「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明さんが、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。

今回は、「カビラ 30代会社員の投資で節約貯金術(cabira.money)」のアカウント名で、知って得するお金の話を発信しているインフルエンサーのカビラさんにインタビューを行いました。

カビラさんプロフィール
カビラ 30代会社員の投資で節約貯金術(cabira.money)
知って得するお金の話をインスタグラムで発信。投資歴8年目、ビットコイン保有歴5年目。ストーリーズでコアな投資の豆知識を紹介。趣味は暗号資産(クリプト)で遊ぶこと。

ビットコインのボラティリティの高さに魅力を感じた

――本日は宜しくお願い致します。カビラさんがビットコインを知ったのは2016年とのことですが、なにがきっかけだったのですか?

カビラさん:妻がIT企業で事務の仕事をしていて、その会社の社長さんがビットコインを知っていました。それで、ビットコインの情報が僕にも届いて。当時、マウントゴックス事件時の大暴落から値が戻っていて、興味を持って少しずつ学んでいきました。

――その前から投資はしていたのですよね?

カビラさん:はい。株式投資が好きでやっていました。株では急に数十倍や数百倍に上がることはまずないのですが、ビットコインなどの暗号資産(クリプト)は新しい市場で、とても面白いと思いました。当時はビットコインしか知らなかったので、ビットコインから投資を始めて、取引所でアカウントをつくったときに「ビットコインの他にも種類(銘柄)ってあるんだ」と知って。他のアルトコインの存在を知ってから、さらに興味を持ちました。

――どんな点に興味を持ちましたか?

カビラさん:イノベーションの観点ですね。イーサリアムも、とても面白いと感じました。自分には開発はできないけど、エンジニアの人たちが確実に世界を変えていく。そんな実感を覚えましたね。IoTなど、デジタルの波は身近なものにも来ていて、フィンテックなどの新しい言葉も生まれてきて、金融の世界も大きく変化するのだろうと強く感じました。

もともと投資自体はしていたので、投資に対してネガティブな感情はなかったです。給与はなかなか上がらないですし、結婚してライフプランを考えたときに不安がある。株式投資をしてみたけど、いきなり大幅には資産が増えない。暗号資産(クリプト)は、ボラティリティがすごく高いわけですが、長期で見れば右肩上がりです。新しいもの好きというもともとの性格もあったので、毎日関連ニュースを見ています。暗号資産(クリプト)は変化が激しい世界なので、1週間くらい情報を取らないともう置いてけぼりになる感覚ですね。

――確かに、変化のスピード感が他の業界とは違いますよね。2020年はDeFi(分散型金融)、2021年はNFTやメタバース、2022年はGameFiやto Earn…毎年というか、半年くらいでトレンドが変わっています。DeFiが登場して稼働するようになってから、取引所の存在意義も変化していると思います。

これまでは、「何でもかんでも"分散型"が良いわけではない。特にセキュリティ面は中央集権型でないと、だれが責任を取るのか。究極の自己責任の世界になってしまう」という面がありましたが、DeFiによって分散型でも機能することが証明されました。とはいえ、人によって「安心・安全」の考え方は異なりますから、ユーザーが自由に選べば良いのですが。まだ十数年しかない暗号資産(クリプト)の歴史はないわけですけど、「取引所に置いておいた方が安心」という人もいれば、「いや個人ウォレットの方が安心」という人もいますよね。

カビラさん:暗号資産(クリプト)の世界に入った時期によって、考え方が違うのでしょうね。最近は、NFTやDeFiから入った人も増えてきています。「メタマスクのウォレットしか持っていない」なんて人もいますから。異なるブロックチェーンを利用するときは、分散型取引所でブリッジするより、中央集権取引所を使った方がコストも安く、スピード感など良い面もあるので僕は使い分けています。

――個人ウォレットだと、ハッキングされても自己責任ですからね。やがて銀行のペイオフ(預金保護)のようなルールが取引所にもできれば、取引所を使う理由になりますね。

学生がGameFiで稼ぐのが普通になる

――カビラさんと言えば、GameFiなどの情報のキャッチアップがとても早かったですが、もともとゲームも好きだったのですか?

カビラさん:新しいもの好きなので、すぐに始めちゃいました。日本はコンテンツ大国ですし、ゲームとの親和性も高いと思います。日本発のNFTゲーム・ブロックチェーンゲームも続々とリリースされています。「ゲームが稼ぐ手段になった」というのが、すごいことだと感じています。

――これまでは、プロゲーマーやeスポーツの賞金などで稼ぐか、ゲーム会社で働くか、ゲームの実況をYouTubeでするかくらいしかゲームで稼ぐ手段はなかったわけですが、「ゲームをプレイすることで稼げる(Play to Earn、P2E)」というのは画期的でした。

カビラさん:僕としては、「NFT大家」のような人が増えていくと思います。NFTを貸して、借りた人がNFTゲームでプレイして稼ぐ。その一部をNFT大家も家賃収入のように受け取れる。NFTを貸し借りして稼ぐのはスカラーシップと呼ばれる仕組みですが、借りる人はNFTを買う必要はなく、アルバイト感覚でGameFiをスタートできます。既に日本でもNFTギルドがあり、今後もギルドが複数増えることで一般ユーザーの参入障壁が下がり、盛り上がっていくと思われます。

「NFTを借りて家でゲームをして稼いで生活する」という生計の立て方は、ベトナムやフィリピンでは増えてきています。月に5万円相当くらい稼げれば良いという人は、日本の学生や若い人でも多いと思うので、GameFiで稼ぐことはやがて普通になるかもしれませんね。法的に問題なくNFTゲームができるのであれば、日本でも普及する可能性は高いと思います。会社員も月々1万円、収入を作って生活費の足しにしたいと副業を始める人が増えているので需要はありますよね。

――確かに、今はメタバース上で過ごしたり、オンラインで会議や仕事をしたりすることも増えたので、画面を切り替えるだけですしね。GameFiと言えば、「魔界」と呼ばれる世界もありますが、カビラさんはGameFiのプロジェクトをどう見極めていますか? どんなベンチャーキャピタルが出資しているのかも一つの判断材料になると思いますが。

※魔界: 高配当で魅力的ではあるが、ハイリスクであり、中にはそもそもラグプル(Rug Pull)設計になっていて詐欺もしくは運営持ち逃げ又は飛んでしまう可能性があるプロジェクト

カビラさん:どんなベンチャーキャピタルが出資しているのかは、重要なチェックポイントですね。他には、ディスコード(チャットツール)がちゃんとしているか。運営側のレスポンスや不具合への対応力などは過去ログを遡ったり、Twitterで調べたりしていますね。また、ホワイトペーパーを見て矛盾点がないかも確認しています。ホワイトペーパーやプロモーション動画は、いくらでも良く作れてしまうので、見極めるのは簡単ではないですね。あとは運営メンバーの経歴やTwitterを見ます。

最近少し気になるのが、NFTやトークンの販売が先でゲーム自体が後出しのプロジェクトが多いことですね。当然資金集めて開発費に充てるのですが、開発やローンチが遅れたり、最悪ラグブルも疑ったりしてしまうので、ユーザーとしてはゲームも同時リリースの方が安心できますね。