6月1日から22日までの期間、マイコミジャーナル主催、江崎グリコ、英国政府観光庁、イワタニ・フィスラー、りそな銀行協力のカレーコンテスト「男企画!第一弾 男のカレーコンテスト!」を開催している。同コンテストでは"男のカレー"をテーマに、江崎グリコの「2段熟カレー」を使ったカレーレシピを募集。入賞者には、イギリス旅行やイワタニ・フィスラーの鍋セット、「2段熟カレー1年分」などの豪華賞品がプレゼントされる。コンテスト開始にあたり、まずは編集部が3回にわたってカレー作りに挑戦。マイコミジャーナル編集部の力作オリジナルカレーを紹介していく。

第1回の男のカレー「イギリス風フィッシュ & チップスカレー」

連載第1回目に登場した「イギリス風フィッシュ & チップスカレー」

第1回に登場したマイコミ流イギリス風カレーは、クロテッドクリームやフィッシュ & チップスなどの素材を使った英国風の一品。肉ではなく揚げた魚を具材にすることによって、オリジナリティ溢れる作品となっており、コクととろみをカレールーで実に上手くつけている。

インド風カレーとは?

前回編集Hとカレーのルーツはイギリスかインドかで論争となったが、私こと編集者Kは自分の好みもあって「カレーはとにかくインドだ」と思っている(根拠はあまりない)。しかし一口にインドカレーと言っても、インド自体がとても広い国だから地域によって食文化が大きく異なり、カレーの内容もまちまちだ。さらに、作る人によってその方法も違うので「これこそインドカレーだ!」というものは存在しないというのが私の個人的な見解だ。例えば、チキンカレーとキーマカレーは見かけからして異なるし、チキンカレー同士でも水っぽいものからドロドロしているものまでさまざまだ。今回は、どちらかといえば水っぽい感じの「サラサラタイプ」のインド風カレー作りに挑戦することにした。

思い起こせば約30年前、「包丁人味平」で味平と鼻田香作との「カレー戦争」に感動し、カレー作りを開始。ここからは、試行錯誤を繰り返して極めたその奥義? を披露したい。えっ? 「包丁人味平」がなんのことだかわからない? そいう言う人は、文庫版が出ているのでぜひ読んで欲しい。

マイコミ流は工夫と拘りを

さて、「サラサラタイプ」のインド風カレーを作るのにあたっていくつか課題がある。まず、スパイス。一般的にインドカレーは、何十種類ものスパイスを調合して作るイメージがあるが、とても面倒だし、お金もかかる。でもカレールーを使えば、何種類ものスパイスを調合せずとも十分インドカレーらしい香りや味が出る。ただ、問題が一つあって、通常のカレーを作る感覚でカレールーを入れるととろみがついてサラサラにならない。だからといって、薄めてしまうと単なる味の薄いカレーになってしまう。

そこで、サラサラにするために一工夫することにした。それが、玉ネギを使ったスープ作りだ。「カレーに玉ネギを使うのって当たり前じゃないの?」と思われるかもしれないが、私の作り方では、玉ネギはスープのためだけに用いる。このスープを完成させることで、サラサラでも美味しいインド風カレーができるのだ。ちなみに具材はジャガイモと骨付きチキンのみ。男だったら具材よりもルーに拘りたい。

「インド風カレー」

材料

ベース(出来上がり目安1.5~2.5リットル)
※分量表記のないものは全て適量
水 6リットル / ガラスープ 通常の1/3~1/4量 / 固形ブイヨン 通常の1/3~1/4量 / 玉ネギ 4個 / グレープシードオイル / おろし生姜 / おろしニンニク / エンチラーダソース(レッド・グリーン) / 黒胡椒 / 白胡椒 / トマト缶(カットトマト) 1/2缶 /インスタントコーヒー / インスタント煎茶 / 白ワイン

その他の材料
カレールー / 骨付きチキン / ジャガイモ / 塩 / 黒胡椒 / 白胡椒 / 生クリーム / 醤油 / エンチラーダソース(レッド・グリーン)
ご飯

ベースを作るための玉ネギは最低4個使用したい。具材は、ジャガイモと骨付きチキンのみで十分

イギリス風カレーでは、鶏からフォンを作っていたようだが、面倒なのでガラスープとブイヨンを使って時間を短縮

酸味を出すためにトマト缶を用意。ショウガとニンニクはするのが面倒なのでチューブタイプを使用

基本的な辛さはメキシコ料理に使うエンチラーダソース2種類と胡椒2種類を使う。これで直線的かつ奥深い辛さがでる

生クリーム、インスタントコーヒー、インスタント煎茶を少々入れて、できるだけ短い時間で味に奥深さを付ける

オイルはギーやラードでもいいのだが、手に入りにくいので、熱に強いといわれているグレープシードオイルを使用

醤油は好みによって隠し味に使う。ただし、醤油を入れてから一晩寝かさないとその良さが引き出されない……と「包丁人味平」に書いてあった

塩は、オーストラリア産の天日塩田で作られたちょっと粗めのものを使用。少量で塩辛さを増すことができ、味も奥深くまろやか

どちらでもいいが、ワインを入れるとなぜかインドカレーらしさが増すので試してほしい

作り方

1.水を6リットルほど鍋に入れて沸かす。できればミネラル水か、マイナスイオン水を使いたい。
2.ガラスープを通常の1/3~1/4ほど入れる。煮込むと水分が減るので、あまり濃くする必要はない。
3.固形ブイヨンも通常の1/3~1/4ほど入れる。ガラスープと同様にこれも多く入れる必要はない。
4.玉ネギ4個をひたすらみじん切りにする。このカレーの中で、もっとも辛い作業だが、とても重要。
5.グレープシードオイルを多めにフライパンに入れる。オリーブオイルでも代用は可能だ。
6.山盛りになってもいいので、みじん切りにした玉ネギをすべて入れる。
7.おろし生姜とおろしニンニクを入れる。生のものをすりおろした方がいいのだが、結構面倒だよね。そして強火で色が変わるまで炒める。
8.これぐらいの色になったら、3のスープを適量入れる。
9.煮込み時間を短縮するために、こげないように混ぜながら強火で1時間ほど煮る。水分が少なくなったら3のスープを足して、とにかく煮込む。
10.途中でエンチラーダソースや胡椒、トマト缶を1/2缶ほど入れ、1時間煮込む。酸味が好きな方は1缶入れるといい。
11.フライパンから3の鍋に移し、さらに弱火で4時間煮込む。この時、インスタントコーヒーやインスタント煎茶、白ワインを入れる。ここから8時間煮込むとさらに美味しくなる。水分が2~3リットルになったら火を止める。
12.エキスを出し切った玉ネギはカスカスなので、網で漉して液体だけにする。玉ネギの食感が好きな方は、漉さずにそのまま残そう。玉ネギが減った分、スープの量も減るが、これは仕方がない。
13.このようにサラサラのベースができる。ただし、この状態では単なる玉ネギの煮汁だ。飲んでも気持ち悪いだけ。
14.具材である骨付きチキンとジャガイモをルーに入れる前に軽く炒める。その際にカレールーを包丁で削り取り、細かくして味付けに使う。
15.14で細かくしたカレールーと塩、黒胡椒、白胡椒を少々具材にふりかける。
16.炒め始めるとたまらない香りが広がる。このまま食べても美味しそうだ。炒め終わったら別の小さな鍋に、12からその時に食べる量のスープを入れ、具材もその鍋に移す。具材をベースのスープで煮込まないので煮崩れを防ぐことができ、またさまざまな具材のカレーを後で楽しむことができる。
17.いよいよカレールーを入れる。サラサラ感を出したければ、量は控えめに。少なくても入れた瞬間、玉ネギの煮汁が突然奥深いカレーに変化する。塩味が足りない場合は塩を足そう。とろみを増したい場合は、カレールーを追加すればよい。生クリームや醤油を入れて一晩寝かせるとさらにコクが増す。翌日ルーを温め、最後の辛さ調整としてエンチラーダソースや胡椒を使用。

超サラサラながら、コクのある奥深いインド風カレーの出来上がり。少量でもカレールーを加えればカレーらしい香りが付くが、とろみを増したい場合は、好みに応じて量を増やしていけば、自分の好みにピッタリと合ったとろみのカレーに仕上げることができる。

今回は、一気に強火で煮込むなど、全体の時間短縮をするためにいろいろな工夫をしてコクを出しているが、ベースとなるスープの段階でさらにじっくり煮込めば、玉ネギのスープの色がどんどん濃くなり、より旨味のあるカレーになる。また、玉ネギを入れたまま長めに煮込むとまったく異なった食感のカレーになるので、興味のある方はお試しあれ。

撮影:浅山美鈴