クルマの記事を読んでいると、「ゴルフはCセグの代表格で……」とか、「ついにBセグのSUVが……」などといったように、アルファベットと「セグ」なる言葉の組み合わせに出くわすことがあります。セグはセグメントの略のようですが、この言葉は何を意味するのでしょうか? モータージャーナリストの内田俊一さんに聞きました。
各セグメントの代表的なクルマは?
ホンダが先日、今秋に正式発表予定の11代目「シビック」を公開した。その歴史を振り返る説明の中に、「1972年の登場以来、世界の人々に驚きをシビックはお届けしてきました。人気を博した3代目のワンダーシビック、低全高でスポーティーな5代目のスポーツシビック、グローバルモデルとして成長した8代目のシビック。そして好評の10代目では、世界のCセグメントをリードするまでに至ったのです」とある。つまりシビックは、Cセグのクルマなのだ。
まず、ABCなどのアルファベットはクルマのサイズを表している。セグメントとはつまり、区分のことだ。同じ意味としてセグメントをカテゴリーと言い換え、「Aカテ」「Bカテ」などと呼ぶ場合もある。
この呼び方だが、主に欧州で使われ始め、徐々にグローバル化されていった。従って、日本車にあてはめた時に、違和感を覚えることもあるだろう。サイズはもとより、日本では価格面で明らかに競合にはならないクルマでも、同じセグメントに入ってくることがある。そういうクルマは、彼の地では競合関係にあるということをご理解いただきたい。
では、どんなサイズのクルマをAやBなどのセグメントにあてはめているのか。実は、これには厳密な決まりがない。メーカーごとにさまざまな基準を設けており、中には「A1」「A2」など、より細分化している例もある。そこで、今回の説明では、あくまでも一般的にいわれている代表的なクルマ達を例にとり、それぞれのセグメントにあてはめてみたい。
Aセグメント=mini cars
全長約3.8m以下のクルマ達で、日本の軽自動車もここに含まれる。トヨタ自動車「パッソ」やダイハツ工業「ブーン」、輸入車ではフォルクスワーゲン「up!」などがAセグメントに入る。
Bセグメント=small cars
全長がおよそ4.2mほどのクルマで、日本車ではトヨタ「ヤリス」、ホンダ「フィット」など。欧州ではフォルクスワーゲン「ポロ」やプジョー「208」などだ。
Cセグメント=medium cars
全長4.6mほどのサイズで、欧州では最も競争が激しいセグメントである。日本ではホンダ「シビック」、トヨタ「C-HR」、日産自動車「リーフ」など。欧州車ではフォルクスワーゲン「ゴルフ」、アウディ「A3」などがこのセグメントの代表車だ。
Dセグメント=large cars
全長が4.8mほどで6気筒エンジンなども搭載するクルマ達がこのセグメントに属している。例えばBMW「3シリーズ」やメルセデス・ベンツ「Cクラス」、日本車では日産「スカイライン」やレクサス「IS」などである。
Eセグメント=executive cars
5mほどの全長を誇る大型セダンやSUVなどで、メルセデス・ベンツ「Eクラス」やBMW「5シリーズ」など。トヨタ「クラウン」もこのセグメントだ。
Fセグメント=luxury cars
Eセグよりも大きいサイズのクルマ達がこのセグメントに当てはまる。メルセデス・ベンツ「Sクラス」やBMW「7シリーズ」、レクサス「LS」などが代表車種である。
実は近年、いわゆる「隙間商戦」とまではいわないが、それぞれのセグメントの間を狙ったモデルも増えてきている。例えばサイズはCセグでありながら、装備やエンジンレベルはDセグレベルを搭載した「C/Dセグ」のクルマもあるし、SUVでは各セグメントの間に位置するクルマも少なくない。従って、あくまでもこのセグメントの区分けは参考程度とお考えいただいた方がいいだろう。