「会議が非生産的だ」という悩みをよく聞きます。延々とどうでもいい報告が続いてひたすら眠くなるだけの会議や、議論が脱線しまくって結局何も決まらずに終わる会議など、日本の会社には「不毛な会議」が山ほどあります。
僕も会社員時代にはこの手の「不毛な会議」によく悩まされていました。僕のいた会社はとても会議の多い会社だったので、ひどい日になると業務時間内はすべて会議で埋められ、業務が終了してから初めて自分の仕事ができる、なんてことすらありました。
不毛な会議は仕事の生産性を低下させ、それはそのまま残業につながります。僕もよく「あの会議さえなければ、もっと早く帰れたのになぁ」と思ったものです。
会議のコストは超高い
本来、会議はとてもコストの高い行為です。1時間の会議でも、参加者が10人いればチームから10時間奪ったことになります。チームから10時間奪って会議を開催するのであれば、そのコストに見合うだけのアウトプットが出せていなければなりません。どうでもいい報告を延々と聞かせたり、全然関係ない話をして結局何も決まらないなどということは、会議のコストの高さを考えたら許されることではありません。
しかし現実には、不毛で非生産的な会議はいくらでもあります。これはつまり、会議のコストの高さが認識されていないということです。私見では、「ダラダラ残業」をしている人ほど、会議に関するコスト意識が低いように思えます。「時間を大切にしない」というところで共通するものがあるのかもしれません。
表の対処法:議事録をスクリーンに投影しつつ会議をする
この手の「不毛な会議」とは、どのように付き合っていけばよいのでしょうか。まずは、表の対処法、つまり会議の不毛化そのものを解消する方法をご紹介します。
会議が不毛になる原因のひとつに「議論の脱線」があります。脱線以前に、そもそも何について話し合う会なのか「趣旨が不明」なままで開催されるような会議さえあります。これはつまり「会議がどこに向かって進んでいるのかがわからない」ということです。
そうならないために、会議中は議事録をスクリーンに投影して、リアルタイムで記入しながら会議をすることをおすすめします。議事録を全員がリアルタイムで見られるようになれば、何について話し合っているのかは一目瞭然になります。また、議事録には事前に「会議のゴール」や「進行スケジュール」などを書き込んでおき、脱線しそうになったらすぐにファシリテーターが話を戻すように誘導します。会議終了時には必ず「決まったこと」と「決まらなかったこと」を確認し、その場で「ネクストアクション」を決定します。 こうするだけで、「とりあえず集まってダラダラ話しあったけど何も決まらなかった」という状況はかなり避けられます。プロジェクターやモニターがあれば、すぐにでもはじめられるというのもこの方法の利点です。
裏の対処法:サボる・内職の時間にする
もっとも、前述の方法は自分がファシリテーターになれる時だけしか使えません。会議の中には、自分では進行に口出しできないというようなものもあるでしょう。特に、新人のうちは会議のやり方に口は出しにくいものです。そこで、裏の対処法も必要になってきます。
1番シンプルな裏の対処法は、会議自体をサボってしまうことです。参加人数の多い会議の場合は、1人ぐらいいてもいなくてもわからないものです。もしとがめられたら「急に別の仕事が入ってしまって……」などと言えばたいていは切り抜けられます。サボるのに抵抗があるのであれば、わざとその会議にかぶせる形で別の仕事の予定を入れてしまうという方法もあるでしょう。そうすれば堂々とサボれます。
どうしてもサボれない会議の場合は、「内職の時間」にするとよいと思います。会議中にノートPCを開いていても特に問題がない場合は、そのまま仕事をすればよいでしょう。ノートPCを開いていると目立つというのであれば、メモ帳にメモを取る体で資料の下書きや仕事のToDo整理などをする時間にしてしまえばいいのです。
僕はある時から、自分でファシリテーションできない会議はもっぱらサボるか内職をすると「割り切って」しまいました。最初は少し心理的な抵抗がありましたが、結果的にはだいぶ時間が効率的に使えるようになりました。会議のせいでいつも残業になってしまっているという人は、一度このような「割り切り」を試してみてもいいのかもしれません。
日野瑛太郎
ブロガー、ソフトウェアエンジニア。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)、『あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。』(東洋経済新報社)がある。
(タイトルイラスト:womi)
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