「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第212回のテーマは「子どものやる気の調整方法」です。

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子どものモチベーションをキープするの、大変じゃないですか? 息子はどちらかといえば勉強が好きというか、得意だと子ども本人が思っているタイプなのですが、始めたばかりのときはやる気満々だった家庭学習ワーク、今では苦痛なルーチンと化しています……。

「学習習慣をつける」というのは、親の役目だとは思うので頑張ってやらせているのですが、以前は本人が楽しんでやっていたものを「きちんと」やらせるのは大変です。

かといって、本人がやりたいこともやらせてあげたい。我が家では、子どもの近視予防も兼ねて「1回20分連続して使えるデジタル・デバイスチケット」というルールを運用しています。ゲームやYouTubeを見ることが子どもにとって「最も楽しいこと」になってしまっているので、それをやるために他にやるべきことをやって「チケット」を得てからにして、というルールです。

以前はワークも楽しいし、やればチケットももらえるので「どんどんやりたい! 」と、自分から進んでやっていました。でもここ最近、ワークの丁寧さがどんどん失われ、字は汚いし答えも間違いが増えました。間違えるのは学年が進んで問題の難易度が上がったせいというのもあるのですが、「字の汚さ」はかなり気になりました。なぜなら、学校で張り出されるようなものはもっとキレイな字がかけているからです。

つまり、本当はもっと書けるのに手を抜いて雑に書いてるんですよね。本人に「もっとキレイに書いてほしい」という話をすると、「ワークは丸付けするのはお母さんだから、お母さんしか見ないものは雑でいい」という意見。でも、雑な字が癖になったら困るし、お母さんも字が読めないくらい汚いと丸付けするのが大変。という話をしました。しかし、本人は「僕は字がキレイになりたいとは思ってない」というありさま……。

しかし、本当に息子は「字が汚くてもいい」の? うーん、そんなことはないだろう……。これは別に問題があるのでは? と考えてみました。すると、1年生のときと2年生になってからワークの変化、難易度以外に問題数が増えていました。

例えば前は10日分だったとしたら、12日分になっていたり、前は15ページだったものが20ページに増えていたりする。息子は「早くワークを片付けて、さっさとゲームがしたい」と思うあまり、スピード重視で全体の作業が雑になっていたのです。つまり「早くできるなら」字が汚くてもいい。ということだったんですよね。

これでは、学習習慣をつけるとか勉強自体の楽しさを見出してもらうといった目的が損なわれているなと思いました。お金を出してワークを与えている親としてももったいないし、かといって今の条件のまま無理やり「もっと丁寧にやりなさい」と強制したところでモチベーションが上がることもなさそう。

なので「もっと字を丁寧に書く」「問題を丁寧に読んで、うっかりミスを減らす」ことを条件に、今までの量の半分が終わったところでチケットを1枚ゲットできる条件に設定を変えました。

これはワークの問題量が増えた時点で相談してもよかったと思うのですが、息子の作業が明らかに雑になるまで「成長もしてるし、まあこれくらいの量ならできるだろう」と子どもの能力をちょっと高く見積もってしまったんですよね。ついつい自分の子どもに期待をしてしまい、「もっとできるのでは」と思ってしまうのですが、それでは本人のやる気や丁寧さが落ちて全体のパフォーマンスの低下になるだけだな……と思いました。

私も以前は「子どもが勉強自体を目的にしてほしい」などと思っていたのですが……。成長してゲームにハマり始めたら勉強よりもゲームのほうが圧倒的に好きになり、「ゲームをうまくなる」ことへの意欲ばかり増してしまいました。

かといって「ゲームが好き」という気持ち自体は否定したくないので、「勉強もきちんとやること」という条件をつけて「勉強が終わったらゲームね」という報酬型の誘導をすることになりました。

世の中には「勉強が楽しい」という子どももいるらしいのですが、今のところ息子はそういう方向には行かずにゲームの研究に明け暮れています。なかには、ゲームやデジタル・デバイスをもっと厳重に管理し遠ざけて「学習意欲」にモチベーションが向くようにしている人もいると思うので、環境を整えたり何かを与えたりする裁量は親にあると思うと「本当にこの選択でいいのかなあ……」と迷うことも多々あります。

子どもを尊重することと放置することは違うし、子どもを細やかに管理することと支配することは違います。本人の「嬉しい、楽しい」をなくさずに、かと言って子どもに任せすぎずにケアして管理することはいつも迷いだらけです。

これが正解というバランスはないのかもしれません。子どもと親にとってベストな選択をするためには迷ったり試行錯誤したりするしかないのかなと思っています。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。