Googleの創業者も受けていた「モンテッソーリ教育」がベース

AmazonやGoogle、Facebook創業者が皆受けていたことでも知られるモンテッソーリ教育。最近では、イギリス王室がジョージ王子をモンテッソーリ式の保育園に通わせると発表し、話題になった。どんな教育法かというと、発達の段階を科学的に分析し、子どもの自主性、知的好奇心などを育むという。イタリアの女性医師が考案したもので、オリジナルの教具を使うのが特徴。このモンテッソーリの活動をベースにし、現代の日本の子どもにより適した指導を行う学童保育が、東京都港区にある「クランテテ三田」だ。都営大江戸線赤羽橋駅から徒歩2分のビル内1フロアにある。

エレベーターを降りると広々としたエントランス

「クランテテ三田」は、学習塾を運営する「学研塾ホールディングス」と「市進ホールディングス」が共同出資で2013年に設立。未就学児向けの幼児保育(プリスクール)と小学校1~6年生を対象とした学童保育(アフタースクール)に分かれている。教育や塾の分野で培った強みをいかして学習サポートや英語指導などを行い、確かな教育効果を実感してもらうという。

おやつは生協の宅配を利用。子どもたちはとても落ち着いた雰囲気で仲良く食べていた

学校から帰ってきた子どもたちは、まずは宿題・家庭学習をやり、続いておやつ。その後は個々の希望に沿った学習指導や週2回(4月からは週3回)のネイティブ教師による英語授業、最後は自由な遊び時間となっている。「遊んでいる感覚で楽しみながらも何か気づきがあり、結果的には学びになるような遊びの提案をしています」と語るのは、同施設校長の温井伸明氏。夏休みなどには、「紙飛行機をできるだけ長く飛ばすにはどうすればいい? 」というお題を出し、試作や近隣の公園での試験飛行を経て、3日後には飛行機が飛ぶ仕組みの話までするという。

ゲーム感覚で算数の基礎づくり

直径7mmほどの金ビーズで、ビーズ1粒が1を表す

サイコロの出た目で足し算や掛け算をして、金ビーズを増やしていくゲーム。

遊び時間になると、子どもたちがモンテッソーリの教具「金ビーズ」の準備を始めた。幼児の段階から1,000まで数えられることを目的とした十進法の教具だ。ビーズ1粒を数字の1とし、ビーズ10粒を通した棒1本を10、それを正方形の板に10本並べて100、さらにそれを10枚重ねた立方体が1,000を表す。これに数字のサイコロ2つと加減乗除(+、-、×、÷)のサイコロ1つを組み合わせ、出た目に応じ計算して金ビーズを増やすゲームをするという。

1、2年生が足し算や引き算だけでなく掛け算や割り算をしながら、チームで競い合って大興奮な様子。時にはホワイトボードも使って、「17×7は、10が7個、7も7個だね」と先生がアドバイス。夢中になって遊んでいるうちに、計算の基礎ができているというわけだ。

学童保育の入会金は税込3万2,400円、週に5日通うと月に税込4万9,880円(通常月)で、ネイティブ講師による英語レッスンやテキスト・CDを使用した毎日の英語学習費用も含まれている。個別の学習指導や講座などのオプションは追加費用を支払い、希望者が受講している。港区はリーズナブルな公設の学童クラブが充実しているエリア。そのため同施設は定員40名に対して、1、2年生のみが在籍していてまだ定員に余裕がある状況だ(平成27年度)。ただし、数年後にはプリスクールを卒園した子どもが入会予定なので、狭き門になっているかもしれない。

次回の後編では、速読指導や英語授業についてレポートする。

18×6の計算をしているところ。10の数カードを縦に6枚、1の数カードは縦に6枚、横に8枚並べている