私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1,000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。

また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方をまねすれば、誰でも1,000万円貯めることが可能というわけです。是非今日からまねしてみてください。

1,000万円貯めたいなら"おうちごはん"はマスト

この連載でしつこいくらい繰り返していますが、とにかく1,000万円貯めようと思ったら、外食三昧はNG。"おうちごはん"派に転向することが必須です。そして、おうちごはんで肝心なことは、お得に買った食材をムダなく、おいしく食べ切ることです。特売でどんなに安く買っても、食べ切れずにムダにしてしまっては元も子もありません。お金を出して買った食材を捨てることは、お金を捨てることと同じです。お金を捨てているようでは、いつまでたっても1,000万円は貯まりません。

食材を捨てないための買い方

1回の買い物は2~3日分が目安

冷凍室でいつ冷凍したのかわからないマンモス状態の肉の塊を発見したり、野菜室の隅っこできゅうりがゾンビ化してたり、ねぎが茶色く変色していたことはありませんか? 食材を駄目にする理由の多くは、買い過ぎにあります。腐る前に食べ切れる以上の量を買ってしまうということです。

買い過ぎの原因で多いのが、「安かったからまとめ買いした」「大量パックの方が割安だから」というもの。安さにつられて買い過ぎるのはNGです。

以前はまとめ買いが、やりくり上手さんの主流でしたが、今はまとめ買いはかえってムダが多いと考える人が多いようです。1回の買い物は、2~3日分を目安にするのが、やりくり上手さんのトレンド。2~3日分なら、生鮮食品でも冷凍保存しなくても食べ切ることができます。買い物するときは、食材を「冷凍」することを考えずに、冷蔵保存で食べ切れる量を買うのがオススメです。

お肉は大量パックではなく、2~3日で食べ切れる量を買います。キャベツや大根などの大物野菜は、丸ごと買った方がお買い得でも、2~3日で食べ切る自信がない場合には、1/2カットを買います。きゅうりやトマトも、ひと山ではなく使い切れる量だけをバラ買い。一見、割高のようですが、腐らせて捨てるよりも、はるかに経済的です。

買い物は定番食材の補充が基本

1,000万円貯めた人の買い物の仕方で共通するのが、毎回ほぼ同じものを買うということ。例えば、3日分ならメインおかずとして肉を2種類、魚を1種類くらい、そのときのお買い得品を選んで買います。

野菜はレタス、水菜、ほうれん草、小松菜などの葉物野菜を2~3種類。トマトやきゅうりがプラスされることもあります。あとはしいたけ、しめじ、えのき、エリンギなどのきのこ類を2~3種類。豆腐、油揚げ、牛乳、納豆、食パン、ヨーグルトが定番です。あとは切れそうになっている調味料の補充くらいです。

目新しい食材を買うよりも、使い慣れた定番食材の方が、献立に応用しやすいので使い切りも簡単。毎回ほぼ同じものを買う方が、迷うことがないので買い物時間も短縮できると、いいことずくめです。


村越克子
フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。