「東京は物価が高いので、生活費が高い」または、「地方は物価が安いので、生活費が東京に比べてあまりかからない」と世間でよく言われていることは、本当なのでしょうか。
連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京から地方へ移り住んで感じたことを交えながらお伝えいたします。
農産物直売所で果物を買う贅沢
みなさんは果物を食べていますか?
私は幼い頃から果物を食べていました。母は果物が好きで、食後によく果物を出してくれました。父も果物が好きで、地方勤務していた頃に知り合ったスイカ農家さんから現在も毎年スイカを送ってもらい、私の自宅にも毎年甘いスイカを送ってくれます。
しかし、親元から離れて暮らすようになってからは、私は果物をあまり食べなくなりました。仕事帰りにスーパーに立ち寄ると、夕食の材料だけしか考えられず、「食後のデザートに果物を食べよう」と思う余裕がなかったのかもしれません。
現在住んでいるところから車で1時間以内のところに、農家さんが直営している農産物直売所があるので、よく果物を購入するようになりました。今は、ぶどうや梨の季節ですね。そこで、今回は、ぶどうと梨に絞って、地域別の収穫量など調べてみました。
ぶどうと梨の地域別収穫量
(表1)によると、ぶどうの全国の結果樹面積(※3)は1万6,900haで、前年産に比べて100ha(1%)減少しました。収穫量は17万6,100tで、前年産に比べて3,100t(2%)減少し、出荷量は16万1,900tで、前年産に比べて1,900t(1%)減少しました(黄色で表示)。
(表2)によると、梨の全国の結果樹面積(※3)は1万1,700haで、前年産に比べて400ha(3%)減少しました。収穫量は24万5,400tで、前年産に比べて1,700t(1%)減少しましたが、出荷量は22万6,600tで前年産並みとなりました。
ぶどうも梨も、前年産との比率を見ると減少幅は小さく見えますが、収穫量にしてみると、ぶどう3,100t、梨1,700tという大量の果物が前年と比べて減少しているということを、消費者として私たちは、認識した方がよいでしょう。
次に、都道府県別の収穫量を見てみましょう。
まず、ぶどうの収穫量1位は山梨県(4万3,200t)で、収穫量の割合は約25%、全国収穫量の4分の1もあります。2位は長野県(2万5,900t)で約15%、3位は、同率で山形県と岡山県(1万6,700t)で約9%となります(紫色で表示)。「ぶどうと言えば山梨県」と思い浮かぶ方は多いのではないでしょうか?
次に、梨の収穫量ですが、収穫量1位から6位の6県で全国の約5割を占めています。1位は千葉県(3万2,000t)で約13%、2位は茨城県(2万3,400t)で約10%、3位は栃木県(1万9,000t)で約8%、4位は福島県(1万8,900t)で約8%、5位は鳥取県(1万8,400t)で約7%、6位は長野県(1万5,300t)で6%です(緑色で表示)。
終わりに
私が現在住んでいる地域でも、ぶどう、梨など果物の栽培をしています。栽培農家さんから直接購入する果物は、とても甘くて、東京では味わえなかった「採りたての甘さ」に感激しました。
東京では、収穫量上位の県で作られている果物をスーパーで見かけると思います。私が現在住んでいる地域が産地の果物は、東京では見かけませんでした。もしかしたら、地産地消されて他県に出回ることが少ないのかもしれません。季節ごとに採りたての果物をいただくことができることは、ありがたいことです。たまには果物を食べて、「旬」を感じてみませんか?
高鷲佐織(たかわしさおり)
ファイナンシャル・プランナー(CFP 認定者)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/DCプランナー1級。資格の学校TACにて、FP講師として、教材の作成・校閲、講義に従事している。過去問分析を通じて学習者が苦手とする分野での、理解しやすい教材作りを心がけて、FP技能検定3級から1級までの教材などの作成・校閲を行っている。また、並行して資産形成や年金などの個人のお金に関する相談を行っている。