こんにちは。管理栄養士の大柳珠美です。このコラムでは、忙しいビジネスパーソンでも手軽に実践できる内臓脂肪を減らす食生活情報を、お伝えしていきます。

太っている人ほど栄養失調にご用心!?

これまで、内臓脂肪がたまる食後高血糖のメカニズムをお話してきました。ごはんとみそ汁だけといった食事や、もりそば、おにぎり、菓子パンだけというような糖質のみの食事を続けていると、肥満が促進されるばかりかエネルギー代謝に必要なたんぱく質、ビタミン、ミネラル(無機質)などの栄養素が欠如してしまう恐れがあります。

中でも、カルシウムやマグネシウムは、インスリンが血液中の糖分を細胞内へ取り込んでエネルギーへ変える際に不可欠です。また、亜鉛もインスリンの合成や分泌といった糖質の代謝をはじめ、脂質・たんぱく質の代謝、細胞分裂、活性酸素の除去など生体のさまざまな機能に関係する栄養素です。

ビタミンというと、野菜に多く含まれていると思われている方も少なくないようですが、ビタミンB群は肉や魚に多く含まれているのが特徴です。ミネラルは海藻や干しえび、干し椎茸などの乾物をはじめ、大豆製品、魚介類に豊富です。このような代謝促進に欠かせない栄養素をしっかり確保するためには、おかずを食べることが欠かせません。つまり、糖質中心の食事をしている人ほど、上記で挙げた必須栄養素の欠損が懸念されるのです。

実際に何をどう選べばよいのか

外食や中食の場合、まずはおかずを選びましょう。主食は後です。ステーキ、唐揚げなど肉料理は脂や皮を残すと余分なエネルギーや飽和脂肪酸もカットできます。ハンバーグはおいしいのですが、脂を取り外せないことに加え、つなぎにパン粉(糖質)を使っているので避けた方が無難です。また、ハンバーグやステーキなどの料理の付け合わせのフライドポテトやスパゲッティナポリタン、バターコーンなどは糖質が多く含まれているので残す方が安心です。食べたいときは、その分、ごはんやパンを半量、残すなどして調整しましょう。基本的に、糖質はごはんやパンなど主食で摂りましょう。ごはんなら茶碗軽く1膳(120g)、パンならバケット2切れ程度を目安にし、おかわりはやめる習慣を身につけましょう。

魚料理の場合なら、刺身、焼き魚、煮魚といったものがおすすめです。フライやてんぷらはNGです。魚はDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)など必須脂肪酸の供給源でもあります。魚介類(イカ、エビ、タコ)も高たんぱく質、低エネルギーでおすすめです。

次に副菜です。ヘルシー感のあるサラダや煮物も、ポテトサラダやマカロニサラダの場合、栄養素は糖質と脂質しか期待できません。海藻サラダ・わかめの酢の物、めかぶ酢、もずく酢は、副菜に添えてほしい一品です。海藻にはミネラルをはじめ、食後高血糖を防ぐ水溶性食物繊維が豊富に含まれていて、内臓脂肪の予防に役立ちます。

最後に主食ですが、具のないうどん、そば、パスタのほか、カップラーメン、カレーライス、チャーハン、ピラフなど糖質の単品メニューは避けるか、半量程度を残しましょう。その分、サイドメニューなどでおかずをオーダーしてください。お菓子や甘い飲み物は、減量中はできれば我慢していただきたいのですが、どうしても食べたいときはノンシュガーやカロリーオフの飲料を利用するか、ゼリー、寒天、ヨーグルト、季節のフルーツなどを少量楽しむとよいでしょう。

次回は実際の飲食店メニューを想定し、内臓脂肪減少に役立つメニューの選び方、残し方のポイントを紹介していきます。

(イラスト:いいあい)