ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本稿では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。

今回のテーマは、「仮想通貨のPump&Dumpってなに?」。

Pump(パンプ)&Dump(ダンプ)とは

「Pump(パンプ)」は、情報操作を行うこと。「Dump(ダンプ)」は、Pumpによって価値上昇した仮想通貨を売り抜くことです。

例えば、価値を上げたい特定の仮想通貨のプロモーションを過度に行い、投資家の目を惹きつけたとしましょう。その仮想通貨を購入する投資家が増えれば、需要が高まり、取引価格は上昇します。

このようなPumpでその仮想通貨の価値を上げた後、すぐに売却すれば、適正以上の利益を得ることができます。これがDumpです。一連の流れから、「Pump&Dump」とセットで語られることが多いです。

しかし、Pumpは影響力を持つ著名人などでない限り、1人で行なっても情報が拡散されず効果を上げることはできないでしょう。そのため、組織的に行われることがほとんどです。

仮想通貨についてしっかりと理解したうえで投資しているユーザーがまだまだ少ないため、Pump&Dumpのような悪意のある情報操作がまかり通ってしまう傾向があります。第42回の記事でご紹介したように、著名人などの言葉は信用されやすいですから、特に注意が必要でしょう。

また、著名人の発言はSNSなどで拡散もされやすいですよね。情報の真偽を確かめるためには、その仮想通貨の成り立ちを調べたりすることも大切です。

いわゆるあおり運転暴行事件の際にも、無関係の女性がSNSで写真や勤務先を晒される被害がありました。ネット上には無責任な正義感が溢れていますから、拡散された情報にも注意が必要ですね。

半年で175回ものPump&Dumpが

2018年に行われたウォールストリートジャーナル紙の調査によると、半年間でPump&Dumpが行われた回数は175回。121種類もの仮想通貨で行われたといいます。

その取引総額は、約8.25億ドル(約920億円)。Pump&Dumpを行うような悪意を持つグループは、世界中に存在していると考えられ、数百人から数千人が関わっている可能性があると指摘しています。

Pump&Dumpを行うグループは、メッセージアプリなどで連絡を取り合い、取引の決行日、時間、取引所の情報を共有し、同時に取引を行わせて、取引価格を吊り上げているそうです。SNSで盛り上がりを演出することもありますから、冷静に見極めた方が良さそうですね。

株取引での情報操作はもちろん違法

Pump&Dumpについては、米商品先物取引委員会(CFTC)も注意喚起を行いました。経験豊富な投資家でさえ、Pump&Dumpに騙されてしまうことがあるといいます。

証券取引では、虚偽の情報を広く伝えることは「風説の流布」と呼ばれます。これを行った場合には、金融商品取引法により10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金に処されます。

このように、株取引でのPump&Dumpは違法です。しかし、仮想通貨の取引に関してはまだまだ規制が整っていませんから、現時点では罪に問われません。徐々に、他の金融商品と同じようなルールが設けられるようになるでしょう。

情報リテラシーを高めて自己防衛を

Pump&Dumpが違法でない限り、仮想通貨投資を行う人は、自分の資産を自分で守るしかありません。Pump&Dumpは、主にSNSやサイトを通じて行われます。SNSで突然人気の高まった仮想通貨は、Pumpによって価値が吊り上げられたものかもしれません。

自分の資産を守るのは自分自身です。単一の情報源だけを妄信するのではなく、多角的に情報を精査することが大切ですね。

次回は、「ICOの次はSTO? IMO? 次々に出てくる仮想通貨用語」というテーマについてご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。
オフィシャルブログも運営中。