家庭教師を選ぶ際、重要なポイントは?

大手集団塾を活用できたら、さらに強い味方となってくれるのは「家庭教師」。親の代わりに家庭学習のサポートや合格への道筋を示してくれる存在です。しかしいざ、家庭教師をつけるとなると、どのような点に気をつけたらいいのでしょうか。

真面目なママほど家庭教師を

中学受験に臨んでいる親にとって憂鬱(ゆううつ)なことの1つに、大手集団塾で定期的に行われるテストがあると思います。

成績が伸び悩んでいる場合、結果を眺めながら「自分がついていたら、もう少し成績が上がったかもしれない……」と考えてしまうママもいるのではないでしょうか。ワーキングママの状態は「忙しいとはいえ、時間には多少の余裕がある。でも心の余裕はない」というもの。専業ママよりは少ないものの、この「多少の余裕」が罪悪感を募らせるわけですね。つまり真面目な性格であればあるほど「もうちょっとがんばれたのではないか」と、自分を追い込んでしまうのです。

そんな自己嫌悪から解放されるためにも、ワーキングママの最大の特徴「多少は自分の自由になるお金がある」という利点を活用して、時間を買いましょう。一番のぜいたくは、家庭教師をつけること。「塾に通いながら家庭教師なんて! 」という声は無視してもかまいません。あるとすればただ1つ、子ども本人の声でしょう。子どもが嫌だと言っている中で、強引に家庭教師をつけるのは、かえって逆効果です。

そもそも家庭教師ほど当たりはずれの大きいくじはありません。よい家庭教師を引き当てるのは、本当に難しい。わが春野家でも、失敗を繰り返してきました。そこで、実体験を踏まえた「よい家庭教師の見つけ方」のノウハウを惜しみなく伝授いたします。

よい家庭教師の見つけ方、5つのポイントはこれだ!

家庭教師をつけるにあたっては、まず体験授業をしてもらうことが基本です。その際、下記の5つのポイントに気をつけて、よい講師かどうかを見極めましょう。

(1)実際に指導にあたる講師に、体験授業をしてもらう
「そんなの当たり前では? 」と思われるかもしれませんが、家庭教師センターの中には、実際には指導にあたらない講師を派遣してくるところもあります。必ず確認しましょう。

(2)講師が用意した問題ではなく、自分たちが用意した問題を指導してもらう
用意してきた教材で、講師が指導を完璧に行うのは当たり前です。本当の実力は、初見の問題をいかに指導できるかで確認することができます。子どもがテストで解けなかった問題などを提示して、その指導の様子を観察しましょう。問題を解くことができなかったり、回答を導くまでに時間がかかったり、説明があやふやだったりしたら、講師を再考する必要がありそうです。

(3)指導に入ったら、必ず席を外して少し離れたところで様子をうかがう
近くで見ていると不要な緊張を与えてしまい、本来の力を発揮していただけないかもしれません。少し離れたところで、講師がリラックスして指導している様子を観察しましょう。こういうときこそ、人間性や教え方の癖が出るものです。

(4)指導後の雑談で感じた"違和感"を見逃さない
話していて「子どもが疲弊しそうだな」と感じた場合は、その直感を見逃さないでください。例えば私の経験で言うと、子どものことを否定するような発言が多い講師は、成績が上がらないことを子どものせいにする傾向があったように思います。子どもからすれば、家庭に見ず知らずの他人が入ってきて、決して好きとは言えない勉強を共にしなければならないのです。この他人があまりにも不快感を与えるような人だったら、子どものモチベーションも上がりません。

(5)身なりもしっかり観察する
着ている服がよれてはいないか、だらしない格好をしていないか、清潔感をポイントにチェックしましょう。社会人として当たり前かもしれませんが、家庭教師として成功している人はやはり、身なりのきちんとした人が多いように思います。

これら5つのポイントにおいて気になる点があれば、何度でも派遣業者や条件を変え、体験授業を繰り返してかまいません。その代わり、「この人いいかも! 」と思ったらお見合いと同じ。「もっといい条件の人がいるかもしれない……」と欲を出さず、逃さないようにしてください。

次回は、「家庭教師」を活用する際、気をつけるべきポイントについてお伝えします。

※画像は本文と関係ありません

著者プロフィール

中学受験ドクター講師 春野陽子
日能研で約10年間にわたって中学受験の国語指導を担当したのち、中学受験ドクターの講師として活躍。元中学受験ママでもあり、2人の息子をそれぞれ巣鴨中学校と海城中学校に合格させた実績を持つ。講師としての立場、先輩ママとしての立場の双方から、親たちに向けた受験のアドバイスを行っている。
中学受験ドクター