私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1,000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。
また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方を真似すれば、誰でも1,000万円貯めることが可能というわけです。ぜひ今日から真似してみてください。
外食エンゲル係数が高いとお金は貯まらない
前回のコラムで「食費を削らないのが、今っぽいやりくり」と書きました。確かに、最近のやりくり上手さんは食費をムリに削りません。ただし、この場合の"食費"とは、家で作って食べるごはんにかかる食材費のことで、家の外で食べる=外食代や、最近注目されている"中食"と呼ばれるスーパーやデパ地下で販売されているお弁当やお惣菜にお金をかけることはありません。外食費や中食費は抑えますが、"内食費"はムリには削らないということです。
これまでに多くの1,000万円を貯めた人にお会いしてきましたが、"外食エンゲル係数"の高い人は、まずいません。
その反対に、それまで外食三昧だった人がお金を貯めることに目覚めて、ムダな出費はないかと家計を見直した結果、「外食費を抑えよう」と決意した瞬間から、"貯まる人"に激変するという例は多くみてきました。
作り置きではなく"作りかけ"おかずが便利
少し前まで"作り置き"おかずが人気を博していました。作り置きおかずとは、きんぴら、ひじき煮、ポテサラなどの惣菜をまとめて作って保存しておくことです。これらのおかずは、あと1品欲しいときやお弁当のおかずに重宝するものですが、作るのにそれなりの手間がかかります。
休日に作り置きおかずを何品も作り、そのせいでせっかくの休日が潰れてしまう……などといった話も耳にしました。平日のごはん作りがラクになるのはいいですが、そのために休日が潰れてしまうというのは考えものです。
そこで、オススメしたいのが、作り置きならぬ"作りかけ"おかず。たとえば、夕飯の後片づけをした際に、ついでに翌日の夕飯に使う野菜を切って保存容器に入れておく。ごはん作りで意外と手間と時間がかかるのが、野菜を"切る"ことにあります。野菜を洗って、皮をむいて、用途に適した大きさに切るというのは、結構、面倒なものです。この過程が省略できれば、帰宅してからの食事作りが、かなり時短できるはず。
あるいは、朝食を作るついでに、今晩の夕食用の肉に下味をつけておいたり、魚に塩をふっておいたりしておけば、あとは焼くだけで完成。
要するに下ごしらえをしておくことなのですが、帰宅してから1から作るのではなく、すき間時間にごはん作りを先取りしておけば、あとがずっとラクになります。さらに、途中まで作りかけのおかずが家にあると思えば、外食や中食の誘惑にも負けないはずです。
村越克子
フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。