南海電鉄の難波駅と関西空港駅を結ぶ特急「ラピート」は今年の春、いきなり全身を真っ赤に塗り替え(いや、ラッピングなんですけどね)、「フル・フロンタル仕様」になって世間の一部を騒がせました。その「世間の一部」側にいる筆者も大いに沸きまくり、当連載でも今年5月、テンション上げ上げでその模様をお伝えしました。

南海電鉄の特急「ラピート」がLCC「Peach」の特別デザインに!

「赤いラピート」の成功で、南海電鉄も「しめしめ」と思ったかどうかはわかりませんが、今度は「ラピート」が白色(と桃色)になってしまいました。シャアの赤から、連邦の白いヤツに……というのは、いまちょっと思いついた筆者のこじ付けなんですが。

真っ白な顔の「Peach」カラー「ラピート」が入線

関西国際空港を拠点に活躍するLCC「Peach」とのコラボレーションで誕生した、「出逢えたらラッキー Peach×ラピート ハッピーライナー」という、期間限定の特別な「ラピート」です。全6編成のうちの1編成だけこのラッピングで走るので、当たる確率は1/6。だから「出逢えたらラッキー」なんだそうです。見ると幸せになれるといわれる「ドクターイエロー」みたいな、そういうご利益があるのかもしれません。

難波駅で出発式が開催され、ホームにたくさんのファンが集まった

「Peach」客室乗務員らによるフォトセッションも

この列車が運行開始される9月7日、難波駅9番ホームで出発式が行われました。筆者も今回、報道関係者として取材に入ることに。スペシャルな「ラピート」を見ようと、駅には大勢のファンが詰めかけていました。

車内のデッキ付近数カ所に、「小さな幸せ」ハートマークのステッカーが

11時20分、誇らしげに入線してきたのは、真っ白な顔の「ラピート」でした。筆者は「Peach」の飛行機に使用されるピンク色をなんとなくイメージしていたこともあり、「あれっ!?」とちょっとだけ思いました。

そう、この列車の先頭車はほぼ半分以上が白いのです。前から見ると完全に白色で、先頭車の途中からピンクや紫など、「Peach」の飛行機のような鮮やかなカラーリングになっていきます。正面から見るのではなく、ちょっと離れて横から見ないと、あまり「Peach」っぽくないのですね。

出発式でテープカットが行われた後、この列車はすぐに出発してしまうとのことで、急いで列車に乗り込みました。今回は報道関係者として入っているため、できる限り乗客の迷惑にならないように、すばやくデッキに潜みます。この車両を使用する最初の列車は、難波発関西空港行の特急「ラピートβ41号」。11時30分、大勢のファンや関係者らに見送られつつ、難波駅を発車しました。

その後、この日の列車で乗客をもてなすため、「Peach」からやって来たキャビン・アテンダントさんの笑顔や、突如現れた謎のピーチブラザーズの姿などを撮影している間に、あっという間に関西空港駅に着いてしまいました。難波駅からの所要時間わずか37分。とても速いです。いやもう本当に、「ラピート」というだけのことはありますね。

「Peach」客室乗務員がノベルティグッズの配布など乗客をおもてなし

「速い」という意味のドイツ語が由来という「ラピート」が衝撃的なデビューを果たしてから、早いものでこの9月で20年になります。雑誌だったか何だったかでその姿を最初に見たとき、筆者は、「これってきっと想像図で、実際はもっと普通の格好の電車になるんやんね」なんて思っていました。

でも、じつはそれは本物の写真だったのです。車両形式は50000系。いきなり5桁です。阪神・阪急の車両の10倍(!?)。ゼロがひとつ多いその形式だけでも、すでにただ者ではありません。海の底を思わせる深いブルーの塗装は、まるで『海底2万マイル』の挿絵に出てくる潜水艦のようなスタイルです。「南海」という会社名とも相まって、筆者の中で想像の翼が広がり、南方の神秘の海底に秘宝を探しに行く人が乗る列車(そんな人が列車に乗って行くかどうかは置いといて)のように感じたものでした。

「Peach」カラーの特急「ラピート」は9月中、ほぼ毎日運転される予定

そんな「ラピート」が「Peach」カラーに変貌した特別デザインの列車「出逢えたらラッキー Peach×ラピート ハッピーライナー」は、これからほぼ1年間、来年8月末まで運行されるそうです。この桃の列車と飛行機を乗り継いで、筆者もこの秋、自分だけの「桃源郷」を探しに行こうかと思っています……。