憧れのマイホーム。それは多くの人が数十年にわたる住宅ローンを組んで手に入れる、人生で最も大きい買い物だ。しかし、何が起こるか分からない世の中。リストラ、ケガ、離婚などさまざまな事情が重なり住宅ローンの返済が困難になってしまう人も少なからずいる。

この連載では、「任意売却」でローン返済困窮を救済する、全国住宅ローン救済・任意売却支援協会に寄せられたさまざまな相談事例を紹介する。

続けて購入したらさらに好立地のマンションが……

――東京都、30代男性(妻と2人暮らし)の話

東京都目黒区で、ワンルームマンションの1室を投資目的で購入したOさん。新入社員として入社した会社で8年間勤務し、年収も順調に伸びていたが、貯金が少ないため、結婚資金のためのキャッシュフロー目的での購入だった。

1室目を購入してから1年ほどは収支計画も順調に推移していたため、1年後に立て続けにもう2室、同じマンション内の物件を購入した。1室目での実績があったため、追加購入には不安はなかったそうだ。

  • 結婚資金のためのマンション投資に失敗、持ち出し額が1,000万円超に!?

    中目黒にマンションを3室購入。しかし……

しかし3室目を購入して間もなく、より駅に近い便利な場所で、100室を超える新築ワンルームマンションの分譲計画が発表された。そして新しいマンションが竣工する頃には、その影響で3室のうち2室が空室になってしまった。

空室期間が半年を過ぎた後に家賃をそれぞれ1万円以上下げて、やっと入居者が見つかったが、さらに購入後5年間は安かった修繕積立金が値上がり。当初の収支計画は大きくずれてしまった。

Oさんが職場の同僚と結婚をすることになった頃には、ワンルームマンションの経営を始めてから8年が経ち、毎年のキャッシュフロー収支は40万円を超える赤字になっていた。結婚を機に債務超過となってしまっているワンルームマンション3室を売却したいと、協会に相談にきたのだった。

Oさんのマンションは目黒区中目黒と好立地にあったため、購入者を見つけることは難しくなかった。しかしすべてフルローンで購入していたため、元金が多く残ってしまい、1室あたりの相場価格1,800万円に対して残債が2,100万円弱という状態。3室合計すると想定される赤字額は900万円にもなっていた。

Oさんは会社員として得る収入の一部を返済に充てることができていたため、相談担当者は、時間をかけてでもなるべく高い価格で売却することを提案した。その結果、およそ1年の販売期間をとったことで、Oさんが持ち出した金額は350万円に抑えることができた。

その後

ワンルームマンション3室の売却に貯金をほとんど使い果たしてしまったOさんだったが、子どもができるまでは、共働きの妻の収入を全額貯金することにしたのだそう。

相談者の声

「販売経費を含めた持ち出しが最高1,000万円を超えると聞いた時には、血の気が引きました。最終的には貯金で払える範囲内に収まったため、任意売却はせずにすみました。今後は投資はせず、自宅の購入資金をコツコツ貯金しようと思っています」

※相談者のプライバシー保護のため、一部加工しています。
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一般社団法人 全国住宅ローン救済・任意売却支援協会

住宅ローン返済困窮者及び今後滞納する可能性を持つ方々の救済や利益保護を目的に、平成22年に設立された非営利団体。
ローン破たんで競売によるマイホームの強制的な売却を防ぐために、住宅ローン返済条件変更や売却せざるを得ない場合でも、より有利な「任意売却」でローン返済困窮を救済、またその仕組みの認知、普及に取り組んでいる。
「住宅ローン返済に困っている」、「返済を滞納してしまった」、「今後の住宅ローン返済が難しい」など、住宅ローンで困っていることがあれば、全国対応の相談窓口(フリーダイヤル:0120-963-281)、もしくは協会WEBサイトから気軽に相談することができる。