独立・開業には勇気がいります。そして人それぞれの理由があります。もちろん稼ぐことを目的に開業する人もいるでしょう。しかし、それ以上に「思い」を持ってビジネスに取り組まれている人が大勢おられます。ここではそんな人々にスポットを当てて、独立・開業への思いや、新しい人生の価値観などを伺っていきます。

第11回となる今回は、大阪市生野区で頭痛解消をメインに、さまざまな体の不調を解決に導く「こころ整体院」を営んでおられる崔林泰(ちぇいむて)さんにお話を伺いました。

  • 崔林泰(ちぇいむて)さん

医療4兄弟、末っ子は整骨院からスタート

――ご兄弟もお医者様だと伺いました。皆さんお身体に関わるお仕事をされていらっしゃるのですね。

崔さん:専門学校を卒業して、大阪で就職したのが始まりです。本当は福岡に帰るつもりだったのですが、妻が大阪で就職していましたので、そのまま僕も大阪に途中下車させられた感じです。それからは、専門学校で学ぶ以上に勉強しましたね。

現場で働きながらだったので、すぐに学んだことを実践することもできて、楽しかったです。雇われているうちに試行錯誤しておこうと思っていたので、当時の患者さんや、院長さん達には本当に感謝です。その後「分院」という形で整骨院を1軒任されて、新しいスタッフと約5年近く頑張りました。

治療費とともにお客様層に変化が

―――スタートは整骨院だったのですね。その後、整体院へと変更されて戸惑いなどはありませんでしたか?

崔さん:はい、整骨院時代にわかったことが、「自分にはスタッフは教育できない!」ということでした(笑)。なので、独立するときは完全に自分一人だけの治療院にしようと決めていたんです。

独立開業して一番大変だったことは、やっぱり経営のことですね。全く経営のことを勉強してこなかったですから。職人気質で「腕があれば勝手に口コミで患者さんが集まる」と思っていたのです。インターネットもよくわからないまま、自分ではあまりやりたくない美容系の商品を提供したりしていましたね。

それが1年くらいは続きまして、その後、整骨院としてではなく、完全な自費治療での整体院として再出発しました。

それまでずっと保険治療しかやってきませんでしたので、いきなり高額治療費をいただくことに抵抗がありましたね。ですので最初の整体料金は、なんと1時間1,000円からスタートしました。そこから徐々に、1,500円、2,000円、2,500円、と上げていき、現在の6,500円になるまで、3年くらいかかりました。

不思議なのはそのたびに患者さん層が変わっていったことです。今では車で来院される方が非常に増えました。

これからも、進化し続ける整体院でありたい

――誰もが悩む料金設定のところですね。患者さんが減ってしまうかも……という不安がついて回ったのではないでしょうか。でもそこを乗り越えてこられたからこそ今の治療院があるのですね。そんな中、技術の方も進化されているのだとか。

崔さん:実は1人で治療院をやりだしてから、自身の成長と治療院の発展のために、さまざまな経営セミナーや、手技のセミナーに、月1回のペースで行くようにしています。当初は“頭痛に特化した整体”を謳ってきたのですが、どんな症状にも対応できる知識と技術が身についてきたことで、今はいろんな患者さんに施術させていただいています。本当に嬉しい限りです

――整体院も、ご自身も、常に進化し続けておられてすごいですね。壁に貼られた患者様の喜びや感謝の声がそれを物語っているようです。では今後の展望などありましたらお聞かせいただけますでしょうか。

崔さん:もっともっといろんな患者さんを施術していきたいですし、治療家を目指す若い先生たちに、知識や技術を教えていけたらいいなと思っています。また、コロナ前はお母さんたち向けに整体教室を行っていたので、またそれが再開できたらいいですね

――素敵ですね、崔先生のもとで多くの方が健康になっていかれるのが目に浮かびます。では、最後にぜひ読者の皆さんにメッセージをお願い致します。

崔さん:僕の治療院のコンセプトに「ちゃんと相談できる場所」というものがあります。自分の身体が今どうなっているのか、という解説と、どういう治療をするのか、それを受けることでどうなるのか、ということをしっかり説明しています。これを読んでくださっている方が、もし治療院や整体院を探していらっしゃるなら、ちゃんと相談でき、ちゃんと受け答えができる先生をぜひ探してほしいと思います