独立・開業には勇気がいります。そして人それぞれの理由があります。もちろん稼ぐことを目的に開業する人もいるでしょう。しかし、それ以上に「思い」を持ってビジネスに取り組まれている人が大勢おられます。ここではそんな人々にスポットを当てて、独立・開業への思いや、新しい人生の価値観などを伺っていきます。

連載3回目となる今回は、大阪府和泉市で女性のための増毛エクステとアロマのサロンUndo代表、西尾和香さんにお話を伺いました。

  • 西尾和香さん

魚屋さんのお手伝いから増毛エクステサロンへ転身

――もともとは魚屋さんのお手伝いをされていたと伺いました。増毛エクステとは全く異なるジャンルだと思うのですが、どういった経緯でサロンを開業されることになったのでしょう。

西尾さん:はい、実はサロンを開業するまでは父が経営する魚屋を手伝っていたんです。母がステージ4の癌になったことで魚屋の事業を縮小することになり、私は魚屋を離れることになりました。

母は抗がん剤の副作用で髪が抜けることに悩んでいたのですが、ちょうどその頃に増毛エクステを知り、母のために資格を取得しました。また、緩和ケアでアロマが使われていることを知って、軽い気持ちでアロマスクールの体験会に参加したところ、アロマの持つ可能性と魅力にはまり、国際資格を目指すまでになりました。

―なるほど、そのようなきっかけがあったのですね。だから西尾さんのサロンでは増毛だけでなくアロマも扱われているのですね。

西尾さん:そうなんです。でも、私ももともとは"アロマは癒やし"というイメージしか持っていませんでした。ところが、アロマが自律神経やホルモンに影響を与えることや、トップアスリートがアロマを取り入れたメンタルケアやコンディショニングマッサージを受けていることを知ったのです。

そこで、アロマセラピスト、アスリートアロマトレーナー、メディカルリンパセラピストなどの資格を取得しました。その後母に増毛エクステや、アロマの施術をしたところ、笑顔が増え、外出を楽しむまでに回復してくれまして、イキイキと今を楽しむ姿を見て、本当に嬉しく思っています。

そんな母を見て、私はもっとたくさんの人がイキイキと過ごせるサポートをしていきたいと思い、サロンを開業しました。

失敗を乗り越えられたのはお客様の言葉のおかげ

―素晴らしい思いを持って活動されているのですね! 開業後、サロンの様子はいかがでしたか?

西尾さん:いやあ、最初は大変でした(笑)。まず新規のお客様を獲得するためにクーポンサイトに掲載したのですが、初回のお試し価格を利用してくださるお客様がほとんどで、リピートに繋がらないことが悩みでしたね。

初回の価格を安く設定しすぎてましたので、次回の価格とのギャップも一つの原因でしたが、それよりもお客様とコミュニケーションがしっかり取れていないことのほうが大きな理由だったと思います。ただ、ご予約いただいたメニューをこなすだけになっていたのが失敗でしたね。

――そのようなご苦労があったにも関わらず、こうしてサロンが成長するまで続けてこられたのは、やはりやりがいがあったということでしょうか。

西尾さん:そうですね、月並みかもしれませんが、お客様からいただく「ありがとう」の言葉は何よりもやりがいですね。

「1カ月、快適に過ごせた」「スッキリした」「楽になった」「西尾さんの施術が好き」「また、お願いしたい」

そんな嬉しいお言葉が私の活力になっています。

自宅サロンをスタートしたばかりの頃は自信もなく、売上も上がらず、落ち込む日もあったんですよ? でも、お客様のお言葉で本当に救われて、ここまでこれました。

それから、お客様への思いとしても、例えばトップのボリュームがなくなってきた、つむじ割れが目立ってきた、といったお悩みに対して、ただ増やすだけじゃなく、しっかりオシャレも楽しんでいただけるようにと施術させていただいています。そういうことも伝わっていると感じられたときは本当に嬉しいですね

  • 施術を行う西尾さん

今後は講師業やセラピストの養成も

――なるほど、西尾さんの想いと確かな技術で多くの女性がイキイキと生活されているのですね。よければ今後の展望などもお聞かせいただけますか?

西尾さん:サロンのお客様によりご満足いただけるよう努力することはもちろん、技術を学びたいというお声もいただいておりますので、今後は講師として、セラピストの養成もしていきたいと思っています

これまで、私はあまり自分に自信がありませんでした。でも開業してから、私を必要としてくれる人がいると実感することができて、それが大きな自信となりました。ですので、今ではこの仕事が私にとっての生きがいとなっています。

開業はリスクもありますが、やりがいはその2倍も3倍もあると思います。勇気を出して開業して、本当によかったと思っています