お金の話の中でも、特に切り出しにくいのが「相続」問題。しかし、相続問題を放置したままでいると、いざという時、家庭内のトラブルにつながることもあります。また、「うちは資産家でもないし、相続は関係ない」と考える人も多いですが、相続は意外と多くの家庭に関わる問題です。
そこでこの連載では、『ぶっちゃけ相続』(ダイヤモンド社)の著者で税理士の橘慶太氏に、家族と一緒に相続の知識を身に付ける方法や相続のトラブル事例、最新の相続ルール変更について詳しくお話を伺います。第5回は、新ルール適用で「生前贈与」しても相続税がかかるケースについて。
生前贈与の「3年ルール」が7年に延長
━━2024年の相続ルール変更では、「相続登記の義務化」という大きなルール変更があったということですが、他にも何か大きなルール変更はありましたか。また、その趣旨についても教えてください。
今年の1月から、生前贈与の「3年ルール」が7年に延長されました。たとえば、お父さんが亡くなる前3年間のうちに、お金を100万円ずつ子どもたちに渡していたとします(生前贈与)。しかし、亡くなる前3年以内に生前贈与していたものについては、「 亡くなった時に手元にあったもの」として相続税を計算しなければいけないというのがこの3年ルールです。
つまり、先に子どもにお金を渡していたとしても、「贈与していなかったものとして相続税の対象にします」というルールなんです。亡くなる直前に生前贈与をしておくと、財産が少なくなりその分相続税を少なくできるので、けっこう皆さん生前贈与をされていたんですね。
しかし、その駆け込みの贈与はやめてということで、この3年のルールが今年の1月1日から7年ルールに改正されました。その結果、「亡くなる前7年以内に行われた贈与は、相続税の対象にする」ということになり、贈与による節税はかなり難しくなりました。
若い人の方が比較的お金を使うので、国としては、「国民にもっと早くから生前贈与をたくさんしてもらったら、若い人にお金がまわって景気が良くなるのでは」という考えがあります。ですので、亡くなる直前ではなく、もっと早いうちから、7年くらい前から贈与を検討して欲しいというのが狙いの一つです。
もう一つは、贈与でがっちりと節税している方がけっこう多かったので、それをできなくさせようという狙いもあります。つまり、若い人のところにもっと早く贈与して欲しい、あとは、贈与による節税をやめさせたい、というのが7年ルールに変更された主な趣旨ですね。
『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】 相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!』(橘慶太 著/ダイヤモンド社 刊)
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