3人の男の子を育てるユウさんが、妻の妊娠をきっかけに、だんだんパパへと成長していく過程を思い返しながらつづる、本連載。最終回となる第72回は「新しい命と失う怖さ」です。
ある日、妻がいきなりやってきて……。
えっ!? な、何かしたっけ? 思い当たることは何もないけど……とドキドキしていると、
と、突然のサプライズ報告! 全く予期していなかったため、びっくり! マジか!? すごい!!
そばにいたヒー君の手を取って大喜び。
と言っても、ヒー君は何のことやら?って感じですが(笑)。ヒー君もお兄ちゃんになるのです。
こういうときに事件は起こるもので……
妻が洗濯物を干している間に、ヒー君がいなくなったというのです。大して広くもないマンション、どの部屋を見てもいないってどういうこと!?
と、妻が風呂にお湯を張りっぱなしなのに気づきました。以前、子どもの風呂での事故の話を聞いてから、ずっとずっと気をつけて、風呂の水を抜いていたのに。嫌な予感が頭をよぎります。急いで風呂場に駆けつけると……。
風呂にはいませんでした。
とりあえずホッとしたものの、トイレも見たし、あとは探す場所がない。
一人で外に出た可能性がある! と、今度は外に探しに行きました。
エレベーターホールまで来たものの、いない……。
まさか一人でエレベーターに乗って下の駐車場まで? 今のヒー君だったら行けないことはない。
夕方で車の出入りが多い時間帯。そう考えると、心臓の鼓動がバクバクと早くなりました。
下行きのボタンを連打し、探しに行こうとエレベーターを待っていると、うちの部屋の方から声がして……
「いた! ヒーいたよ!」と妻。よかった~と、一気に力が抜けました。
で、いったいどこにいたの??
どうやって入ったかは分かりませんが、ウォークインクローゼットの奥の方、今は使っていない古いおもちゃを置いたところにいました。
ほんとに生きた心地がしなかった。なんでこんなところにいるんだよ~、びっくりさせるなよ~と言っていると、ヒー君は思わぬ一言を発しました。
ヒー君が妻に渡したのは、小さい頃自分が大好きだったおもちゃ。
「えっ、もしかして赤ちゃんにあげようと思ったの?」
妻が長男を妊娠してから、出産、子育て、そして次男の妊娠が分かるまで、72回にわたって連載してきた『不器用男がパパになったら』は、今回で一区切り、最終回です。
当時を思い出しながら、また、時に古い写真や映像を見ながら綴ったエピソードの数々は、不器用で不恰好なものばかり。それでもわが家にとっては宝物です。
「子育ては親育て」という言葉があるように、毎日のドタバタな子育てを通じて、子どもに親にしてもらっているんだなぁとつくづく感じます。
もし、何かに行き詰まったり、ちょっと疲れたりしたときは、この連載を読み返していただき、「こんな不器用な男でも親をやれているんだ」と安心してもらえればと思います(笑)。長い間、読んでいただきありがとうございました。
ユウ
男の子3人のパパ。不器用なので、いろいろな失敗を繰り返しながらも、フルタイムで働く妻とともに仕事・家事・育児に奮闘中。3人育てていると少しずつ、家事・育児のコツが分かってきた? 気がします……。
自身のブログ「不器用男の子育て日記123」で育児漫画を更新中。