先日、友達と話していたら、友達がこんなことを言い出しました。
「あのさぁ、『寂しい女』っているじゃん」

「……私みたいに、彼氏や夫がいない女ってこと?」
「いや、一人でも自分の時間をエンジョイできるタイプは大丈夫なんだよ。そうじゃなくて、一人の時間に耐えられなくて、とりあえず手近な男とくっついちゃうタイプ」

そしてそういう「寂しい女」が、いかにダメな男にひっかかり、お金や愛情を奪われるだけ奪われて、さらにDVまで受けても離れられず大変なことになったフルコースの例をいくつか聞かせてもらいました。でも、聞いていて感じたのは「かわいそ~」でも「大変だね~」でもなく、「私も一歩間違えば、それにハマる可能性ある!」という、まさに「今、そこにある危機」感でした。

「独身力」を活かして男を見よう

彼氏のいない期間、デートしてない期間、エッチしてない期間があけばあくほど、人は寂しさゆえに目の前のエサに飛びつきがちになります。空腹のときに「なんでもいいから!」とマックに駆け込み、ダイエット中のはずなのにフィレオフィッシュをむさぼり食うような行為です。

普段はちゃんと判断能力のある、賢い女性であっても、心の中で寂しさのほうが勝ると、あえて判断を放棄して「この一瞬の寂しさを満たしてくれればそれでいい!」とばかりに目の前のヤバめの男に飛びついてしまう可能性があります。ええ、私もそれで痛い目に遭ったことがあります。

でも、ここで思い出してほしいのです。みなさん、今までだてに長年独身をやってきたわけじゃないですよね。一人で寂しいときに、それを乗り越える強さもあったんだし、一人で誰とも一緒に過ごせない休日を楽しく過ごす工夫もしてきたはず。結婚はできていない代わりに、女友達との交流や仕事の充実をはかってきた人も少なくはないと思います。 そういう時間は、ただむなしい時間でしたか? あなたの独身人生は、ただ結婚までの待機の時間だったのでしょうか?

独身人生を充実させる力が、あなたにはあったはずです。それを思い出してください。たとえ結婚できるとしても、独身時代よりも楽しくない、不幸な結婚生活になってしまったら意味がありません。ましてや、このタイミングで女としての自信を根こそぎ奪われるような悪い男にひっかかってしまったら、立ち直るまでにどれだけ時間がかかることか……。

一夜限りのアレとかコレとかをエンジョイできるのも独身時代ならではの楽しみではありますが、お付き合いする相手に対しては、独身力を活かし「本当に、この人といて今よりも楽しい時間が過ごせるのか?」と自分に問い直し、信頼できる相手をきっちり見分けるよう、心がけたいものです。

<著者プロフィール>
雨宮まみ
ライター。いわゆる男性向けエロ本の編集を経て、フリーのライターに。その「ちょっと普通じゃない曲がりくねった女道」を書いた自伝エッセイ『女子をこじらせて』(ポット出版)を昨年上梓。恋愛や女であることと素直に向き合えない「女子の自意識」をテーマに『音楽と人』『POPEYE』などで連載中。

イラスト: 野出木彩