 「400SS」の車両サイズは全長2,025 mm×全幅810mm×全高1,130mm

外観は350SSから大きく変わった。タンクは丸みを帯びた細長い形状に変更となっている。

搭載する2ストローク空冷3気筒エンジンは排気量が400ccにアップ。一方で、最大出力は2馬力ダウンの42PSとなった。

マッハシリーズといえばエンジン由来の強烈な振動も特徴だが、400SSではラバーマウントの採用により振動の軽減を図り、扱いやすさを向上させている。

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    2ストローク空冷3気筒エンジンは、1971年の初期型350SSから代を重ねるごとに徐々にパワーダウンしてマイルド化していったが、マッハの代名詞でもある強烈な加速は400SSでも健在だ

熟成が進んでいったマッハシリーズだが、1976年には「KH」へと名称を変更。400SSは「KH400」にバトンタッチする形でわずか2年の生産を終了し、その歴史に幕を下ろした。

イメージとは裏腹に維持しやすい?

SS400の流通事情はどうなのか。バイク王茅ヶ崎絶版車館の岡本拓也さんによれば、バイク王による年間買取件数は年によって上下しており、10台に迫る年もあれば5台を割り込む年もあるという。車両販売価格は店頭販売の場合で260万円ほど。通信販売では200万円前後から販売しているそうだ。

通信販売は現状販売となるため価格が抑えられるというメリットがある。一方で、古いバイクだけに購入後にトラブルがあった際、交換パーツが手に入るかが心配だ。そのあたりについて聞いてみると、岡本さんからは意外に「維持しやすいバイクですよ」との答えが返ってきた。

「やはりマッハは人気が高い分、専門店も多くてリプロパーツが豊富に供給されています。これは、もともと共通のパーツが多いので、コスト面の採算が取りやすいという側面があるのかもしれません。半面、共通パーツが多いだけにニコイチ、サンコイチの車両の可能性もありますが、気づくのは正直、難しいと思います」(以下、カッコ内は岡本さん)

  • カワサキ「400SS」
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  • バイク王茅ヶ崎絶版館に置かれていた「400SS」はエンジンのフィン欠けもなく、キャブレターやヘッドライトステーなど貴重な純正パーツが数多く残っていた

壊れやすいイメージのあるマッハシリーズだが、長くマッハライフを楽しむためのコツはあるのだろうか。最後に岡本さんに聞いてみた。

「買取車両でよく見られるのが、キャブレターのトラブルです。なかでもキャブレターの同調が狂っている車両は非常に多いんですが、そのままだとアイドリングが安定しないなどの症状が出てしまって、バイクの性能をすべて引き出すことはできません。また、キャブレターのセッティングがうまくできていないと、エンジン焼き付きの原因になることもあります。なので、特にキャブレターはしっかりとメンテナンスをして乗っていただくと、マッハ本来の走りが長く楽しめるのではないでしょうか」

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■Information
取材協力:バイク王茅ヶ崎絶版車館
【場所】神奈川県茅ヶ崎市下町屋1-10-26
【営業時間】10:00~19:00
【定休日】水曜日
【備考】記載の情報は取材時のもの。車両の在庫状況や現車確認を希望の場合は0120-222-393まで要問い合わせ