先日、久しぶりに対面で資産形成セミナーの講師を務めました。マスク越しに話すのはかなり疲れますね。でもコロナ禍ですから、講師の私も「新しいセミナー様式」に慣れなければいけません。そして、コロナ禍でも対面セミナーに参加いただける方々ですから、熱心さは平熱以上でした(笑)。そんな熱心さを感じた場面を再現してみましょう。

  • 「卵は一つの籠に盛るな」って本当はどういうこと?

    「卵は一つの籠に盛るな」って本当はどういうこと?

私「卵を一つの籠に入れて落としてしまうと全部割れますよね。でも、卵をいくつかの籠に分ければ、万一のことがあっても全部が割れることはありません。投資でもこのように分けて管理すること、つまり、分散投資が大切なので、“卵は一つの籠に盛るな”っていう投資の格言にもなっているんですね」。

と説明すると参加者のAさんからご意見がありました。

Aさん「でも、全部割れても、一部しか割れてなくても、割れたことには変わりないですよね。それって、損の大小はあっても、結局、分散投資をしても損をするってことじゃないですか。私はそんな分散投資をやりたいとは思いません」。

Aさんがあまりにもきっぱりとおっしゃるものですから、一瞬たじろいでしまいました(笑)。でも、Aさんのおっしゃることも一理あります。というか、ここで終わっては投資の格言として成立しません。実は続きがあるのです、この格言には。

私「卵が全部割れるとそこで終わりです。でも全部割れなければ、割れずに残った卵が雛になり、親鳥になってまた卵を産みます。つまり、"長い時間"をかけることで卵の数は元の数より増えるのです」。

私「もうひとつ重要な存在が"卵"。壊れやすいモノというだけならガラスのコップでもいいのですが、ガラスのコップはコップを生みませんよね(笑)。"卵"は雛になり、親鳥となって、再び"卵"を産みます。つまり、"卵"は"収益を生む"存在として使われているのです」。

Aさん「つまり、この格言は"分散投資"だけでなく、"収益を生む"投資対象に、"長期投資"を行うことが大切だと言ってるんですね。よく分かりました!」

さすが、熱心なAさん、理解もとても早かったですね(笑)。