黄色いナンバープレートでおなじみの軽自動車。昔からたくさんの「軽」が街を走っていますが、ここへきて、どんどん台数が増えているような印象すら受けます。そもそも軽とはどんなクルマで、どういった来歴を持つ車種なのでしょうか。モータージャーナリストの内田俊一さんに聞きました。
黄色のナンバー、理由は?
元々、軽自動車は普通車(登録車)と同じ白ナンバーだった。クルマにはサイズによって「3ナンバー」や「5ナンバー」といった区別があるが、軽はサイズが小さいので、ナンバーの右上の数字が「8」だったことも以前はあった。ナンバープレート自体は戦前から取り付けが義務化されていたが、その話はまた機会があれば。
さて1975年、軽自動車のナンバープレートは現在の黄色に黒文字(事業用車両は黒に黄色文字)になった。大きな理由は2つある。ひとつは、高速道路の料金所で軽自動車を識別しやすくするためだ。高速道路などで軽自動車は割引となるが、まだETCなどがない時代、料金所の係員が簡単に識別できるよう、軽のナンバーを黄色にした。
そしてもうひとつの理由は、取り締まりをしやすくするためだ。その昔、高速道路での最高速度は登録車の100km/hに対し、軽は80km/hだったのだ。
なぜ黄色が選ばれたのかは定かではないが、識別のしやすさ、文字の読みやすさなどがポイントであろう。
戦前から続く軽自動車の歴史
せっかくなので、軽自動車の起源についても触れておこう。日本で「軽自動車」という言葉が使われだしたのは昭和24年のこと。法律改正により、自動車の種類として従来の小型自動車が「小型自動車」と「軽自動車」に分割されたのが始まりだ。翌年には、軽自動車の対象は2輪車、3輪車にまで広がった。
昭和24年の軽自動車の定義は「全長:2.8m、全幅:1m、全高:2m、排気量:150㏄(4サイクル)あるいは100cc(2サイクル)、出力:1.2KW」だった。この数値以下に収まるクルマを軽自動車としたのだ。その後は前述の通り2輪車、3輪車まで対象が広がり、たくさんのメーカーが出現して数多くの軽自動車を作るようになった。その中には「スズライト」で一世を風靡したスズキも含まれていた。
軽の定義は昭和30年に変わり、3輪と4輪は「全長:3m以下、全幅:1.3m以下、全高:2m以下、排気量:0.360L以下」と定められた。このあたりからは、なじみのあるスバル「360」やホンダ「N360」、マツダ「キャロル」などの登場により、軽が一大ムーブメントになっていく。
その後も、サイズと排気量は徐々に拡大していった。現在は「全長:3.4m以下、全幅:1.48m以下、全高:2m以下、排気量:0.660L以下」となっている。
軽自動車は自動車の普及に一役買ったが、そもそもの目的のひとつとしては、個人商店などがビジネスに使うという用途がメインに考えられていた。そのため、登録車と比較して税金も安く設定されていたことから、庶民の足として急速に普及していったという背景がある。昭和30年ごろには、軽が当時の若者たちの憧れにもなった。そのため、若者向けにハイチューンを施したスポーティーなグレードも登場し、さらに人気が上がっていったのである。