就活での面接官からの質問は、「言葉通り素直に受け取り、直球で答える」と失敗します。なぜなら、その質問の「裏」に面接官が聞きたい本音の質問が隠れているからです。
前回は「志望動機はどう答えればいいか」について解説しました。今回は「他にどんな企業を受けていますか?」について解説します。
我が社以外にもエントリーしていることは前提
「御社が本命!」といっても、複数の企業にエントリーしていることを面接官は当然分かっています。「本命の御社しかエントリーしていません」というPRは嘘つきという印象しか与えずマイナスです。
「我が社と同じ業界を受けているのか(業界を絞っているのか)?」
「他に受けている企業と我が社に共通点があるのか?」
具体的には
・何を基準に応募企業を選択しているのか
・そこに一貫性があるのか
・本気度や仕事への興味は何か? それがどの程度なのか
を面接官は知りたいのです。
また、「あなたが他の会社の選考でどこまで進んでいるのか」についても、正直なところ面接官は興味があります。
選考では、応募者を相対評価・比較しながら合否を決めるので、「第一志望」と言う人が優先されるのが現実です。ここは、たとえ第三志望でも「第一志望」と言いましょう。
ただ、ややこしいのは他社にエントリーして脱落している事が多いと、その就活生に何か問題があるのでは? という疑念の目で見られてしまうのがマイナスポイントです。
「御社が第一志望ですが、10社にエントリーして9社は一次面接で不合格でした」
という学生がいたとして、面接官の立場で考えると、「何か問題ありそうな人」と意識しますよね。そうすると、面接中、無意識的に「何か問題あるのでは。その理由探しをして答え合わせをしよう」という心理が働くので注意が必要です。
第一志望の動機を強化する部分を伝える
ベストな回答は、第一志望と伝えつつ、他社の選考状況を「ある程度」開示すること。嘘は見抜かれますが、事実をすべて言わなくても良いのです。第一志望の企業への「志望動機と矛盾しない視点」で説明すればいいでしょう。
ポイントは、
(1)同業界、または共通点がある業界の企業をあげる
(2)この業界に興味があることを再度伝える
(3)この企業が第一志望であり、その根拠を再度伝える
です。今回も失敗例とお手本で解説します。
失敗例:
大企業相手の法人営業をしたいので、転職エージェントを5社、商社を2社、計7社エントリーしています。3社が書類選考待ち、2社が一次面接、1社が二次面接の予定で、あとは御社です。当然、御社が第一志望です。
これでは、大企業相手の法人営業職という大きなイメージだけで企業を選んでいるようにしか見えません。実際は100社エントリーしていても、伝えるのは応募企業の同業界や共通項がある会社だけ、もしくは共通項を説明しましょう。
また、志望動機は説明済みかもしれませんが、この並びで第一志望と言われても、「うちもランダムに選んだ1社」という印象しか与えられず、マイナス要素です。
人は後の記憶の方が強く残るので、もう一度志望動機を簡潔に伝えましょう。
お手本:
(1)法人営業職でも、人と企業を橋渡し、誰でも自分らしく働けるよう、キャリアに深く関わり、貢献するということに興味を持って就職活動をしています。御社と同業の転職エージェントは5社エントリーし、2社は書類選考待ち。2社は一次面接の段階です。
()2)人と企業を橋渡ししていく共通項をグローバルにとらえ、商社を2社エントリーし、1社は書類選考待ち、1社は一次面接まで進んでいます。
(3)業界の中で、求職者と求人企業のマッチングの精度が高く、求職者の意思を尊重し、その希望に寄り添いながらベストな回答を探る御社に大変興味を持っていて、当然第一志望です。
いかがでしょうか。(1)で漠然とした法人営業の解像度をあげ、(2)で違う業界でも共通項を定義して伝えることで一貫性をアピールし、(3)で再度、志望動機を伝えることで、第一志望である根拠をより強く印象を与えることに成功しています。
この質問も必ず就活の面接で聞かれるので、この型に沿って自己PR内容を整理しておくといいでしょう。