「右側or左側のしわやシミが気になります」という方に、私自身が診療の中で出会うことがよくあります。医学実験などでは、しわやシミなどに左右差があることは論じられないのですが、実際の診療では「肌の老化にも左右差があるのではないか」と考えさせられる不思議な場面に遭遇します。

車をよく運転される方や職場のデスクが窓に近い方では、「右手やお顔の右or左側」などが紫外線にさらされる時間が長くなり、片側にしわやシミが多いことがあります。しわやシミが紫外線によって発生することは知られていますが、それだけの理由で左右差が生まれるのでしょうか?

洗顔時は逆手側や洗いすぎに注意

この「左右差の不思議」に対し、私は「利き手」も関係しているのではないかと考えています。器用な両利きの方を除くと、多くの方は「右利き」「左利き」と利き手を持っています。食べ物を片側の歯だけで噛む癖がある人もいます。人間は、無意識のうちに使いやすい片側を酷使しやすい傾向があるようです。

洗顔で言えば、「右利きの人は、顔の右側はよく洗えるが、左側は洗いにくい。さらに逆手側は洗い残しも生じやすい」という傾向もあります。そうだとしたら、日焼け止めを顔に使う場合も、「利き手側はしっかり塗れていても、逆手側はきちんと塗れていない」というケースが起こりうるため、注意が必要と言えるでしょう。肌の汚れがきちんと落ちていない(洗顔料やメイク・日焼け止めが残っている)と、しわやシミ・くすみの原因にもなります。

以上の点から考えれば、逆手側の方がしわやシミができやすい結果になるはずですが、そう単純にはいかないから困ったものです。一般に利き手側は力が入りやすく、ゴシゴシと強くこすって洗ってしまいがち。実はこの「過度な刺激」が原因となって、しわやシミ・くすみなどの肌トラブルやエイジングを引き起こすこともあるのです。「強く洗いすぎることもアンチエイジングを目指す肌にはよくない」と言えます。

利き手側は、洗顔やメイクの洗い落としをしやすい一方、洗いすぎを招く恐れもあります。「肌のアンチエイジング」のためには、ゴシゴシ擦ることは控え、優しく汚れを落としましょう。洗顔法に気をつけることは、今日からすぐできるアンチエイジング法の一つですよ。

次回は「チョコとアンチエイジングの関係」をテーマにしようと思っています。

※写真と本文は関係ありません

筆者プロフィール: 倉田大輔(くらた だいすけ)

日本抗加齢医学会 専門医、日本旅行医学会 認定医、日本温泉気候物理学会 温泉療法医。

日本大学医学部卒業後に、形成外科・救急医療などを研鑚。2007年に若返り医療や海外渡航医療を行う池袋さくらクリニックを開設。「お肌やアンチエイジング」や「歴史と健康」などの講演やメディア出演。海上保安庁が行う海の安全推進活動への執筆協力や「医学や健康・美容の視点」から地域資源を紹介する『人生に効く”美・食・宿”』を執筆。東京商工会議所 青年部 理事。