8月14日、和歌山県の人気テーマパーク「アドベンチャーワールド」で、ジャイアントパンダの赤ちゃんが生まれました。全長15.5cm、体重75gと小さめでしたが、その後の発育は順調で、一般公開と名前募集もはじまりました。
※名前募集は11月16日(金)まで
さて、かわいいパンダですが実はクマの仲間です。では、なぜクマなのに肉食ではなく竹を食べるのでしょう? この秘密をさぐると生物進化の神秘と、サラリーマンにも通用する仕事術が見えてきました。アドベンチャーワールドのパンダ飼育スタッフの新谷さんにお話をうかがいました。
パンダが選択したのは生き残るため
アドベンチャーワールドでパンダを見られるのは、「パンダラブ」と「ブリーディングセンター」の2か所。「パンダラブ」は、ガラスなどの仕切りがなく、展示場が観客側に向かってゆるやかな斜面になっているため、パンダがいつもこちらを向いてくれるという親切設計。「ブリーディングセンター」には、これまでに15頭の子どもを作ったベテラン夫婦の永明(エイメイ)&良浜(ラウヒン)が暮らしています。
観察していておもしろいのは、やはり食事シーン。パンダたちは、竹を前足で持って口に運んでいます。
飼育員の新谷さん:パンダの食べ物は9割が竹です。竹を食べるために体の機能が進化しています。たとえば、一般的な哺乳類は5本の指がありますが、パンダの前足にはこぶのような出っ張った6本目と7本目の指のようなものがあり、片手でも竹をしっかり握ることができるのです。
クマの仲間なのに人間と同じように片手でものを握るなんて、なかなか器用ですね。一生懸命食べているようすが興味深くて、じっと見入ってしまいますが、あんなにかたい竹を食べて、口の中は痛くないのでしょうか……?
飼育員の新谷さん:とってもかたい竹をかみ砕くのに相当の力が必要なので、アゴが非常に発達し、あのような丸顔になったなどといわれているんですよ。
そう、あのキュートな丸顔は、生き残るために進化した結果なのです。それから、腰を地面にペタンとつけて座る姿勢の愛らしさ! 実は、お尻には縄張りを示すために臭いをつける器官があるので、使わないときはしっぽでふさいでから座るのです。そのため、あのような格好になるという話があります。
パンダのように自分の居場所で輝く
動物園の人気者パンダ。肉食動物のクマなので、本来なら獲物をめぐって戦う宿命ですが、ライバルのいない竹を食べる方向へ進んだからこそ、生き延びられたのです。かたい竹でも、自分が進化してかみ砕けるようになればいいのです。サラリーマンも組織の中では無駄な争いは避け、自分の特技や持ち味を活かせるポジションを探し、自分なりの居場所を見つけるべしという教訓が得られそうです。
そして何より愛らしい見た目は、長い進化の過程を経て獲得したカタチそのもの。コロコロ体形、丸い顔、腰をペタンとつけて座る姿勢……まるで人間の赤ちゃんのよう。赤ちゃんのかわいい見た目やしぐさは、見る人に「かわいい。守りたい」と思わせる信号となり、相手から保護行動を引き出すのです。
よく、いい年したオジサンなのに、憎めないキャラの人がいます。これぞ、パンダ戦略! 愛嬌を武器に組織の中で生き残っていこうではありませんか。
愛嬌力は笑顔から
多くのタスクを抱える現代人男女のみなさん、眉間にしわを寄せて怖い顔をして必死に働くばかりじゃダメです。忙しいときこそ、口角を上げて笑顔を作りましょう。理不尽な目にあっても、まずはニッコリ。その場を平和にやり過ごしましょう。
アドベンチャーワールドには、現在パンダが全6頭。永明&良浜のを見ては癒やされ、双子姉妹の桜浜(オウヒン)と桃浜(トウヒン)、とんがり頭の結浜(ユイヒン)はかわいい盛りです。それに、今年生まれたばかりの赤ちゃんパンダが加わったとあれば、これは行くしかありません!
●取材協力
アドベンチャーワールド
和歌山県西牟婁郡白浜町堅田2399
0570-06-4481(代)