今回は、ごく最近になって急にハマッてしまったジミー・ファロンについてのビデオなどをいくつか紹介する。

季節柄「クリスマス・ソングのビデオ特集」みたいな記事でも書こうかとYouTubeを探していたら、マライア・キャリーが「All I Want For Christmas Is You」を歌うこんなおかしなビデオが見つかった。

この「ガラクタ楽団」の真ん中、マライアのヨコでシンバルと太鼓を叩いたり、オモチャの笛を吹いたり、と大活躍している白人男性がジミー・ファロン……11月のはじめに、ハリケーン・サンディの被災者支援ライブで、ブルース・スプリングスティーン、ビリー・ジョエル、スティーヴン・タイラーといった大物音楽アーティストを従えて、決して上手とは言えない「Under The Boardwalk」を披露していたあのMC(番組司会者)である。

Wikipediaにある「Jimmy Fallon」のページをみると、「俳優、コメディアン、歌手、ミュージシャン、テレビ番組のホスト」といった肩書きが並んでいるが、基本的にはモノマネが上手なスタンダップ・コメディアンで、超長寿お笑い番組「サタデー・ナイト・ライブ」の出身者、ということらしい。いまは、2009年3月にスタートしたNBCの深夜枠「Late Night with Jimmy Fallon」という番組をメインに仕事をしているようだ。

ちなみに、ファロンの奥さんは、女優のドリュー・バリモアといっしょにフラワー・フィルムズ(Flower Films)という映画製作会社を立ち上げ、『チャーリーズ・エンジェル』シリーズや、『50回目のファースト・キス』(バリモアとアダム・サンドラーが共演)、『ラブソングができるまで』(やはりバリモアとヒュー・グラントが共演)、それにバリモアが初めて監督した秀作『ローラーガールズ・ダイアリー』などのプロデュースを手がけた人らしい。バリモア、スカーレット・ヨハンソン、ジャスティン・ロング(I'm a Mac)など豪華メンバーでつくられた『そんな彼なら捨てちゃえば?』もこの奥さんのプロデュース作品とか。

さて。YouTubeの「Late Night」チャネルにあるいろんなビデオクリップからも、そんなファロンの多才ぶりが伝わってくる。

ボブ・ディランやニール・ヤングといったフォーク歌手のものまねはかなりよく似ている感じで、スプリングスティーンが途中から出てくるこのビデオもそんなモノマネのひとつ。その一方で、それほど似てはいないけれども、おかしなことを喋ってスタジオにいる観客を笑わせているものもある。

女優のアン・ハサウェイとは、60年代のサイケ(?)をネタにこんなおかしなことも。

[Jimmy Fallon: Let Us Play With Your Look: Anne Hathaway] (どちらかというと、ハサウェイのリアクションのほうが面白いかもしれない。このコントの続編でリンジー・ローハンが出てくるものものもある)

今年は折からの大統領選挙にあて込んで、ミット・ロムニーをずいぶんとイジったりもしていたようだ。言っていることがよくわからなくても何だか笑えてしまうというのがすごい。

このほかにもオバマとロムニーをネタにしたコントがたくさん公開されている……と思ったら、なんとオバマ大統領本人までこの番組に出演していた。

また今年はじめには、ホワイトハウスを訪れて、ミシェル・オバマ大統領夫人と綱引きなどの体力比べもしていたそうだ(肥満防止対策の「身体を動かそう」キャンペーンを立ち上げたミシェル夫人に協力した形)

そのほか、ジャスティン・ティンバーレイクとのこんなパワフル(?)な共演も。

さて。このジミー・ファロン、生まれはニューヨークのブルックリンということで、ハリケーン・サンディの例のライブ番組に登場したのはそんな縁からだったのかもしれない。そのブルックリンといえば、やはり今年はNBAのネッツ移転に絡んでいろいろな分野で脚光を浴びることが多かったようだ。「HELLO BROOKLYN!」という文字が入ったTシャツを、ジェイミー・フォックスやジャスティン・ビーバーといった芸能人が身に付けてテレビに登場している、という話もそんなひとつ。

Jamie Foxx Hello Brooklyn Shirt On SNL - Sportiqe

このメーカーのブログにあるとおり、Late Night with Jimmy Fallonに出演したビーバーのTシャツの胸にも「HELLO BROOKLYN!」の文字が確かに躍っている。

仕掛けた側のジェイ・Zもさぞかしニンマリといったところだろうが、むろんそういう「商売人」の部分はジェイ・Zのもついくつかの顔のひとつにすぎない。「ああ、もともとこの人はアーティストだったんだな……」ということを再認識させるビデオが12月の初めにLife+Times(ジェイ・Zが支援するウェブのプロジェクト)で公開されていた。

バークレイズ・センターのこけら落としとなった例の8夜連続コンサートのメイキングビデオともいえるこの作品、きちんと編集されている分だけ、iTunesで売られている、曲ごとに区切られた動画なんかよりも、ずいぶんと面白い、といえるかもしれない(YouTubeでライブ中継されていたものがまるごと1本そのままの形で販売されるといいのだが……)

この「Where I'm From」、前半のほうではバークレイズ・センターのなかを見て回ったり、きちんとリハーサルしていたりするジェイ・Zの様子がみられる。いっぽう後半は初日から最終日までの模様を切り取った映像で組み立てられているが、なかでも14分過ぎ、初日の開幕にむけてビヨンセを伴ったジェイ・Zが楽屋を歩いているあたりからはがぜん盛り上がってくる。また、最終日になぜかブルックリンまで地下鉄に乗っていくことにしたジェイ・Z一行の出てくるあたりからはとくに良くて、車内で隣にすわった白髪の御婦人との会話もチャーミングなら、その後の「Empire State of Mind」が背景で流れるなか、バークレイズ・センターの周辺を徒歩で進んでいくジェイ・Zの「オレさまぶり」にも思わずシビれる。

追記

前回の記事で触れていた「シンギュラリティ」のレイ・カーツワイルが、グーグルに雇われたというニュースが米国時間14日に出ていて、この日はIT関連のニュースやブログがこの話題で持ちきりだった。

Ray Kurzweil Joins Google In Full-Time Engineering Director Role; Will Focus On Machine Learning, Language Processing - TechCrunch
What Google Sees in New Hire, Futurist Ray Kurzweil - Technology Review

研究からどんなものが形になってくるかはまだ不明だが、手がける分野はマシン・ラーニングと言語処理の関するものとのこと。シンギュラリティとは関係なさそうで安心した。